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「さて、やって来ました。読買CC。」
「誰に説明してるの?あきらくん。」
「いやぁ、ここはキレイなコースだねぇ!」
上から霧島、ひとみ、ブラックベター氏である。
ブラックベター氏は日本に行ってみたいと言っていたのでついて来てもらったのだ。
ちなみに本番はキャディをしてくれるらしい。
本当は会場がキャディさんを用意してくれるらしいが、話をすればわかってくれるとのこと。
霧島は、そりゃ世界クラスの選手がアマチュア大会で口利きしてくれりゃ断れねぇだろ…と、内心諦めていた。
4人は朝からスタートした。
ちなみにではあるが、ひとみもエマもゴルフができる。
2人とも小さい頃から習っていたらしく、ひとみに関しては、ブラックベター氏の指導を受けると聞いて霧島よりも興奮していた。
ひとみのベストスコアは87、エマのベストスコアは82だ。
このスコアはコースによって異なるがだいたいは72が基準で、スコアの数字が小さければ小さいほど良いとされる。
霧島はマカオで出した80が最高スコアだ。
その日の霧島はなぜかすこぶる調子が良く、ドライバーはよく飛び、パターは外さず、前半を33で終えた。
「霧島さんスコア相当いいですね!
プロ並みですよ!!!」
「いや、まさか自分でもそんなスコアが出るなんて…」
「私も自分のスコアにびっくりした。
本格的な指導を受けるだけで、コースの周りやすさが全然違う!
今日は夢の70台かも!」
そうこぼすのはひとみだ。
ひとみも39で前半を終え、興奮していた。
後半で霧島は少し崩れたが、それでも36で回りきり、トータル69でホールアウトした。
ちなみにブラックベター氏は67で、エマは73、ひとみは79でホールアウトした。
そのスコアが書かれたスコアカードをゴルフ場提出したところ、プロの方ですか?と聞かれたが、それはまた今度の話。
マカオを出発して、伊丹空港についた4人は、空港においていた霧島の車で読買CCにやって来たため、帰りも霧島の車でホテルに帰る。
今回はお客さんもいるため、エマがホテルを予約してくれたのだ。
今回4人が泊まるホテルは、ホテル・ラ・スイート神戸ハーバーランドである。
ゴルフ場の立地関係もあり、神戸市内のホテルを予約してくれたようだ。
霧島としても、せっかく神戸に来たのなら、神戸牛を食べて欲しいなと思いつつ、車をホテルに向かわせる。
ホテルに着くと、ドアマンが温かく迎え入れてくれ、チェックインまでの流れが非常にスムーズだった。
この日本のホスピタリティを間近で感じ、エマも思うところがあるようだ。
各自が荷物を部屋に置くと、ロビーに再集合し、霧島の車に乗り込み、三宮方面へと、神戸牛を食べに向かった。
「日本の神戸ビーフ、食べてみたかったんだよなぁ!!!」
「私も非常に楽しみです!!!」
外国人組が非常にテンションが上がっており、霧島とひとみも精一杯もてなしてあげようと考えていた。
そんな4人がやって来たのは、雪月花という名前だけでも高級な感じがビンビン伝わるお店の離れ。
ひとみのお父さんの計らいで、特別に案内してもらったのだ。
ひとみのお父さんも是非参加したいと言っていたが、仕事の都合で来れないとのこと。
是非ゴルフの話もしたかったと、最後まで残念そうだったらしい。
このひとみのお父さんからの話にはひとつ追伸がある。
ひとみ曰く
「今度じっくり2人で話し合おうじゃないか霧島ぁ。」だそうである。
ゴルフ場の帰りでたまたま車を運転していた霧島は疲れからか手が震えて事故を起こしそうになったとか。
雪月花の離れでは極上の神戸ビーフを堪能した4人。
エマとブラックベター氏が言うには、もう他の牛肉は食べられなくなってしまった。とのことである。
お会計は4人で17万円だった。
霧島が支払おうとすると、既にいただいておりますとのこと。
ひとみを見ると、お父さんがねと言っていた。
霧島はひとみにお父さんの連絡先を聞き、速攻で電話した。
「霧島と申します。お食事の件おせわになりまして、本当にありがとうございます。
またお礼に伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」
声が震えそうになるのを抑えながら、霧島は返答を待った。
「おぉ、君が霧島くんか!
娘がお世話になってるそうだね。
若いんだから素直に大人の厚意には甘えておきなさい。
私も天下のブラックベター氏にご飯をおごることができたといえば話の種にもなる。
ところで霧島くん。
大切な話があるから近いうちに我が家へ来るように。
ひとみを連れて来るんじゃないぞ?
君1人で来なさい。
まぁ、男同士でじっっっっくり話をしようや。
なぁ?霧島くんよぉ。
日にちはひとみに連絡させるから。
じゃ、ゆっくり楽しんでくれ。」
ひとみのお父さんはそう一方的に告げると電話を切った。
霧島は、ひとみの父の急変ぶりに顔を真っ青にし、電話が切れると、携帯電話を落としてしまった。
幸い画面が割れるようなことはなかったが、霧島は口をパクパクさせることしかできなかった。
帰りは霧島も飲んでいたため、運転代行を呼び、ホテルまで4人で帰った。
部屋に帰ると霧島は、ひとみにお父さんから言われたことを伝えた。
「気にすることないよ笑
お父さんも怖いお父さんぶってるだけだから笑」
「いや電話であの迫力はやばかった。漏れるかと思った。」
「そんな大げさな…笑
まぁ私からうまく言っとくから!
気にしない気にしない!」
「そ、そうかぁ…?」
「そうだよ!本番まであと数日しかないんだからね!」
時期はもう9月に入り、朝早い組のゴルファーは上着を着てゴルフ場にやってくる者もたまに見られるようになって着た頃だ。
「なんか初大会緊張するな…」
「何言ってんの!カジノで何億もの勝負してきた勝負師のセリフじゃないよ!笑
あきらくんらしく、どっしり構えて、あきらくんの勝負をしたら負けないよ!」
「ありがとう、ひとみ。」
このあと2人は一つになった。




