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61 霧島 スポーツをする


昨日寝たのが割と早かったため霧島は7時に目が覚めた。

予想外に寝覚めがよく、もう一度寝ようという気にならないくらい目が覚めてしまった。


せっかくなので朝食を食べようとホテルのレストランに向かった。

ブッフェスタイルの朝食は味は申し分なく、五感の全てを満たす朝食だった。


朝食をとり、部屋でシャワーを浴びた霧島はチェックアウト時間まではまだだいぶあったが荷物をまとめ。チェックアウトをした。


預けていた荷物を受け取り、そのままホテルを出て伊丹空港へ向かい、プライベートジェット専用カウンターで手持ちの荷物を全て飛行機に乗せ一度家に帰った。


空荷になったi8をLXと入れ替えるためである。

LXの駐車場にi8を停め、LXを走らせる。


昨日家に帰った時に乗り換えればよかったなと先に立たない後悔をしながら霧島はゴルフ練習場に向かう。


霧島はゴルフバッグをLXに積んでいるため、ゴルフに行くにはLXに乗り換える必要があったのだ。


まぁ意味のない後悔をしてもしょうがないと、霧島は頭を切り替え目的にへと向かう。



霧島がホーム練習場としているのは、住之江にある24時間営業のかなり大きいゴルフ練習場である。

その練習場はトレーニングルームやシャワールームなどもあり、設備がかなり充実している。


練習場に着くとラゲッジスペースからゴルフバッグとボストンバッグを取り出し打席に向かう。


カウンターで手続きを済ませていると、トレーニングルームのパーソナルトレーナーから


「お、霧島さん今日は早い!」などと声をかけられ

「たまたま暇になったのが早い時間だっただけです!笑」と霧島も返事を返す。


霧島は最近になってゴルフを本格的に始めたが、初めてクラブを握ったのはかなり早く、4歳である。

そのため、レッスンを受け始めの初心者にしてはスイングも綺麗で飲み込みも早いため、今では練習場のスタッフからもかなり上手い人と認識されている。


たまたま手が空いていた、先ほど声をかけてきた馴染みのパーソナルトレーナーの西川さんについてもらい、2時間ほど練習をする霧島。


「霧島さんもかなり上手くなりましたよね。

そろそろクラブ変えてみませんか?

ちょっとシャフトが霧島さんに負けてる気がします。」


「そうなんですかね?

確かにちょっとタイミングが合わないように感じてきたような気はしますけど。」


「ちょっと測ってみましょうか。」


そう言って西川は練習場に併設されているゴルフショップの試打室に霧島を連れて行く。


「とりあえず今霧島さんが使ってるドライバー振ってください。」


霧島は言われるがままに、何回か素振りも交えて、ゴルフボールを打つ。


「あー、こりゃもうクラブが霧島さんについていけてないですね。


霧島さんもみてみてください。

霧島さんはそのクラブを買ってすぐの時、クラブを振るスピードであるヘッドスピードがだいたい40m/sでした。

今は49m/sもあります。

これは軽くて、その上柔らかいSRという硬さのシャフトを使っているからというのもありますが、それでも力が強くかなり振れていると思いますので、もっと重たくて硬いものをお勧めします。


じゃあこれ振ってみてください。」


西川はそう言って新しいクラブを渡す。


そのやりとりを何度かした結果、霧島にしっくりくるクラブが見つかった。


ブリジストンゴルフのJGRというドライバーである。

打感といい、インパクト時の音といい、1発で霧島は気に入ってしまった。

何本か打った試打クラブの中で、一番上手く打てていたのもこのJGRである。

トレーナーやゴルフショップの店員さんとの話し合いの結果、霧島はこのクラブのヘッドにツアーADというシャフトの60g台のものを付け購入することにした。


前のゴルフクラブは全て売り、新しくなったクラブセットを持ってまた練習場に戻る霧島と西川。


新しいクラブで練習を再開すると、やはり自分に合っているのか、面白いほど上手く当たる。


「霧島さん大会出てみませんか?」


「え?大会?」


「そう、大会。近いうちに市民大会みたいな大会があるんですけど、まだエントリー間に合うんでどうですか?」


「僕なんかまだ大会出れるような腕ないですよ!」


「ドライバーは平均280ヤードで、フェードボールもドローボールもストレートボールも打ち分けられるし、5番アイアンも200ヤード近く飛ばすし、ウェッジのアプローチもだいぶ細かく狙ったところに打ち分けられるじゃないですか。」


「大会に出る人ってそれくらい当たり前なんじゃないんですか?」


「ドライバーの平均飛距離280ってプロ並みですからね?」


「でも僕コースでたことないですよ?」


「それはちょこちょこやれば慣れますよ!

大会9月の終わり頃なんですけど、どうです?」


「じゃあ、やってみようかな?」


「そうと決まれば練習ですね!!!!」


このあと滅茶苦茶練習した。


帰り際にエントリーシートを記入して、西川に提出する。

エントリー料金も支払っておいた。


「マカオでもちゃんと練習してくださいよ!」


「はい…」


練習のしすぎでヘトヘトになった霧島はシャワー室でシャワーを浴び、トレーニングルームで西川にマッサージをしてもらい、ちょうど良い時間になったので伊丹空港に向かった。


ちゃんとゴルフバッグも持って飛行機に乗りマカオに向かう。


飛行機は小型機と言えどもさすがはプライベートジェットという豪華さで、かなりくつろいでマカオに向かうことができた。


マカオを出発した時とは異なり、今回はプライベートジェットということもありマカオ国際空港に到着した。


到着すると空港のロビーには向かわずに、駐機場にそのままマイバッハが迎えにきた。


霧島はさすがVIP待遇…と思いつつ、ゴルフバッグやお土産、スーツケースがマイバッハに積まれるのを眺めていた。


荷物が積み終わったところで霧島が車に案内される。


後部座席をスタッフが開けて霧島が乗り込む。


「お疲れ様です、ボス。」

しばらく離れていたが聞きなれた声がしたので、その方向を向く。


「うぉっ!ひとみ!!!」


「サプライズ成功。」

ひとみは無表情でピースサインをしていた。


「帰省から帰ってきて、あきらくんになんかサプライズしてやろうと思ってマカオにきた笑」


「本気でびっくりしたわ…!」


霧島は背中に変な汗が流れるのを感じていた。


「エマは?」


「ここですボス。」


運転席から片手だけがにょきっと伸びて手を振っていた。


「やっぱマイバッハって長いよな。

運転席がだいぶ遠く感じる。」


「「たしかに」」

エマとひとみは声を揃えてそう言った。


「そいえば、俺ゴルフの大会出ることになった」


「エマさん、コーチの手配を。」


「はい、かしこまりました。


練習場はベネチアンマカオの中にございますのでそちらでなさってください。


食事はアスリートフードマイスターのスタッフにメニューを考えてもらいます。」


「結構。


撮影クルーは?」


「万事抜かりなく。」


霧島が口を挟む間も無くことがどんどん大きくなり、様々なことが決定される。


「ちょっと待って!!!


ただの市民大会みたいなやつだから!!!」


「ねぇ、あきらくんの晴れ舞台なんだよ???


私絶対応援に行くから!!!!!!」


「そうです、ボス。


我らがボスが戦うとあっては、我々も決して手を抜くことはできません。


百獣の王ライオンはウサギを一匹狩るにも全力を尽くすといいます。


つまり今がその時です。」



霧島は2人の熱量に圧倒されていた。

しかし、自分も初めての大会ということもあり、準備しすぎて困ることはないだろうと思い、2人の厚意を受け取っておくことにした。


「う、うん、なんか納得できないけどありがとう。

よろしく頼むよ。」


「「任せて!!!」」


そうこうしているうちにベネチアンマカオに着き、スタッフが荷物を取り出し部屋にどんどん運んでいった。


霧島たちもそのあとをついて行き、部屋に入る。


霧島が更衣室で服をスーツに着替え、リビングに出てくると幹部たちが勢ぞろいしていた。


そのまま部屋の会議室 (ではないが会議室として使っている)にひとみとエマも一緒に、全員で向かい、霧島は様々な報告を受ける。


その報告にその場で思いついた感想やアドバイスを乗せて返して行く。


2時間ほどで会議が終わり、リビングに戻るとエマは持ち場に戻り、ひとみと2人きりになった。


「あきらくん意外とちゃんと社長ぽいことやってるんだね!


なんかカッコよかった!」


「ぽいってなんだよ

ちゃんとそれなりに考えてやってるよ。


それよりひとみもなんかすごい的確なこと言ってたじゃん。」


「まぁ私はそれなりにお嬢様だし?

頭もいいし?

あきらくんの力になるためにそれなりに勉強したし?」


「ありがと…。

なんか照れるね、やめよやめよ、この話」

ひとみから少し嬉しいことを言われて笑いながらはにかむ霧島。

苦し紛れに話を変えることにした。


「そ、そうね

というかゴルフの大会出るんだね!」

自分でも少し恥ずかしくなったのか、霧島の提案にのるひとみ。


「そうなった。

話の流れで。」



「確かにあきらくんゴルフうまいもんね。」


「自分としてはあんまり実感ないけどね。

出るからには本気で頑張るよ!」


「よく言った!」


そうこうしているとエマが部屋にやってきた。


「ボス、コーチの手配が整いました。

早速明日から来てくれるそうです。


場所は毎年うちが冠スポンサーを務めるマカオオープンが開催される、マカオゴルフアンドカントリークラブを抑えておきました。

コース慣れする必要があるかと思いましたので。」


「結構。


エマさん、私たちも見学に行くわよ。」


「かしこまりました、ひとみ様。」


霧島はただ頷くことしかできなかった。


エマは伝えることだけ伝えるとすぐに部屋を去った。


霧島はひとみを連れてホテルのレストランに向かって食事をしつつこれまでの経緯や出来事を出来る限り全て話した。


「ほぇー


そんなことってあるんだね。

びっくりだよ」


「俺もよくわかんないけど、よくわかんないままこのポジションについてる。


でも俺が目指そうと思ってる方向は定まってきたから、その方向に向かって進めてる。」


「何が目標なの?」


「このホテルとカジノを本物にすること。」


「どういうこと?」


「このホテルって見た感じ豪華なんだけどさ、なんか安っぽいんだよね。


だから本物志向に切り替えてる。

アメニティとか家具とか、部屋のインターネット回線とか部屋の家具とか。


だいぶ評判良くなってるらしいよ。

他の幹部もまさかそんなことで客足が更に伸びるとはって言ってびっくりしてる。」


「なるほどね。

どおりでこの部屋も廊下もロビーもWi-Fiの電波強いと思った。


そういうことなのね。

それすっごく良いと思う。」


「ありがとう。


ひとみもなんか気づいたら言ってね。」


「もちろん!

任せといて!」


ついつい話し込んでしまい、夜はすっかり更けていて、ちょうど日付が変わった頃に2人は部屋に帰った。


2人は久々に会うということもあり、その夜は霧島もひとみもだいぶ燃えたとかそうでないとか。



2019年 1月28日


ゴルフ道具の描写について間違いがございましたので訂正しました。

ご指摘いただきありがとうございます。

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