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筆者はゴルフ大会に出たことがありませんので、このゴルフ大会編はほぼほぼ想像で書いてあります。
拙い部分しかありませんがどうぞお許しください。m(__)m
とうとうやってきたゴルフ大会本番。
霧島は何度も練習ラウンドを行い、万全の準備を整えてきた。
大会は10時スタートのため、霧島は7時半にゴルフ場入りした。
体をほぐし、練習場でいつも通り練習をする。
程よい頃合いで切り上げ開会式に出席する。
開会式で知ったが、この大会は神戸アマチュアゴルフ選手権大会というらしい。
ひとみ曰く、かなり歴史があるアマ大会、らしい。
開会式が終わり、霧島の組はスタートする。
ゴルフというスポーツは大体3〜4人を一組として、参加者全員を組み分けし、プレーする。
組数が多い時などは、1番ホールから回る組と10番ホールから回る組に分かれたりする。
霧島は1番ホールから回る組だ。
しかし、どの参加者を見ても外国人のキャディさんを連れている人などおらず、周りからはアマチュアのくせに生意気だなどとひそひそ噂されていた。
霧島の組がコースに着き、いよいよ第1打目を打つ時がやってきた。
「霧島さん、リラックス。
周りがヒソヒソやってますけど私が見てきたプロもみんなそんな感じでした。
プロみたいでなんかワクワクしますね。」
霧島はあっけにとられたが、たしかにブラックベター氏は元全米プロで、世界一の選手を何度も育て上げてきたプロ中のプロだ。
そんなプロにみっちり個人レッスンを受けた自分が負けるはずはないと、気持ちを立て直すことができた。
「そうですね。
なんか勝てそうな気がしてきました!」
周りの人が聞いたら怒りそうな内容だが、かなり早口な英語なのでおそらく大丈夫だろうと、たかをくくる霧島であった。
前半の9ホールのうち、3番ホールは距離が短いため、ニアピン賞といって、全参加者の中で第一打が一番カップに近かった人に賞金が出る。
霧島を含め4人の同じ組の中で最初に打つことになった。
1番ホールのカップに刺さったピンまでの距離は約400ヤード。
霧島は力を込めてドライバーを振り切る。
軽快かつ重厚な、打撃音とスイングの風を切る音が響く。
同組のメンバーはギョッとしていた。
「目算で300と少しってとこだね。
今日は調子いいんじゃない?」
「自分の中でもかなり良く振れてました。
この調子で進めたらいいですけどね。笑」
アマチュア大会でそんなビッグドライブありかよ、というようなひそひそ話が聞こえるが霧島はそれを黙殺した。
結局、霧島はこのホールを3打 (バーディ、スコアカードには-1がつく)で上がり、幸先のいい出だしとなった。
そして、ニアピン賞が設定されている3番ホールにやってきた霧島。
3番ホールは距離が約190ヤードで、ちょうど霧島の6番アイアンの平均飛距離である。
ちなみにアイアンは番手の数字が小さければ小さいほど飛距離が出やすいクラブとなり、打ちこなす難易度も上がっていく。
大体5番アイアンまではみんなゴルフバッグに入れており、4番アイアンから下は難しすぎて打ちこなせないため違うクラブで代用することが多い。
霧島も例に漏れず、5番まではアイアンを入れており、そこから下はフェアウェイウッドと呼ばれる、ドライバーとアイアンをミックスしたようなクラブを使っている。
霧島の打順は4人中4番目である。
各ホールの打順は、前ホールの成績が良かった人から打つためだ。
前ホールの2番ホールではたまたまパットの調子が悪く、規定打数5とされているホールで7打打ってしまい、スコアカードには+2がついてしまった。
霧島以外のメンバーはフェアウェイウッドを持ち第一打を打つ。
3人が終わり、そのうち2人がグリーンに乗せ、グリーンに乗せたうちの1人がカップから1mのところに寄せた。
これにはブラックベター氏も驚いており、これは負けたかもしれないとつぶやいていた。
しかし霧島もそんなスーパープレーを見せられて黙っていられない。
霧島はドライバーの飛距離よりもアイアンでの小技に自信がある。
ブラックベター氏の指導を受ける前から自信はあったが、指導を受けてからは精密機械のように全てのアイアンを数ヤード刻みで打ち分けられるようになった。
霧島の打順が巡ってきて、おもむろに6番アイアンを持つ霧島。
他のメンバーはおぉ!と少しどよめいた。
ブラックベター氏に風と正確な距離を聞き、霧島は極限まで集中力を高める。
脳は澄み切っており、全ての情報が頭の中で整理される。
霧島はアイアンを全力で振り切る。
向かい風が吹いており、霧島は風の影響を受けないように敢えて高度を出すボールを打ち出したのだ。
高く高く上がったボールはグリーンのカップに刺さったピンのそばに、ドッという鈍い音を立てて突き刺さる。
二回バウンドをし、ピンにさらに近づく。
他のメンバーは手に汗を握り、入れ!と叫んだ。
しかし霧島のボールはカップに入らず、残り数センチを残し止まった。
しかしメンバーはおぉ!と声を上げ、霧島とみんなで盛り上がる。
知らない人たちとゴルフを通して楽しめるっていいなぁと霧島は喜んでいた。
途中でダブルボギー (+2)を叩いたり、連続バーディを取ったりしたが、前半を終え霧島は同組の中でトップのスコアを出した。
そのスコアは32、4アンダーである。
前半を終えた組は、クラブハウスに戻りスコアカードを提出し、昼食をとる。
スコアを集計した結果、前半を終えた霧島は1位タイだった。
4アンダーで一位タイ (1位が複数人いる)という結果にクラブハウスがどよめいた。
霧島がそんなことは気にせずに、クラブハウスでブラックベター氏とカレー食べていると、彼らのもとに1人の青年がやってきた。
「君が僕と同じスコアの霧島くんだね?
僕は立命館大学ゴルフ部の主将を務めている、剣崎と言います。よろしく。」
「あ、どうも。阪大二回生の霧島です。」
二回生と霧島が言った時周りがざわついた。
剣崎は四年生で有名ゴルフ部の主将であるため、関西のアマゴルフ界ではなかなかに名前が知られている。
しかし、霧島のことを知っている人は誰もおらず、何者だろうかとみんな考えていたからだ。
「見たところ、君だけ専属のキャディについてもらっているようだが?」
「あぁ、今年から個人キャディOKになったみたいですよ。
スポンサーの意向で」
そう、今大会からひとみの父がメインスポンサーになったため、ルール改訂が行われ、個人キャディをつけることが許可されたのだ。
スポンサーとして相当の金を積んだらしい。
「まぁ、それは知っているが…
私はこれまで何度かいろんな大会に出場したが、君とは初めて会うよね?
私と同じレベルの選手なら名前くらいは印象に残っていると思うのだが…?」
「あぁ、本格的に練習し始めたのは半年前くらいなんで。」
「はぁ?半年…??
半年で俺と同じスコア…??
ふざけんなよ!!!」
「とは言いましても事実ですし…」
「はぁ……
もういい。君がその気ならこっちも本気でかかる。
霧島くん、期待しているよ。」
剣崎はそう言って去って行った。
「彼なんて?」
ブラックベター氏は日本語がほとんどわからないので、ニヤニヤしながら見守っていただけだった。
霧島はブラックベター氏にことのあらましを説明する。
「なんだ簡単な話じゃないか。
霧島くんが彼をコテンパンにぶちのめしてやればいいのさ!!」
それを聞いて霧島は頭が痛くなるのを感じた。
「まぁそういうとは思ってたよ。
よろしく頼みます、凄腕コーチ!」
午後の部のプレーが再開された。
霧島の組は午前中に前半9ホールを回っていたため、午後は後半9ホールをプレーする。
ちなみに真っ直ぐで全長420ヤード超の14番ホールにはドラコン賞が設定されており、全参加者の中で第一打を一番飛ばした人に賞金がもらえる。
食事をして勘が鈍っていると感じた霧島は10番、11番では勝負をせずに手堅く規定打数通りで上がりパー (±0)を獲得した。
調子を取り戻して万全の体制で臨む14番ホール。
霧島はいつもより少し入念に体をほぐし、ドライバーを掴む。
他のメンバーは250から280ヤード飛ばしており、これは会社などで行われる普通のゴルフコンペではドラコン賞を狙えるレベルの飛距離である。
霧島は渾身の力を込めドライバーを振るう。
ロケットのような勢いでボールが飛ぶ。
周りからはどよめきが上がる。
「330yってとこだね。
自己ベスト更新おめでとう!」
ブラックベター氏が霧島を褒める。
周りのメンバーもそれを聞いてどよめき、霧島を褒める。
ぜひあの立命館に勝ってくれと声もかけられた。
ドラコンホールも終え、プレッシャーから完全に解き放たれた霧島は、調子を崩すことなく、後半のホールを回り終え、トータル7アンダーの65というかなりの好スコアでフィニッシュした。
「この成績が安定して出せるようになるとプロゴルファーになれるよ。」
ブラックベター氏は霧島に1日の講評を伝えた。
「こんなスコアを出せたのもブラックベター氏のおかげです。
ありがとうございました。」
「前から言おうと思ってたんだけど、ブラックベター氏なんて呼び名はよしてくれよ。
デビッドと呼んでくれ。
またいつでも呼んでくれ!」
「ありがとうございますデビッドさん!」
スコアを提出し終わった霧島は、あとはコンペ室と呼ばれる会議室で結果発表を待つのみとなった。
「霧島くん。お疲れさま。
結果発表が楽しみだね。」
「そっすね。」
剣崎がめんどくさく絡んできたので、特に取り合うこともなくスルーする霧島。
そしていよいよ、結果発表。
大会実行委員長が、コンペ室に入ってきた。
委員長が普通の挨拶をしながら結果発表が始まる。
まずはドラコン賞から発表。
霧島は322.6ヤードでぶっちぎりの優勝。
剣崎は306ヤードだった。
ニアピン賞も霧島は安定の優勝。
ピンそば3cmであわやホールインワンの記録に勝つとなればそれはもうホールインワンを出すしかない。
そして本戦の結果発表。
10位から順に発表され、上位2人を残して霧島と剣崎の一騎討ちとなった。
「2位、前半32、後半34、トータル66、6アンダー、剣崎悟。」
おぉー、という声と拍手が送られる。
剣崎は悔しそうに霧島を睨みつける。
「1位、前半32、後半33、トータル65、7アンダー、霧島あきら。」
おぉー!というどよめきが上がり、先ほどよりもさらに大きな拍手が霧島に贈られる。
霧島は実行委員長から優勝者の証としてジャケットを着せてもらい、優勝カップを手渡された。
優勝者から一言ということでスピーチを任される霧島。
「あー、本日は優勝に加えドラコン、ニアピンも取ることができてとても嬉しく思います。
まだゴルフ歴は浅いですが、これからも努力を忘れず、精進していきたいと思います。」
当たり障りのないスピーチを披露し、その場が御開きとなったところで、ひとみとエマと合流する霧島とデビッド。
2人を見れば100人が100人美人と評するであろう2人を、道行くゴルファーたちはチラチラ見ながら通り過ぎて行く。
そこに霧島とデビッドがやってきた。
ひとみは霧島に抱きついた
「すごかったよ、あきらくん!!!!
ニアピンの時とかほんと入るかと思った!!!」
「ありがとう、ひとみに応援してもらってたから元気でたよ。」
2人が誰も邪魔できないような空間を作り出していると霧島の方をすごい表情で睨みつけている男がいた。剣崎である。
剣崎が霧島の方に近寄ってくる。
そのことに気づいたひとみは霧島から離れる。
「女連れでいいご身分だな、霧島。」
「別にいいだろ。というかお前には関係ない。」
「くっ…!」
「そもそもあきらくんに負けた男の嫉妬なんか見苦しくて見てらんないね。
あきらくんがくる前ずっとこっち見てたでしょ?
声もかけられないんだったらそういうのやめてくれる?怖い。」
ひとみ容赦ねえな…と思いつつ霧島は剣崎に言う。
「じゃ、そう言うことだから。
またいつか会うことがあれば声でもかけて。」
「待て!」
「待たない。」
霧島は剣崎を振り切って4人で車に帰る。
「お疲れでしょうから車は私が運転します。」
「助かるよ。エマ。」
エマの運転で4人はホテルに帰る。
ホテルに着くと、今日は選手組が疲れているということもあり各自、自由行動となった。
ひとみはエマと一緒にひとみの実家に帰って一晩過ごすらしい。
霧島はひとみとエマに車の鍵を貸してあげた。
霧島がシャワーを浴びてゆっくりしていると、部屋にブラックベター氏がやってきた。
「あきら、ちょっと飲みに行かないか?」
「いいですね!どんなとこがいいですか?」
「日本には女の子が接客してくれるお店があると聞く。」
「わかりました!」
2人は、鬼の居ぬ間になんとやらとばかりに、タクシーをホテルに呼び、三宮の有名なキャバクラに向かった。
2人は浴びるように酒を飲み、男2人で祝勝会がわりにたいそう豪遊した。
そのあとはもちろん福原も行った。
なお、その時霧島はこのことがバレないように現金払いで全て決済した。
翌日昼前に、ひとみの運転で2人はホテルに帰ってきて、霧島とデビッドも合流しチェックアウトをしてから、4人で伊丹空港に向かった。
途中高速道路のサービスエリアでおやつやお土産を買い込み、伊丹空港の飛行機に乗るときには大荷物になっていたのはご愛嬌。
4人は無事マカオへと帰っていった。
2019年 1月25日
感想欄にて、3番ホールの描写にてゴルフの打順に誤りを指摘いただきました。
該当箇所につきましては、修正させていただきました。
ご指摘ありがとうございました。




