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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第二章 少年の岐路

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第七射目

少し汚い表現がありますので苦手な方は最初の方だけ飛ばしてください。


※後書きに用語説明を追加しました。

 急に五感(味覚は分からないけど)が鋭くなった副作用か、激しい目眩と嘔吐感に襲われた。


「ごほっげほっ・・・・・・。っつ・・・、はぁはぁ・・・。まだ気持ち悪い・・・。そしてこんな事で味覚強化の効果が分かってしまうなんて・・・」


 味覚強化の影響で胃う迫り上がってきたものが口を通る際に、何を食べたのかが分かるくらいに敏感になっていた。

 嗅覚強化の影響も相まってより臭いを強く感じ、文字通り胃が空っぽになるまで吐き続けてしまった。


「慣れればコントロール出来るんだろうけど、当たりか外れか分からない加護のんだな、ほんと」


 水で口を濯ぎながら、呟く。


「ともかく。臭いで魔獣とか魔物が集まってくるのも困るから急いでここを離れないと」


 幸い、服は汚れておらず、視界が明るくなったお陰で先程よりも随分と歩きやすい。

 しかも目に魔力を集中すると、かなり遠くまで見える。

 ただ、遠くだけがみえる望遠鏡と違い、普段の視界に加えて見える様になるので、歩きながら短時間でも行うとまた気持ち悪くなる。

 

「結局は慣れなんだろうなぁ・・・」


 口に出さずとも分かっていることだがつい口に出してしまう。

 不安を少しでも紛らわす為なのかな?と思いながら、また歩き出した。




 夕暮れに差し掛かり、辺りが暗くなってきた(のだが、視覚強化で変わらず明るい)。

 視界が制限されないのは有難いけど、夜に活発になる魔獣も多いので、気を付けるようにする。


「やっぱり洞窟みたいなのは無いか・・・。となると木の洞があれば良いけど、多分先約がいるよなぁ」


 そもそも人間が立ち入る事がない場所だ。

 野営の跡も何も無い。


「と、なると、残りは・・・」


 上を見上げる。

 空は殆ど見えない程の葉が生い茂る木々の枝達。

 子ども一人どころか大人が乗っても到底折れそうにない。


「やっぱり木の上しかないかぁ・・・」


ストレージリングから頑丈そうな縄を取り出して先端に手頃な遺志を結びつける。

 それをスリングの容量で振り回し、目に付いた一本の枝に投げた。


「あれ?」


 初めての試みだったので何度ご失敗するだろうと思っていたが、一発で目標の枝に綺麗に引っ掛かった。


 「これも《弓使い》のお陰でかな?」


 何はともあれ上手くいったので、木に足を掛けながら縄を登っていく。

 枝に登り切る頃には腕には殆んど力が入らず肩で息をしていたが、なんとか辿り着くことが出来た。

 

「下から見て分かってたけど、登ってみると枝なのにかなり太いなぁ」


 僕が乗ってもビクともしない太さと硬さがあり、安心感がある。・・・下を見なければ。だけど・・・。


「これで熟睡は出来ないけど少しはゆっくり出来るかな」


 今日一日の出来事のせいか、ここまで歩いたせいなのか、安心した僕は木にもたれ掛かりながら意識を手放してしまった。




ガサッガサガサッ




 不意の物音で現実に引き戻される。

 どのくらい寝ていたのだろう?日が完全に落ちているのを見ると、二時間位は寝ていたみたいだ。

 枝から身を乗り出して下を見ても特に何も見えない。


「強化されてるから、もっと遠くの音かな?」


 音が聞こえたであろう方向に目を凝らしてみる。少し、気持ち悪い感覚はあるが、動いていないのでまだマシだ。

 いくつかの黒い影がこちらに向かってきているのが見えた。

 認識したそれらに更に集中すると今度はハッキリと確認出来た。

 狼だ。

 この森にいるってことは普通の狼ではないし、木や茂みで途切れ途切れにしか見えないので、正確な数は分からないけど十五頭はいる。

 狼だったら木に登れないからとりあえず安心しして良さそうだ。

 ・・・・・・本当に大丈夫だよね?


「もしもの時はこいつに頑張ってもらうしかないか」


 背に番えている短弓を取り出す。

 見た感じ上等な木材を使っているのは分かるがこの森の魔獣にどれ程の効果があるか分からないし、長弓と違って威力も射程も劣る。

 そのうえ十歳の僕の力では貫けない可能性もある。

 木に登れない事を祈るしかない。


「もう見なくても匂いで分かるくらいに近付かれてる。数は・・・やっぱり十五頭・・・いや、もう一匹大きいのがいる・・・」


 次第に木の根元に集まるように現れた狼の群れ。

 大きさはふつうの狼より一回り程大きい程度尻尾が剣のように鋭い。

 あれは確か【剣狼(ソードウルフ)】と呼ばれる魔獣の筈だ。当たり前だが本で読んだことはあっても、実物を見たのはこれが初めて。

 その後ろから現れた剣狼より更に二回り大きく、頭の中ににも大きな剣角があるこの群れのボス、オスの剣狼がオス同士の戦いに勝ち、生き抜いた姿【剣大狼(ソードライガー)】と呼ばれる個体。

 剣狼ですら単体でも危険度二級、剣大狼になると危険度一級だ。

 それが群れとなれば準特級になる。


「十歳がどうってレベルじゃないでしょ・・・。どう足掻いても勝つどころか、逃げる事すら無理矢理じゃん・・・」


 歴戦の騎士達でも集団に襲われたら確実に殺されてしまう様な危険な魔獣に、子どもが弓使い一本で戦うのは無謀どころじゃない。


「よし、こうなったら・・・。諦めてくれるまでひたすら待とう」


 だって、絶対に勝てないからね。



 そうして長い長いかくれんぼ?が始まろうとしていた。

【補足説明】

【魔獣】

 一般的な動物が魔力を帯び、体格が著しく大きくなる場合やその動物の特徴がより強調(角が大きくなったり、鋭くなったりする)される場合もあれば、剣狼のように身体の一部が変質したりする。

 一般的には知能が低く本能のままに行動するが、一部上位個体は明らかな理性を持っている。

 どういった基準でどの様な変化をするのか、何故魔力を帯びてしまうのかは未だに不明だか、その土地に存在する魔力濃度による説が濃厚。


【魔物】

 龍種や幻獣種や吸血種種等の人型且つ知性を持ち長命で、戦闘力や再生力、魔法適性が高い、生物としてその他全てよりも一段階以上のものを総じて魔物と呼ぶ。

 また、魔獣の中でも理性があり何らかの形で意思疎通が可能(可能なだけで、話し合い等に応じるかは別の話)な一部の上位種も魔物に含まれる。


基本的な強さは魔獣<魔物だが、一部例外も存在する。


【危険度】

 魔獣や魔物がどれくらい危険かを表す際に使われる指標の一つ。

 数字が小さくなる程危険度が増す。

 強さそのものだけではなく、頭の良さや個体の性質、群れを成すかどどうかも加味されている。

 一般的には危険度一級〜五級で分類され、その上には特級、厄災級がいる。

 準○級は群れた場合や状況によって一段階上がった場合を表す。

 単体で街一つ滅ぶレベルになると特級と表し、厄災級は国が滅ぶと迄言われるそれの存在自体が洪水や地震と同じ天変地異に匹敵する。


【危険度の目安】

五級・・・一般的な成人が武器を持てば倒せるが、群れていることが多いので油断はできない。基本は草食だったり、臆病なので無害だが農作物が被害を受けることもあるので討伐を推奨される。


四級・・・訓練を受けた冒険者や兵士、騎士であれば苦戦しない。肉食の小型〜中型のものが多く該当する。人を襲うことも正しいあるので、討伐任務が常に組まれている。五級と同じく群れることも多い。


三級・・・基本的には二人以上での戦闘を推奨される。一個体毎の戦闘力自体が高くなり、大きさも大型のものが多くいる。また、一部は魔法を使える様になっている場合があるので接敵した場合、下級と比べて怪我人や死者が一気に増える。


二級・・・各国内でもトップクラスの冒険者がパーティ単位で、騎士団が部隊を組んで討伐任務にあたる。小型龍種や各魔獣の上位種が殆どになってくる。


一級・・・魔物に当て嵌まる個体は低くてもこのランクに該当する。冒険者程度の腕では極一部を除き、出会った時点で死を覚悟する。国土に現れた際は、国やギルドの上層部に報告があり、討伐組織を組む。


特級・・・一個体で街一つを破壊する程の力を持つ。国令(国が出す強制力のある命令)を出して、冒険者や騎士団問わず招集して防衛と殲滅にあたる。殆どが人里から離れた地域に住んでいるので、一生の内に一度も遭遇せずに人生を終えることが多い。


厄災級・・・たった一匹現れた事で過去に国が滅んだとの伝承もある、天変地異と同等の存在。過去百年単位で姿を見せていない伝説上の生物。

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