舞火赤牙の部活と生徒会長の学園長への疑問
「魔法の属性の種類は皆分かるか?もし分からない奴がいたら手を上げてくれ。」
俺は当然手を上げた、他にも数人手を上げている。
「良し分かった、説明しよう。」
アベル先生が黒板に魔法の属性について書き始めた。
どうやら属性は十種類ある様だ、俺の得意な風もある。
難しさは火と氷が一番簡単、風は二番目に難しいみたいだな。
俺のゴーレムタイプになれる能力は魔法なのだろうか・・・
「まぁ属性についてはこんな所かな、この学校には各属性部門や武器部門などの部活があると言う事はあの生徒会長から聞いているよな?そこでは属性の発現も出来るんだ。」
へぇ~そうなのか、先天的な物かとばかり・・・
「・・・まぁ発現はほとんど行われないけどな。」
先生が意味深な事を言った。
「何故ですか?」
生徒の内の誰かが質問した。
「一番前の真ん中の奴が言っていた事が起こっているからだよ。」
俺が言っていた・・・?
「もしかして・・・入った人がこき使われているんですか?」
俺はこう言ってみた。
「そうだ、この学校を卒業した奴は大半が卒業するまで魔法を使えなかったんだ・・・五十六年前からしばらくは卒業生の中で魔法を発現しなかった奴はいなかったんだ、だけどつい最近学園長が変わってから魔法を発現した奴は減少していったんだ、何故だか分かるか?」
「魔法を元から使える者を重点的に強化したから。」
俺はそう答えた。
「正解だ、逆に魔法を元から使えた奴の成績はかなり高かったんだ、魔法を使えなかった奴が使える奴の食事や練習道具を用意したり実験材料になったりしたからだ、おかげで魔法を使えない奴は卒業した後ずっと家に閉じこもったり自殺したりで散々だった、武器部門に入れば良いのに、そう言う意見もあるだろうが武器部門は入部人数が少ない、それと武器より魔法を鍛えたい、と言う奴が大勢いるんだ、武器だって鍛えれば魔法を破れるのに魔法の方が強いと思い込んでいる、何故かと言えば少数の魔法を元から使える奴が鍛えすぎたからだ、だから今の学園長の方針は変わらない。」
先生が話している最中に、鐘の音が鳴った。
「長話がすぎたか、これで一時間目の授業は終わりだ、二時間目は外で実戦訓練だ。」
先生が退室した。
「「「「・・・・・・」」」」
周りが重々しい空気になっている。
俺は学園長の方針に賛成してる部分と反対している部分がある。
賛成している部分は徹底的に強くする心構えだ。
結果的に名声やら援助やら増えてもいるのでそれは大いに正しい。
ただ、弱い奴を弱いままにして抹消するようなやり方は俺は賛成できない。
個人的な意見だが、弱い奴がこうすればやれると言う努力も出来ず、失意のどん底に落ちる様な所は見たくないと言うのが理由だ。
部活、どうしようかな・・・
「失礼します、学園長。」
学園調室に誰かが入って来た。
「どうしたのかな?二年生徒会長のブルーローズ君。」
「学園長に質問したいことがありまして・・・」
「何だい?」
「何故、あのアカキバ・マイカが特別入学生になれたかについてです。」
「なるほど・・・」
学園長が少し黙り、口を開いた。
「四日前だったかな、私用で門の前を通りかかった時、アカキバ君が風の魔法を練習している所を見かけたんだ、あの少年は素質がある、だから私が紹介状を書いた訳だ。」
「なるほど・・・分かりました、ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「では、二時間目の授業が始まりますのでこれで失礼します。」
ブルーローズは礼をして、学園長室を出た。
「本当にそれだけですかね?お父様・・・」
その呟きは、学園長に聞こえる様に言われた言葉なのか、或いは偶然聞こえたのかは分からない。