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第三十二話 旅立ち

 第三十二話更新しました!


 ついに旅立つ零達。

 その旅立ちの一幕を書きました!

 楽しんでもらえれば幸いです!


 それでは第三十二話、どうぞ!

 王城に帰る前にギルドに寄り、報酬を受け取りに行く。


「おお、零達か。待ってたぞ。もう報酬は用意してある」


 連れていかれたのはまたもギルド長の部屋。

 そこには山積みの金貨とあの魔石があった。


「これが今回の報酬だ。色は付けておいたよ」


「ありがたく受け取らせてもらうよ」


 俺は買ったばかりの魔法袋に金貨を詰め込む。


「それじゃ、俺達はこれで」


「…やっぱりあの件については受けてもらえないか?」


「ああ、俺一人ならまだしもこの二人も連れていくのは無理だ」


「もちろん、零だけ行かせるのもダメだからね!」


「そういうわけだ。諦めてくれ」


「はあ…仕方ないな。それじゃあまた王都に来た時にはよろしく頼む」


「ああ。スカーも元気でな」


 俺達はギルドを出ていき、王城を目指す。

 王城に帰った俺達を歓迎したのはアイリーンのお父さん、つまりこの国の王様だった。


「帰ってきたか。もう馬車は用意してある。いつでも出発できるぞ」


「王様準備良すぎでしょ…」


「これくらいやれんと王など務まらんわ!」


「王様ってこういうことする人だったっけ…」


 この人と話してると疲れてくる。

 早々に会話を終わらせようと俺は馬車のある場所を尋ねる。


「馬車は既に外に用意させておるよ」


「外?門の前には何も無かったけど…」


「王都の外じゃよ。いい馬も選ばせておいたし最高の馬車となっておる」


 それはありがたい。

 馬の善し悪しで馬車の乗り心地とかスピードとか変わってくるだろうしな。


「それじゃあ色々とお世話になりました」


「それではもう帰ってこないかのような言い草になっておるぞ」


 王様と俺は微笑を浮かべる。


「それでは、色々とお世話になりましたが、これからもよろしくお願いします。また帰ってきますね」


「うむ。旅の道中の無事を祈っておるぞ。それでは行ってまいれ!成長したそなたを再び見るのを楽しみにしておる」


 王様やメイドさん、執事さん、騎士の方々に見送られながら城を出ていく。


「さあ、取り敢えず馬車を貰いに行こうか」


「それにしてもいい人達だったわね」


「王様なんていい人じゃないと国が滅んじゃうかもしれないしね」


「いい人過ぎても滅んじゃうでしょうけどね」


「アイリーンはお別れとかいいのかい?」


「昨日のうちに済ませておきましたから大丈夫です!」


「そうかい?じゃあ二人とも、もう王都に今未練はないか?」


「ええ、行きましょう」


「はい!外の世界を見に行きましょう!」


 俺達は王都の外へと足を運んでいく。

 外に出るとそこには立派な馬が二頭となんか凄そうな馬車を見張っている騎士がいた。


「零様御一行ですね?お待ちしておりました」


「これが?」


「はい、王が用意された馬車一式です」


 馬は素人目にも見て取れるほど元気で立派な二頭。

 馬車も外見から内装まで豪華な仕上がりであった。


「こんな立派なものを用意してくれてたなんて…王様にお礼を言っておいてください」


「了解しました!では自分はこれで」


 騎士が王都の中に戻っていくのを見届けた俺達はまず、誰が御者をするか話し合う。


「…この中で馬を上手く扱える自信がある人は挙手をお願いする」


「「「………」」」


 ま、そりゃそうだわな。

 最近まで王女として城に引きこもってた身、一人でずっとやってきた冒険者、そして最近まで最弱としていた勇者な俺というぼっちの集まりなパーティーメンバーだ。

 馬なんて誰も扱えるわけない。


「しゃあない…俺が何とかするか」


「何とかって…どうするのよ?」


「こんなことで使うのは気が引けるんだが…鑑定する」


「…出た、チート」


「チート言うな!俺だって出来ることならこんなことに使いたくはないんだ!」


「でもそうするしかないですものね…」


「もうちゃっちゃと鑑定して出発しよう。んじゃ、鑑定心眼、発動!」


 こんなしょうもないことにミラを使うことになるとは…

 すまん、許してくれ。


 ほんとにしょうもない事だったのですぐに鑑定は終わり、乗馬スキルなるものを手に入れた。


「よし!早速出発するか!」


 俺が御者の位置に付き、二人は馬車の中に入った。

 俺が馬を出発させようとしたその時


「ちょっと待ってくれ!」


 後方から聞き覚えのある声がした。

 振り返ってみるとそこには天城真達がいた。


「…なんだ?昨日の続きとかなら遠慮するぞ?」


「違う!そんなことを言いに来たんじゃない!」


 ならなんだよ、と言おうとするのを遮り、天城真は言葉を続ける。


「俺は…今まで勘違いしてた。この国の勇者として召喚されて、もてはやされて。その上このメンバーの中で一番勇者として適性があった。聖剣使いのスキルがあるのもそのせいだったからさ」


 俺は天城真の独白を静かに聞く。


「おかげで騎士団長にも才能を認められて、ほんとに強くなって…でもいざとなったら自分の命が惜しくなって逃げ出した…」


「それは当然じゃないか?誰だって自分の命が一番大切じゃないか」


「違う!ならお前はなんでベヒモスに立ち向かったんだ!」


「そりゃあ…ベヒモスを逃せば王都が壊滅するからに決まってるだろ」


「そうだ!お前は自分の命をなげうってでもベヒモスを止めようとした!」


「勝算が一応はあったからな」


「それでも死ぬ可能性があったのは確かだ!それなのにお前はベヒモスに挑んでいった…そして勝った」


「運が良かったんじゃないか?」


「勝ったことに変わりはない。それで俺は気づいたんだ…このままでいいのか、と。勇者としてあるべき姿はこれじゃないだろう、と」


「だから俺に挑んだ」


「そうだ。結果は惨敗。召喚されてまもない時にはお前は最弱だった。けど今では俺達が最弱だ」


「最弱は言い過ぎだけどな。お前達は充分強い」


「それじゃダメなんだ。それじゃあ俺の大切なものを守れない…」


 天城真は悔しそうに手を握りしめ、俯く。

 しかし、顔を上げ、決意をした男の目で俺に宣言する。


「だから俺は決めた!俺は俺が守りたいもののために強くなる!お前に負けないくらい、いや勝てるくらいに強くなってやるからな!」


 俺は少々面を食らった。

 馬車の中にいる二人も少なからず同じ気持ちだろう。

 あの傲慢で出来ていたような勇者が真っ直ぐな目で俺にあれほどの宣言をしたのだから。


「…覚悟は本物だろうな」


「当たり前だ!俺は本当の意味で歴代最強の勇者になってやる!魔王を倒してこの世界を救うのは俺だ!」


「…分かった。ならこれからは仲間じゃなくてライバルだ」


 俺は天城真、いや真に手を差し伸べる。


「お前と再戦する日を楽しみに待っているぞ、真!」


「…今度は俺が勝つからな。首洗って待ってろよ、零!」


 二人の間で熱い友情の握手が交わされる。


 俺は思う。

 今のこいつ、いやこいつらならほんとにどこまでも高みに行けそうだ、と。


「もちろん、俺達も負けてられないからな!」


「そうそう、今度会った時は私の魔法で驚かせてみせるんだから!」


「…私も今度こそあなたに一撃、ううんあなたを倒してみせる」


「ああ、楽しみにしてるからな!」


 俺は馬車に乗り込み、今度こそ馬を発進させる。


「じゃあ行ってくる!俺達の成長、期待してろよな!魔王討伐を共に出来る日を楽しみにしてる!」


「ああ、お前達こそ俺達の成長に驚くんじゃねえぞ!お前達がいない間に魔王なんて倒しておいてやる!」


 俺達はラインに向けて出発した。

 勇者達ともいい別れが出来て俺も思い残すことは無い。


「ねえ、零。あいつら本当に強くなるわよ」


「ああ、わかってる。俺達もうかうかしてられないぞ」


「魔法で負ける訳にはいきません!私も成長してみせます!」


 勇者達のおかげで二人もやる気が高まっている。

 もちろん俺もだ。


 まずは目指すは冒険者の街ライン。

 そこで行われるSランク認定試験にまずは合格しに行くぞ!

 ここまで読んで下さり、ありがとうございました!


 勇者達との熱い友情を交わした零。

 この先どんな試練が待ち受けているのか。

 乞うご期待です!


 それではまた次回お会いしましょう!

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