3食目・後
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前回の解決レシピ:宝くじ一等当せんから異世界へ!? チートな魔法屋台と相棒の地竜を手に入れ、最高の隠居(?)スローライフがスタート!
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騎士は毒見をするような顔でスプーンを握ったが、一口運んだ瞬間、その表情が劇的に緩んだ。
「……っ!? 甘い、いや、コクがある。タマネギが、まるで溶けるような……。パンに染みたスープとチーズが、こんなに……」
「タマネギを飴色になるまで炒めることで、糖度を最大まで引き出した。そこに昨日仕込んだコンソメを合わせている。あんたに必要なのは、その凝り固まった脳と体を一度『リセット』することだ」
騎士は無我夢中でスープを啜った。
熱い液体が喉を通るたび、彼の強張っていた肩が少しずつ下がっていく。
最後の一滴まで読み(のみ)干した時、彼は大きく一つ、深呼吸をした。
「……不思議だ。視界が、さっきよりはっきり見える」
「脳に糖分が行き渡り、副交感神経が優位になった証拠だ。さて、コンサルのおまけだ。盗賊が見つからないと言ったな? あんた、この砦の『検問』を厳しくしすぎてるんじゃないか?」
騎士はハッとしたように顔を上げた。
「なぜそれを。不審者を逃さぬよう、全方位の警戒を強めているが……」
「それが裏目に出ている。あんたの厳格すぎる警備のせいで、商人の馬車の流れが滞り、街道に『死角』となる渋滞ができているんだ。盗賊はそこを狙って、列の最後尾から荷物を掠め取っている。……警備を一度緩め、馬車をスムーズに流せ。そうすれば、不自然に列を離れる『不審な影』が浮き彫りになるはずだ」
騎士はしばし絶句した。
そして、自分の非を認めるように苦笑した。
「……私は、目を凝らすことばかり考えていた。全体を忘れていたというわけか」
彼は立ち上がり、腰のポーチから古びた、しかし精巧な細工の「銀のメダル」を差し出した。
「代金だ。騎士団の旧式な勲章だが、純銀製だ。……それと、このアドバイスに感謝する。私はアレン。この砦の守備隊長だ」
「アキラだ。……アレン、次はもっとリラックスした時に来な。美味いワインも用意しておく」
アレンは清々しい顔で砦へと戻っていった。
夜。
俺は手に入れた銀のメダルをキッチンカーの精算機に放り込んだ。
ガコン、と重厚な音がして、キッチンの奥から『魔導式小型オーブン』がせり出してくる。
「投資回収は上々だな。これで焼きたてのピザも出せる」
俺は地竜のベアの背中を枕にして、夜空を見上げた。
六億円の当選金はなくなったが、一皿のスープで誰かの人生の「詰み」を解消してやるのは、意外と気分がいい。
「さて、明日は何を焼くかな。……おっと、その前に自分の晩飯だ」
焚き火の爆ぜる音が、異世界の静かな夜に溶けていった。
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