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0100 後悔



 ステラは、ヤハンの雨を眺めながら今朝のことを思い出していた。



 (ルキウスさんを怒らせてしまいました……)



 ステラの力のことをルキウスとフェリシアに言わないようにと、皆に頼んだのは自分だ。だが、話しておいた方がよかったのかも……いまは少し後悔をしている。



 フェリシアも今日は帰ってこなかった。恐らくルキウスと一緒にいるのだろう。二人はあの子たちを見つけたのだろうか。もし、ルキウスたちがあの子らを見つけたら、きっと子供らを守ろうとするだろう。だが、どこにいるかも、どんな力を持っているかもわからない竜眼主たちを相手に、ルキウスとフェリシアの二人がどこまで子供たちを守りきれるのか……そう考えると恐ろしくなる。



 時間が経てば経つほど、生き残った竜眼主たちは力を増して強くなる。ルキウスたちも強いが、継嗣戦を戦い抜くための力を与えられていない二人では、ずっと勝ち続けるのは難しいだろう。それに、勝ったとしても、ルキウスとフェリシアが、小さな子供に殺した相手の心臓の血を飲ませることなど決してないと思う。また、戦いを続けるなかで、小さな竜騎士が何度も霊験を開放すれば、どんな悲惨な結末を迎えるか。いずれにしても、ルキウスたちの進む道は茨でしかない……



 「ねぇ、どうしたらよかっと思いますか?」ステラは、膝の上に載せたウンボロゴロスの仮面に問いかけるが……仮面は答えてはくれなかった。





 「ルキウスさん!」物音に、はっ、としてステラが目を覚ます。



 ステラは昨夜、結局眠れずケイメイ(午前三時)になる前から調理場で毎朝ルキウスに渡しているお弁当を作り始めた。もしかしたら、『昨日はすいませんでした』とルキウスが帰ってくるのではないか、と淡い期待を抱きながら……



 少し前に完成したので、このままここで待とうと椅子に座ったのだが、そのまま眠ってしまい、いまの物音で目が覚めたのだ。



 「ピッ」ステラの足元に後ろ足二本でちょこぉんとコロが立っていた。



 「まあ、コロちゃん。昨日はどこに行ってたんですか? 心配していたのですよ」と、ステラが頬を膨らませて叱ると、



 「ピピピッピ」と言ってコロが頭を下げた。



 「どこかにお出かけするときは、ちゃんと言ってからにしてください。そうでないと、ご飯をあげませんよ」と言うが、どうやって伝えればいいのか……



 「ビービービー」と、大袈裟に騒ぎならがらステラの足に縋りついて、許しを請う? コロ。



 「もう、反省しましたか」ステラはコロを抱き上げて膝の上に載せた。そして、モコ毛を撫でながら「ご飯は食べたのですか?」と訊くと、バッ! とルキウスのお弁当が入ったカゴに飛びつき、カブカブカブゥ、と食べ始めた。「ダメー! コロちゃん、それはルキウスさんのです。やめなさい!」と、コロをカゴから出そうとするのだが、後ろ足でガッチリとカゴの持ち手を掴んで離さない。もちろん前足はパンを持って、ガブガブ、と食べている。



 食べ終わると、体をクネクネクネェ、と動かしてコロを掴んでいるステラの手の中から抜け出し、またカゴにダイブして、バクバクバクゥ、と食べ始める。結局これを、カゴの中身が全てなくなるまで繰り返すことになった。



 「もう、コロちゃん、どうするんですか? ルキウスさんの食べる分がなくなりましたよ!」と、半分泣きながらコロを叱るステラ。



 コロはそんなステラに右前足を上げて「ピピピピ、ピピピピーピ、ピッピピッピ」と、意味不明なことを伝える? と、ピョーンとカゴが置いてあるテーブルから飛び降り、テッテッテッテェ、と外に出てしまった。



 「あっ、ちょっと、コロちゃん待って!」ステラが呼ぶも、その日もコロは戻ってこなかった。




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