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ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~  作者: ひよこ1号


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フレンドリーファイア

改めてノーツに御礼を言ってから、ギルドで薬草摘みの依頼を受ける。

王子にもメガネにも慣れて欲しいしね。

早速東門を抜けて森の近くまで行くと、二人を放牧した。

ああ、あれだ。

鵜飼になった気分。

あいつら鵜。

私のために薬草を吐き出すといい。


あ、その前に、メガネには実戦もさせないと。


「サーフ。薬草摘む前にスライムと戦闘してみようか」

「えっ、スライムですか?私の敵では無い様に思いますが……」


メガネはメガネをクイッとしながら言う。

そういうのは倒してから言え。

少し離れていた王子が、ぽつりと言った。


「スライムより遅いのに……」

「速さは関係ありません!」


関係ないとは言えないと思うけどなぁ。

まあいいや。


「不意打ちは禁止です。この短刀《ナイフ》で突いて、森から出たら戦闘始めてください」

「フッ、分かりました」


余裕ぶっこいてるけど大丈夫かな?

まあ、一撃で仕留められれば別にいいけど。

王子は胡乱な目をメガネに向けている。


私は離れた場所で、見守った。


森から出てきたメガネは、スライムにぴょいんぴょいんとアタックされている。


「火球《ファイアー・ボール》……えっ?」


外した。

いや、外したというより、回避されたのだ。

そりゃそうだ。

スライムは常に動き回っている。

命中判定が必要な、単体攻撃の魔法は自動追尾《ホーミング》がついていない限り、回避されればお仕舞い。

結局、剣と同じくある程度の先読みは必要で、王子はニコニコしている。

おい、人の失敗を喜ぶんじゃない。


メガネはわなわな震えた後で、火球《ファイアー・ボール》を打ちまくった。


「火球《ファイアー・ボール》火球《ファイアー・ボール》火球《ファイアー・ボール》」

「ギャッ!」


うん。

王子に被弾したね。

まさに同士撃ち(フレンドリーファイア)


「味方の方に撃ったら駄目ですよ!ちゃんと周囲の把握して。敵の動きをきちんと見て」

「は、はい。すみませんでした!」


王子みたいに鎧で防げないから、スライムに体当たりされた箇所が痣になってそうだ。

死にはしないだろうけど、一匹倒すまで見守ろう。

さすがに王子も、魔法を避けれるようにとメガネを注視している。

少し髪がもしゃっていた。


「火球《ファイアー・ボール》」


ピシュッと音を立てて、スライムは溶けた。

魔法の無駄撃ちを避ける為に、きちんと動きを見たのだろう。

王子より適応が早かった。


「はい次」

「えっ、…あ、はい」


指示を出せば、同じようにスライムを連れてきて戦闘を始める。

私は少し離れた場所で薬草を摘み始めた。

魔力の枯渇も、一応経験して欲しいから止めない。

倒れるまで私は放置した。


「サーフ!」


王子がメガネに駆け寄ったので、私も走り寄る。

スライムはきちんと倒してから倒れたようだ。


「魔力が枯渇したんでしょう。このまま暫く寝せておけば大丈夫です。王子は薬草を摘んでていいですよ」

「……うむ、分かった」


ちょっとスパルタだったけど、一日目にしては上出来だ。

王子よりもスライムを倒した数は多いだろう。

それに、私よりも多分魔法に優れている。

レベルの低い魔法とはいえ、結構撃っていたもんな。

魔力の総量は変わらないかもしれないけど、熟練度はある程度ありそう。

火球《ファイアー・ボール》だけかもしれないけど…。


「アル、ちょっとアルの能力《ステータス》見せて?」

「ああ、構わんが……」

「能力解析《アビリティ・アナライズ》」


おや?

今朝ひんひん泣かされてたけど、剣術レベルは5レベルになってる。

意外だ。

盾術レベルも2だ。

狼サマサマですね。

やっぱり危険のある場所で技能《スキル》を使うと、身に付くスピードが速いのかも知れない。

宝石鑑定に目利き、芸術品鑑定、紅茶知識に味覚……ああ、全然知らない子達ですねぇ。

礼儀作法に交渉に売買、これはとても使えそう。

貴族っぽい能力は高いね。

薬草知識に薬草採取も増えてるし、解体も身に付いてる。

ちゃんと頑張ったもんね。


「今までやってきた事が身に付いてますね。凄いですよ、アル」


褒めると王子は嬉しそうに笑った。


「そうか。ミアのお陰だな」

「アルの努力の成果ですよ」


そろそろ、戦闘技術のほかにも、生産技術も学ばせたい所なのだが……。

出来れば興味がある事や、強みがあるものがいい。


「うーん……アルって何か作りたいものとか、ありますか?」

「作りたいもの?」

「ええ。私が錬金術で薬を作れるみたいに、何かアルだけが作れるようなもの、あったら良いかと思って」


そう言うと、ふむ、と言って王子は考え込む。

まあ、すぐには決められないよねぇ。

でも専門的な知識と技術があるって、良いと思うの。

だって、この先も無事に冒険できるとは限らない。

何時までも若々しく居られる訳でもなくて、いずれは冒険者稼業だって引退、という事にもなる。

時の流れは平等だ。

どんな人でも老いていく。

体力的にキツくなっていくのも当たり前。

そうなった時に、一つでも尖った技能《スキル》があれば、糊口を凌ぐくらいは出来る。


「私だけ、か……」

「ああ、今無理に決めなくても大丈夫。考えておいて下さい」


ある意味人生を左右する決断だ。

急ぐ事でもない。

思いつかなさそうっていうのも若干あるけどね。

そうなったら私が提案すればいい。

一人じゃ突き詰められない技術《スキル》なんて幾らでもある。

うすっぺらいチートとかよりいい。

ゲームの世界では沢山いたなぁ、そういえば。

薬草を引っこ抜きながら、思い出す。

瞬間移動したり、身体の一部を伸ばしたり、ありえない方法でゲームを破壊する。

いや、それって楽しい?

勝てれば何でもいいって思ってるなら、いいのかな?

何の実力も付かないと思うけど。

もし、それが封じられる瞬間が来たらどうなるんだろう。

無様な底辺に逆戻りだよね。

かっこ悪い。

泥に塗れても、負けても折れない人の方が余程かっこいい。

実力なんて、頑張ってれば少しずつでもついていくんだよ。


ああ、そういえば。

前世の記憶は全然無かった筈なのに、切っ掛けがあるとこうして思い出すのって、夢の内容を思い出すみたい。

料理の記憶もそうだった。

何か不思議。


あっ、今思い出した。

私、弓買ったのに練習してないじゃん!

何か不思議…とかメルヘンしてる場合じゃないわ!

アルトはもう迷宮行ってるし、多分専門外。

暫く自主練かな……。

よし頑張ろう。

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― 新着の感想 ―
狼狩りの時に台詞と地の文が混じってヒロインが王子呼びしているのも気になりますが、それ以上に他の方も仰る通り、アルトとアルクで名前が似ている上に「アル」と略されたら王子の元の名前を忘れます。 主要キャラ…
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