序章
序章
雪があたりを白く覆っていた、まだ雪が降る中、大の字に寝る人達いた。
そのうちの一人が口ずさむ
「この世界は白く美しいが、またその美しい反面には誰もが知らない世界がある、僕らはその世界をみつける。もし見つけられないとしても、僕たちは探し続ける、この未来どこまでも」
その歌は数年前にヒットしたあの歌を口ずさむ、その歌につれられてもう一人も歌いはじめる
その歌声の中、雪はまだ降り続ける。
彼らの世界を白くしていく、でもこの世界を白くしていくには、世界は広すぎた。
もし、この空・雪・雲・がそのことに気づけば、こんなにも悲しい事が起こらなかったのに
そう、世界は広すぎる、すべてを埋め尽くす事なんて出来ない、それでも世界を白くしようとし続ける。
「あぁ、なんで世界はこんなにも儚く悲しいのか」
「起きろ、というか死ね」
凛とした 女性の声が響いた。
そして、ドンと鈍い音が鳴る、その音と共に悶絶する男の声で
「お前は、俺を殺す気か」
「さっき死ねって、言ったでしょ。頭だけじゃなくて耳まで悪くなったの?」
「起こしてくれた事には、礼は言うしかしこんな起し方ってある?」
「うん」まったく悪気がない声で答えた。
「だって約束忘れて寝てる方が悪いよ」
彼女は頬を膨らませていた。
「ごめん、忘れていた」
彼は頭を下げながら、着替えを始めていた。
二人が外に出ると、雨が降っていた、冷たい雨全てを飲み込むようなそんな雨。
その中を二人は傘を差しながらともに歩く。
「やっぱり、雨降ってきたね」
「仕方ないだろ、天気予報でも降るって言ってたしな」
「どっちの味方なの」
そう彼女は不機嫌そうに呟いた。
「本当に天気予報って、当たって欲しいときには当たらなくて、そうじゃない時は当たる、そうは思はない?」
そんな他愛のないを続けながら、二人は雨の中歩いていた。
どんな会話をしていたろう、彼はどんな話しをしただろうか、もし出かける前に止める事が出来れば、あぁなんで世界はこんなにも儚く悲しいのか、もし時間をさかのぼる事ができたならどんなに幸せだろう。
そしてその時はやってきた、願えば叶うのなら、彼は願い続けるだろう。
二人は雨の中を歩いていた、雨の中を走る車の音、水たまりがはじけ飛びそんな音。
彼はふと後ろを振り向いた、そこには光が合った、彼が車のライトだと気付いた時は、遅かった、彼と彼女は車に撥ねられていた、彼は運彼女に気負使って車道側にいた、でもそれが逆に悲劇の始まりだった、車は歩道に斜めに突っ込んで壁に埋まっていた、そう彼は車にかする用に撥ねられていた。そして彼女は正面から車に撥ねられていた。
それは幸福かまたは悪夢か。
「大丈夫か?」
彼女に声をかける、しかし返事は聞こえてこない、自分の中で血の気が引けてくるのがわかっていた。
恐ろしくなり、彼女のそばに駆け寄って、揺すりながら声をかける。
それでも彼女は眼を開けない、震えた声で何度も何度も。
彼女はそっと目を開けて初めてしゃべった言葉が。
「私死ぬの、死にたくない」
凛としたいつもの声ではなく、かすれたその声で。
「もっとあなたと同じ時間、同じ時を生きたい、まだ同じ想い出を記憶を欲しいよ」
だんだんとかすれていく声。
「ただ私が望むのはそれだけだよ、何か悪いことしたかな。私は貴方と一緒にいたい」
そう言うと、彼女は時計を渡した、その言葉を聞いて彼は泣いた、ただ泣いた誰かに見られていても泣き続けた、彼はその時計を握りしめながら。
彼の泣く声が永遠と響き続けた。
なんでこんなにも、世界は儚くかなしいのか。




