初ダンジョン!in東迷宮
東の迷宮にて。
門番に通行許可証を提示して、迷宮の階段を下りていく。
地下一階。
「はい。じゃあ私が先頭を行くから、二人は無事が確認出来てから付いてきて下さいね」
「いや、そんな危険な事を君にさせる訳にはいかない!」
「そうですよ!」
早速、王子とメガネが反対してくる。
職適正ってものがあるんだよ!
私は溜息をついた。
「罠を感知したり、解除できたりしましたっけ?二人とも」
「いや、それは……」
「じゃあ、罠にハマりたいって趣味嗜好でも?」
「いえ、そういう訳では……」
問いかけると王子もメガネも口ごもる。
私はメガネに紙とペンを渡した。
「とりあえず、サーフは地図作成お願いしますね。私も確認しながら先行しますので」
「あ、はい」
メガネは素直に紙とペンを受け取った。
迷宮に入ってからは、適度な光源があって、やはり明りは必要ないらしい。
左右に廊下が続いていて、見通せる範囲に扉は無い。
「まずは右から行きましょう」
曲がり角が現れるか、突き当りまで進もうと歩みを進めると、左に行く道が現れる。
だが、道もまだまっすぐ続いていた。
少し進むと突き当たりに壁が見え、左側に扉。
「部屋の探索はすぐします?地図作成してからにします?」
一応二人の意見も聞く。
ここで何かあったとしてもまだ地下一階で、すぐに逃げられる場所に階段もあるので、どっちでも良い。
王子は考え込み、メガネは地図にペンを走らせながら言う。
「まだ浅い階層ですし、時間も惜しいので探索しながらいきませんか?」
「りょ」
私は扉を調べる。
罠も鍵もないので、後ろに下がった。
「開けていいよ、アル」
開けるのは一番防御力の高い人のお役目。
王子が緊張しながらも、扉を開けると、中には好敵手のスライムが3匹いた。
でもちょっと外の子達と形状が違うな?
外スライムは丸っこくてぺよんぺよんしてるけど、内スライムはどろっとしてふにゃふにゃ地面を這ってる。
「さ、二人とも。頑張ってください。あ、魔法は禁止で。温存してくださいねサーフ」
「はい、分かりました」
メガネクイッ。
それ癖なの?
まあいいけど。
二人は剣を抜いてそれぞれ狙いを定めて戦い出…
え?
同じの叩かないで?
「小さい標的は、其々攻撃しよ?」
「は、はい」
「わ、分かった」
思ったより緊張していたらしい。
その内同士討ち始めそうで怖いんだけど。
言われた通りに別の個体を攻撃して、二人とも難なくスライム達を倒した。
「た、倒したぞ!」
「倒せましたよ!」
「二人ともよく出来ましたね」
とりあえず褒めて伸ばそう。
私は二人の頭をナデナデしてあげたのである。
それから、部屋の探索。
古びた宝箱があるが、罠も鍵もなし。
パカっと開けると、何故か空のガラス瓶と銅貨3枚。
……うん。
「初めてのお宝ですね。次いきましょう」
戻って右に折れる(階段からは左に曲がる)道を進む。
目の前に、三匹の蜂がいた。
迷宮蜂だ。
普通の蜂よりは全然大きい。
「ミア、後ろに下がれ」
「いや、あの、待っ」
「うおお!…お…っ?」
罠が作動して、王子は床に吸い込まれた。
私の前に出るなとあれほど言ったのに。
しかも、攻撃する前に雄たけびあげるんじゃねえよ。
ギリで床に掴まった王子を覗き込む。
「ねえ?私の前に出るなって言いましたよね?」
「……あ、…あ、すまない、ミア……助けてくれ…」
私はメガネと一緒に王子の手を持って引っ張り上げる。
まあ、落ちたとしても捻挫だけで済んだと思うけど、即死級の罠はないとはいえ、これはひどい。
座ったままぜぇぜぇ言ってる王子を見下ろしながら言う。
「アル、迷宮の中で大声出さないで。敵に気づかれるでしょう?しかも罠にはまってたら飛べる蜂からしたらいい的ですよ。頭沢山突かれて怪我しますよ」
「す……すまない……」
まあ、今はこの位にしておこう。
気をつけて歩けば、作動しないけれど足場が不安定な場所での戦闘は危険だ。




