第十一話 災厄、襲来
第十一話更新しました!
ようやくこの異変も最終局面。
最後まで楽しんでいただければ幸いです!(その続きもね!)
それでは第十一話、どうぞ!
作戦二日目。
俺達は昨日と同じく魔物達を殲滅していた。
何の滞りもなく順調に思えていた。
だが、今朝アイリスが言ったことがずっと頭から離れない。
「…おかしいわね。あそこのダンジョンはもっと強力な魔物がいたはずなんだけど…今日もまたゴブリンやオークだけしかいないのかしら…」
その何気ない一言が俺の頭からこびりついて離れようとしない。
これから今まで以上、いやそんな比較すら甘いほど大きな恐怖が迫ってきている。
そんな気がしてならないからだ。
だが、そんな俺の気がかりを無視するかのように作戦は順調に進んでいった。
そして昼過ぎ。
「よーし!今日も一旦ここで休憩とする。各自昼食なり偵察なりして休んでくれ!」
「いやあ、魔物大量発生なんて俺が生きてきた中で発生したことなかったからどんなに危険なんだと思ってたけど案外余裕だな。これなら全然王都を守れそうだ」
「油断は禁物だぞ」
「分かってるって。とにかく飯にしようぜ」
「じゃあ私はまた外すわね」
「ああ、了解した。じゃあまた後で」
「ええ、また」
アイリスは昨日と同じくこの場を去っていった。
「にしても零。お前ほんとにここ最近召喚されたのか?」
「ん?ああ、ここ一、二ヶ月の間に召喚されたぞ」
「それにしては戦闘の勘がいいと言うか、戦闘慣れしてるというか。そんな感じがするんだよな」
「実戦はこれが初めてだぞ?」
「そうだよな。すまん!俺の勘違いだと思うわ!とにかく飯だ飯!」
グレンはそう言って昼食を食べ始めた。
「俺もご飯にするか」
今日はあの屋台のおっさんのところで買ってきたキリキリ鳥とその辺で売ってたパンが昼食である。
やはりキリキリ鳥は上手い。
何度でも通いたくなる味だ。
そうこうしているうちに休憩も終わり、次の魔物の襲来に向けて備える。
「さあ!先に偵察に行っていた者からの情報によると今回の魔物大量発生は恐らくこれで最後となる!みんな、気を引き締めて最後まで戦ってくれ!」
「さあ、行こうぜ!」
「ああ」
「王都の平和は拙者が守ってみせるでござる!」
「俺のこの拳にかけて必ず守る!」
「嫌な予感はするけど…今は気にしても仕方が無い!やるわよ!」
俺達の班は最後まで油断なく敵を殲滅していった。
そんな時、俺たちとは逆の方向から妙な報告があったらしい。
「なんだと?全滅?どういうことだ!」
「それが…」
「ドギャアアアアアーーーーース!!!!!!」
とんでもない声が草原一帯に広がっていった。
「あ、あれは…まさか!?」
声のした方向を振り向くとそこには巨大な、それでいて全てを壊してしまいそうな凶悪なオーラを放っているドラゴンがいた。
「べ、べ、ベヒモスだー!!!!!」
「そんな!?あんなのに敵うはずかねえ!」
「に、逃げよう!」
「ううう、うわあああぁぁぁぁ!!!!!」
俺達の班はこんなことにはならなかったが他の班は一目散に逃げ出していった。
「お、おい!何をしている!待て!まだ作戦は終わってないんだぞ!」
「ギリアス団長!」
「ん?おお!天井殿達!よかった!諸君らがいれば百人力だ!」
「はあ?冗談じゃねえ!あんなのに敵うかよ!逃げるんだよ!」
「な、何を言ってるんだ!?貴殿らは勇者なのだぞ!」
「勇者なら魔王を倒すまで死んじゃいけないだろうが!それならあの勇者のなり損ないを使いやがれ!俺達は逃げるぞ!」
勇者達は逃げ出したようだ。
「な!?…くそっ!撤退!撤退だー!!!」
団長は撤退の指示を出す。
「お、おい。どどどどうする?」
「拙者は…」
「俺達も逃げるしかないだろう。あれはSランク級が最低二人でようやく倒せる相手だ。俺達が敵うはずもない」
アイリスさんと俺以外は逃げるということで意見が一致しているようだ。
「なあ、アイリスさん」
「…アイリスでいいわよ。こんな時だしさん付けだと面倒でしょ」
「じゃあアイリス。お前はこの状況をどう思う」
「はっきりいって不味いなんてもんじゃないわね。さっきも言ってたように相手はSランク級が必要な相手よ。私は一撃の威力ならSランク級にも負けないスキルは持ってるけど如何せん使い勝手が悪くって。溜めるのに時間がかかってしまうのよ」
「…溜める時間があれば倒すことは可能か?」
「…確証はないけど少なくともかなりのダメージは入れれるはずよ。けどどうやって時間を稼ぐの?それに私があの相手に近づかなければならない。…ま、まさか!」
「ああ、その通りだ。俺が囮になって時間を稼いでやる」
「だ、ダメよ!そんなことしたらあなたが死んでしまうじゃない!」
「今はそれしか方法がない。それに俺もすぐにやられるほどやわではないつもりさ」
「お、おいお前ら。逃げないのか?」
「…ああ。お前らだけでも逃げてくれ」
「何をするつもりだよ!あんなのに敵いっこねえって!」
「やる前から諦めてどうする。倒せる可能性があるのなら俺はそれに賭けてみたい」
「か、勝手にしろ!お前ら、行くぞ!」
「…では、拙者はこれにて」
「じゃあな。また生きて会えたら何か奢ってやる」
「ははっ、それじゃあ何としてでも生き残らないとな!」
アイリスと俺を除くメンバーは全て草原から撤退したようだ。
「…ほんとにやるのね?」
「というかお前がやると言わなきゃ俺もやらないぞ?結局ダメージを入れるのはお前なんだからな。作戦が成功するかどうかはお前にかかっている」
「私は…やるわよ。あれくらい倒せないとSランクに上がれないもの」
「Sランクに上がらなきゃいけない理由があるのか?」
「ええ…けどごめんなさい。理由は話せない」
「いいさ。それよりどれくらい時間を稼げばいい?」
「そうね…あのサイズだと恐らく最低五分、出来ればもう一分欲しいわ」
「了解した。何とか時間を稼いでくる」
「…信じるわよ?」
「その期待に答えて見せよう」
俺はベヒモス目掛けて走り出した。
先程確認したら剣術がLv3、無属性魔法がLv3に上がっていた。
本で確認した無属性魔法の使い方を思い出しながらどうあの格上以上の相手に時間を稼ぐか考えていた。
この戦いは零にとって重要な分岐点となっていることを零はまだ知らない。
ここまで読んで下さりありがとうございました!
零が挑むは最強クラスの相手、ベヒモス。
格上以上の相手に零はどうやって立ち向かっていくのか。
感想、評価、ブクマ等して頂けるとありがたいです!
ミスのご指摘もどしどし受け付けております!
それでは、また次回お会いしましょう!