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いつもと違う日常

ガタンッ!!



目を開けると自分の部屋に居た。頭がガンガンとする。さっきの衝激はどうやらベッドから床に落ちた様だ。

記憶が曖昧でやけにリアルな夢を見た様な気がする。と言うか朝? 夢だったのか? 何か忘れてはいけないような夢だった気がするが覚えていない。覚えているのは事故に遭って死ぬ夢だった事だけだ。

左手をついて起き上がろうとするとドクンッと脈を打つ。

……気持ち悪い。

身体の節々に痛みも感じる。

体調が悪いようだが動くのに支障は無さそうだ。

ゆっくりと立ち上がり学校へ行く仕度を済ませるとリビングへ向かう。

いつも通りに朝ご飯を作ろうとキッチンへ行くと先客がいた。



「あら、ハルおはよう」



ニッコリと笑うお母さんを見てびっくりする。



「何やっているんだよ。体調は良いのか?夜勤明けなんだろ?後は俺がやるから母さんは休んでいて」



「大丈夫よ。今日はお母さんに任せなさ〜い!」



フフッと笑うお母さんに俺は違和感を感じた。それが何かのか分からず素直にお母さんの言う通りにリビングに戻る。



「兄さん、おはよう」



……違和感の正体に俺は気が付いた。

家族との距離感だ。挨拶をしない訳ではない。話はするけど俺は家族に怖れられていたはず。

なのにこの距離感は何故だ?



「兄さんどうしたの?そんなに見つめちゃって私に何か付いている?」



俺の隣に平然と座る妹に俺は呆然と見続けてしまったようだ。妹の言葉に俺は何も喋れず口を閉じる。



「ふむ、いくらシスコンだからと言って私にトキめいたらダメよ。ごめんね? 私は危険な恋より平凡な恋をご所望したいので」



「トキめいてねぇよ! しかもフラれてるし!」



ついツッコんでしまったがこんな軽い冗談を言い合う仲じゃなかったはずだ。



「は〜い、ご飯作ったから早く食べて学校に行きなさい」



そう言ってお母さんは料理を並べ終わると自分も向かいに座る。こうして一緒に食べるのは何時ぶりだろうと考えてしまう。俺が今までの家族のあり方を壊したが互いに避けている訳ではない。仕事やバイトなどで時間が合わず、朝も同じ様に一緒にとる機会が少ない。

ご飯を食べ終えると後で片付けるから流し台に置いていてねと言い、そうそうと口にしたお母さんは爆弾発言をした。



「それからハルは昨日の女の子の事帰ってきたら教えてね?」



いきなりの話しで俺はキョトンとしてしまった。意味が分からない。女の子って何の話だろう?



「兄さん、時間だから先に出るね」



妹の言葉でハッとして時間だと思い急いで洗面所へ向かう。

準備を終えた俺は学校に向かう。



今日も同じ日常がまた始まるのか。ただ何も無い日々を過ごすのが退屈なだけで嫌な訳では無い。それに友達がいない訳でもない。ただ、何も変わらない日々がつまらないだけだ。



「ヤッホー! ハル君おはよう! 朝から辛気臭いぞ?」



だが今の声の主とは知り合いではない。それに知らない人に絡まれる日常も求めてない。

しかも馴れなれしい……



「あれ? アスナの事知らないって顔しているけど大丈夫? まだ具合が悪い?」



アスナと名乗った女性の顔が曇る。そんな悲しそうな顔をしたのかは分からない。

その時、気づくべきだっのかもしれない。

俺は彼女を置いて学校へと急いで向かった。


朝から何だろう?急に世界が変わったかの様に周りが変わって見える。


走って学校へ向かったのでいつもより10分は早くついた。


教室に入るといつもの日常だ。

友達同士話し合いを楽しそうにしている。

柄の悪い2人組がいつも通りじゃれ合っている。それをまぁまぁと宥める爽やか系の男子生徒。見慣れた光景だ。



「よぉ、おはよう」



柄の悪い片割れがいきなり絡んできた。しかし、俺は次の言葉で凍りついてしまう。



「アスナとはどうなった?」



ドキッとした。さっき聞いた名前だ。悲しそうな顔を思い出してしまった。



「誰だ? どうってなんだよ。仮に何かあったとしてもケイには関係ないねぇろ?」



「良いじゃん! 俺達に聞かせろよハル〜! お前だけあんな美人捕まえて羨ましいわー。高2にもなって同じ学校にあんな美人が埋もれていたって知らんかったし、俺達にも幸せをおそそわけしてもバチ当たらんで?」



もう1人の柄の悪い片割れのギンがニヤニヤしながら俺に言う。



「悪いが俺から言う言葉はない。それにだからアスナって誰だよ。知らないし」



「そりゃ無いんじゃねぇ?ハルよ。日に日に飽きていくのは可哀想だぜ?ハルはもっと硬派だと思っていたんやけどな」



ギンは呆れた様に呟く。俺からしたら何故その様な表情をされなくてはならないのか分からない。

するとケイが近づいてくる。



「……約束だ」



そう冷たく言い放つとドンと腹に衝撃が来る。俺はまともに溝落ちに決まりもがく。



「いってぇ……何しやがる?」



ケイは不良っぽいが律儀な奴でこんな急に殴る様な真似はしない。クラスにはまだ数人しか来ていないので俺達のやり取りでシーンとなる。



「あぁ、数日前のお前との約束だ。今日は7月21日だ。明日はやっと終業式だぜ? 昨日も学校休んでいたしやっぱりトラックとの事故の影響で記憶が混乱しているんじゃないか?病院にもう一度診査して貰った方が良いんじゃないか?」



呆れた様にケイは理由を説明する。その説明に俺は固まった。



「い、今……なんて言った?」



ケイは溜息を吐き、また口にする。



「今日は21日でお前が事故に遭ったのは7月11日の10日前だ」



ケイの言葉に俺は思考が停止してしまった。なぜなら俺の記憶は10日の日から記憶がないのだから。

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