第四十一話 ダンジョン突入前日3
第四十一話更新しました!
昨日は休ませていただきました!
これからもちょくちょくこんなことがあるとは思います(ネタが浮かばないなど)がよろしくお願いします!
それでは第四十一話、どうぞ!
アイリスの語ったアイリスが冒険者になった理由、それは彼女の悲しみ、そして希望を紡ごうとするある少女の話だった。
「私はね…元々この国の中でも田舎中の田舎で生まれて育ってきたの」
アイリスが故郷を懐かしむかのような遠い目で窓の外を見つめる。
「私達の町は決して裕福じゃなかったけど皆の笑顔で溢れていた凄くいい街だったわ」
「そりゃあいいな。一度行ってみたいな」
「…無理よ。もう無くなっちゃったんだから…」
無くなった?
一体どういうことなんだ。
アイリスの町に一体何が…
「私達がいつも通り町で過ごしていた時、それは突然現れたの…」
町を脅かす災厄と呼べる魔物が、ね…とアイリスの声は徐々に小さくなっていく。
「まだ10歳手前のか弱い女の子にはなす術はなかった。そしてその町にいた冒険者達は…私達を置いてさっさと逃げてしまったのよ」
「なっ…!?」
「嘘、ですよね…?」
冒険者が町を守らず自分の身を一番として逃げた…
そんなこと、あっていいのかよ…
「嘘じゃないわ。目の前で逃げられたんだもの…私があの魔物をやっつけて!って言ったらあいつらは…『俺らに敵う相手じゃないから逃げさせてもらう!』って言って逃げていったわ」
アイリスが恨めしそうに拳を力いっぱい握っている。
「そして町は…私の家族は…その魔物によって殺された…」
「…そうだったのか」
冒険者となった時点でそういう身の危険があるのは分かりきっていたはずだ。
俺も勇者として魔王と戦うために召喚されたから訓練を始めた。
俺が死なないように、そして色んな人を守れるように、と
こうして勇者から今は冒険者に転職したようなものだがその根本は変わらない。
守る。
ただそれだけのために力をつけていきたい。
「私は…その魔物を倒すために冒険者となった。そしてもう二度とあんな悲劇を起こさないためにも冒険者としての見本となれるよう私はSランクにならないといけないのよ」
これでアイリスのことがまた少し分かった。
アイリスは未だ一人なんだ。
一人ぼっちで暗闇の中をさまよっている一人の少女なんだ。
そう思うと俺はアイリスを抱きしめられずにはいられなかった。
「ちょ、ちょっと零!?」
「…辛かったな。寂しかったな。一人でよくここまで戦ってきたな…。でももう一人じゃないぞ」
よしよしと小さい子を慰めるように頭を撫でてやる。
アイリスは初めは嫌がっていたものの少しずつ身を委ねてきて今は完全になすがままになっている。
「今は俺達がいる。俺もアイリーンもアイリスの力になってやれる。お前を裏切るやつはいないし力を貸そうとしないやつもいない。今のお前はもう、仲間がいるんだ」
「あ…」
「そうですよ、アイリス。今は私達があなたの手を握ります。あなたが辛い時は私達がそばにいます。だからアイリス…もう我慢する必要は無いんですよ」
アイリーンが優しくアイリスにそう語りかけた時、アイリスは今まで溜まっていたものが全て出てしまったかのように泣き崩れた。
「うわぁぁぁぁーーーーーん!!!!!!!」
「よーしよーし、アイリスはいい子ですよ〜」
「あの時…ううっ…私…何も、力に、なれなくて…」
「仕方ないですよ。まだ子供だったんですから」
「町の、みんなも、魔物に…全部、食べられちゃって…」
「辛かったんですね…」
「うん…うん……うわぁぁぁぁーーーーーん!!!!!!!」
「はい、よーしよーし…よーしよーし…」
そうして、アイリスは泣き疲れて寝てしまうまでずっと泣いていた。
そのアイリスをずっとあやしていたアイリーンもアイリスが眠ったのを見て安心したのか寝てしまっていた。
「…アイリス、話してくれてありがとな…」
俺はアイリスのことを何も理解してやれてなかったのだろう。
俺が知ってるアイリスは強くて明るく、まさに冒険者の鏡と言ったプラスの面しか見れてなかった。
「けど、それじゃあダメだよな」
アイリスにせよ、アイリーンにせよ、俺はまだまだ彼女達のことを知らなすぎる。
これからはもっと、もっと仲間のことは見ていこう。
どんなに汚い部分も、とても綺麗な部分も、全て。
それを見た上で彼女達と更に深いつながりを作っていきたい。
今は本当にそう思う。
俺はアイリーンとアイリスをベットに運び、布団をかけてやった。
「二人とも…いい顔して寝てるな」
アイリスは憑き物が取れたようにいい寝顔で寝ていてアイリーンもなんだか心なしか嬉しそうな表情で眠っている。
現在夜の九時。
まだ俺は寝るのには早いかなと思い。窓際の椅子に座ってアイリーンに貰ったブレスレットを触りながら窓から見える街の風景を見ていた。
「…俺はこの二人を支えてやらないといけない。アイリーンは一国の王女様、そんな肩書きを持っていて精神的疲労が溜まらないなんてありえない。そんな彼女の負担を少しでも肩代わりしてやりたい」
窓から見える景色は宿屋の前の道を行き交う人々、そして妖しく煌めく夜の街並み。
王都とはまた違った雰囲気を醸し出している。
「アイリスには倒さなきゃいけない魔物がいる。一人で挑むなんて無茶なことはさせない。俺達が手伝ってやらないとな…そのためにももっと力を…」
街の灯りに照らされた零の姿は焦る男の姿そのものであった。
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「…そういや腹減ったな」
結局ずっと窓際の椅子に座ってアイリスとアイリーンの寝ている姿とラインの夜の街並みを見ていた零だったが気づけばもう十時半。
一時間半も椅子に座っていたのだった。
「二人はまだ起きそうにないし…何か執事さんにでも頼むとするか」
そう思い俺は呼び出しのベルを鳴らす。
鳴らした瞬間にドアをノックする音が聞こえた。
「何か御用でしょうか」
「は、早いな…」
「それが執事ですので」
…そうなのか?
これは執事とかそういうレベルじゃないような気がするが…
「気にしたら負けですのでどうかお気になさらず…」
ドア越しに心を読んでくる執事さん。
こいつ…出来る!!!
「それで、ご用命は何でしょうか?」
「あ、そうだった。何か夜食のようなものってないか?少し腹が減ったんで何か食べたいんだが」
「すぐにご用意いたします」
ドアの前から執事さんの気配が消えた。
…一体何者なんだ?
ベルを鳴らせば秒を待たずにドアの前まで来たりかと思えば一瞬で気配を消してしまうとか…
「お待たせしました」
「はやっ!?」
だってさっきドアの前から気配が消えてまだ三十秒程しか経ってないぞ!?
「執事ですので」
「…なんか納得してる自分がいることが嫌になってくるな…」
「それではこちらをお受け取りください」
そうしてドアが開いて渡されたのは熱々のハンバーグみたいなものだった。
「チーハンでございます」
「チーハンなの!?」
…じゅるり…
めちゃめちゃうまそうだ…
「ご飯もお付けしておりますのでこちらもどうぞ」
熱々のハンバーグに熱々のご飯…こんなのおいしいに決まってるじゃないか!!
「それでは…ごゆっくり」
またも一瞬で気配が消えた。
真面目にこの宿屋…怖い!
なにはともあれ飯だ飯!
「いただきます!」
腹が減っていた中で食べる熱々ハンバーグ、ご飯は…とてもうまかったことをここに記す。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
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ミス、アドバイス等も教えていただけると幸いです!
それではまた次回お会いしましょう!




