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0105 対峙



 冒険者ギルドに向かっていたルキウスたちを、馬に乗った五人の連中が阻んだ。そしてリーダーのオッターヴィオが、理由も言わずにルカを渡せと告げてきた。対峙をするルキウスとオッターヴィオたち。だがそこに、ヒヨリ=ツキノが現れた。



 「フィル、こっちに来なさい。ルキウス、お友達は選ばないとダメよ。それとも、髪の長い化粧をした男が、あなたの趣味なの? ベッファ、相変わらず服装の趣味が悪いわね。あっ、顔も」



 ゆっくりと歩を進めながら金髪のヒヨリ=ツキノが悪態をつく。



 (助かった)ルキウスは、心底そう思った。ゴロツキの五人程度、ルキウスにとっては造作もない。だが、人を守りながらでは分が悪い。ならば、フィリッポがここから逃げたらルカを抱えて逃げるしかない。だが、フィリッポが安全圏に逃げるまで、こいつらが待ってくれるのか? 待てなかったらどうする? やるしかないのか? と思案しているところに心強い味方が現れたのだ。



 「ちょおーっと、あんた! 男って何よ! あたいは女よ! あんたみたいなブサイクに言われたくないわ、ヒヨリ=ツキノ! それと、あたいはベリーよ、ベッファじゃないわ! ほんと、あんたのことはまえっから、気に入らなかったのよ! アニキ、あいつぶっ殺すわ!」勇んで出ようとするベリー。「ま、待て、ベリー! おい、ヒヨリ=ツキノ、お前は関係ねえだろ。フィリッポを連れてさっさと帰れ!」オッターヴィオがベリーを制し、ヒヨリ=ツキノに言う。



 「嫌よ。わたしはこれから鱗亭にお肉を食べに行くの。ルキウスにご馳走してもらうから、あなたたちが帰りなさい」



 「オッターヴィオ、何やってんだ! こんなやつらぶっ殺して、ガキ奪えばいいんだよ!」オッターヴィオの左側にいるテオが馬を蹴って飛び出した。



 「テオ!」オッターヴィオが叫ぶ。

 「暴威(ウインドナックル)」銀髪のヒヨリ=ツキノが呟いた。



 「うがぁっ……」ドザッー!



 オッターヴィオの横から飛び出したテオは、一トゥカ(1.2メートル)も進まぬうちに頭から落馬した。



 「おいこら、なめてんのか? 俺に命令するたぁ、いい根性してんじゃねえか?」さっきまで金髪だったヒヨリ=ツキノが銀髪になって、ルキウスの隣に並んだ。



 「ツキノ。悪いね」ルキウスがやや引きつりながら礼を言うと、「酒奢れよ、ルキウス」と言ってからヒヨリ=ツキノの髪がまた金髪に戻った。そして、「ルキウス、その子をこっちに渡しなさい」と、フィリッポとルカを自分の後ろに庇うと、「石囲い(キャッスルドウォール)」と呟き、「さあルキウス、存分にやりなさい」と告げた。



 「助かるよ、ヒヨリ」ルキウスが、剣を抜いた。



 「おめえら、俺らとやり合う気か?」オッターヴィオが目を血走らせてルキウスを睨む。



 「見てわからないか? いま一人減ったから四人だね。すぐに終わるよ」



 「ガッハ、ガーハッハッハ、四人だぁ? ダーハッハッハー、おい!」オッターヴィオが右腕を上げて大きく振った。すると――



 路地のあちらこちから、人がどんどん溢れてきた。それだけではない、オッターヴィオたちの後ろに、荷馬車が五台到着した。それぞれの荷馬車には、六から七人のゴロツキたちが乗っている。



 「おい、若造。これが五人か? お前は数も数えられんのか? ガーハッハッハァー」大口を開けて笑うオッターヴィオ。ルキウスたちを囲むゴロツキどもは、もう五十人は軽く超えている。



 (まずい……)さすがにこの人数は無理だ。しかも、連中は通りを完全に遮断してルキウスたちを取り囲んでいた。フィリッポとルカを抱えて逃げるにしても、何重もある人の輪をすり抜けるのは難しい。



 「おい、ルキウス。面白いことになったな。きひひ」「ツキノ、冗談はやめてちょうだい。でも、殺さない程度に殺してくれる」いまヒヨリ=ツキノの頭は、左が銀髪で右側が金髪になっている。最初に喋ったのが銀髪のヒヨリ=ツキノ、そして次が金髪のヒヨリ=ツキノだ。



 「大丈夫なのかい? それ、結構マナを使うんだろ?」ルキウスが心配そうにハーフヘアカラーのヒヨリ=ツキノに訊くと、「少しなら平気よ」「だぜ」と二人? が同時に返事をした。



 「こんだけの人数相手にすんのは、久しぶりだぜ」と、恐らく銀髪のヒヨリ=ツキノがニヤリと笑いながら告げる。「僕は始めてだけどね」と、引きつった笑いを浮かべて答えるルキウス。



 「言っとくが、もう遅えぞ。おい、お前ら、一番小せえガキには手ぇだすな。そいつは竜眼の関係者だ。えれえ大金になる。ぜえったいに殺すなよ。いいな!」オッターヴィオが周りを囲む連中に怒鳴る。「おうっ!」と男たちが答える。



 オッターヴィオ、ベリー、フェルモ、そしてもう一人の男が馬から下りた。四人はゆっくりと進み、テオが気絶しているところまでくると、「ぶっ殺せ!」、オッターヴィオが叫んだ。





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