衝突と勧誘と決闘と策略
(アカキバを特別入学生にした理由は十中八九魔人になれるからだろう、だが親父はどこでその事を知ったんだ・・・?私の思い過ごしか・・・?)
廊下を歩いている生徒会長ブルーローズは曲がり角のすぐ横の階段を昇り、二階の教室へ戻ろうとしていた。
(部活・・・どんなのにするか・・・?武器部門が寂れているから立て直すのも良いな・・・だが魔法の応用や発現のやり方も学園の図書室で十分勉強したから俺でも教えられるな、流石に幻魔法や無魔法は難しいけど、いっその事両方やるのも・・・)
曲がり角の向こうから赤牙が、二時間目の外での実習で外に行こうと歩いてくる。
二人とも考え事をしていたので曲がり角から誰かが来ると言う考えが浮かばず・・・
「「ギャフン!」」
頭と頭をぶつけ、後ろに倒れてしまった。
「「すいません、大丈夫でし・・・」」
謝罪をしようと起き上がり、お互い顔を確認した。
その直後にお互い火花を散らす程睨み、お互い掴みかかった。
「「んぎぎぎぎぎぎ・・・・・!!!」」
お互い両手で両手を握りしめる。
「テメェ・・・よくも森の中で俺の足を消滅させたり俺を見捨てたりしてくれたよな・・・」
「そう言うテメェこそ私の水浴びを目撃したりゴーレムになって私を殺そうとしたよな・・・?」
「え・・・?俺はアンタの水浴びなんて知りませんし、ましてやゴーレムになるなんて寝言は寝てから言って下さいよ・・・」
「この生徒会長がそんな残酷な事する訳無いでしょう・・・?貴方こそ水でも被って目を覚ました方が良いんじゃ無いですか・・・?」
「「フフフフフフフフ・・・」」
泥仕合を起こしている、いつもは敬語を使い礼儀正しい二人が泥仕合を起こしている。
「寝言は寝て言え!」
「水でも被れ!」
「「んぎぎぎぎぎぎ・・・・・!!!」」
その時、上から水が降って来た。
「「冷たぁ!誰だ水をぶっかけたのは!」」
「僕だ。」
声が聞こえた方を二人が向くと、そこに緑髪で眼鏡を掛けている男が立っていた。
「アカキバさんが先に外へ向かったので、僕も行ってみれば生徒会長と取っ組み合いの喧嘩をしている所を見かけましたので水をぶっかけて止めました、説明終わり。」
「「・・・どこから聞いていました?」」
丁寧口調で二人が質問した。
「寝言は寝て言えとアカキバさんが言った所からです。」
((良かった、前半は聞かれてなかった。))
「何か聞かれてはまずい事でも?」
「いえ、別に何も・・・ところで私はずぶ濡れで教室へ行かないといけないんですか?」
「ご心配なく、すぐ乾く水を使いましたので。」
「あ、本当にすぐ乾きましたね、では私は教室へ戻ります。」
「はい、さようなら。」
ブルーローズは二階へ上がって行った。
「では外へ向かいましょうか。」
「分かった・・・ところで名前を聞いてもいいか?」
「同じクラスですのでもちろんいいですよ、僕はイヴァン・バサラです、これからよろしくお願いします、アカキバさん。」
「よろしく。」
こうして二人は外へ向かった。
「ところで生徒会長とはどう言う関係で・・・?」
「聞くな。」
「はい。」
「火属性部に入らないか?」
「遠慮します。」
「貴方は水魔法が使えますよね?私達の水属性部に・・・」
「やだ。」
「武道を極める気は・・・」
「無い。」
「幻魔法使えるよ~こっちにおいで~ヒヒヒヒヒ・・・・」
(怪しすぎる。)
イヴァンは色々な部から勧誘をされていた。
実はこの男は目的も向上意識も無く、ただ資格を取れれば良いと思いこの学園に入ったのだ。
「ハァ・・・」
「そこにいるのはイヴァンじゃないか?」
イヴァンを呼んだのはアベル・ロードだった。
「アベル先生、どうしましたか?」
「俺が顧問をやる予定の部活に入って欲しいんだ、ちなみに人数は今三人いるから後二人入れば正式な部になる。」
用事は部活の勧誘だった。
「すいません、僕部活に興味なくて・・・」
「アカキバの部活でもか?」
その言葉にイヴァンは驚愕した。
「お前、何の目的も無いだろ?」
「・・・どうしてそう思います?」
「部活に興味ないと言う時点で誰でもそう思うさ、アカキバに聞いたんだけど、お前水魔法が使えるそうだな?アイツの部活でも使わないか?どうせ暇だろ?」
イヴァンにも小さい頃は水魔法を生かして有名になろうとしたのだが、周りがその考えを変えた、親は才能を伸ばす事しか考えず、小さい頃に厳しく育てられた、遊びより訓練、食事より訓練、睡眠より訓練、そんな生活を送っていたら初の大会の決勝の日に体調を崩してもおかしくない、それが切っ掛けで親から失望され、周りから笑われ、イヴァンは失望し、目的を持てなくなった。
「分かりました、入部します。」
イヴァンは渋々受け入れた。
「ありがとな、ところで後一人どうしようかな・・・」
「心当たりがありますが。」
「心当たり?」
「ここだけの話ですがね・・・」
イヴァンが小さな声で何かを話した。
するとアベルが笑い出し、
「それ良いね!やろうやろう!」
イヴァンと一緒にどこかへ行った。
「と言う訳で、俺が顧問の部活に入れコラ。」
「随分高圧的な勧誘ですね、アベル先生。」
向かった場所は二年闇組、話した相手は生徒会長のブルーローズだ。
「それで返事は?」
「お断りします、そもそも私は既に幻属性部に入っていますので。」
幻魔法とは十属性の魔法の中でトップに君臨するほど難しい魔法だ、その魔法の部活の生徒は殆どその研究や発現の為に入っている、先程イヴァンに勧誘した奴はその中の一部だ。
「まぁそこにいる奴が優秀でしかも物凄い恩恵を受けている事は分かっている、だけど・・・」
するとアベルが小声で、
「そんな生徒が他人に危害を加えたなんて知られたく無いだろう?無属性部にはそれを金で証明してくれる奴がいるぞ?」
「!!?」
やられた、とブルーローズは思った。
自分に選択権なんか無かったのだ、危害を加えた相手が生きている時点で。
「分かりました、ですがタダで部活を変わるのは問題があるのでは無いでしょうか。」
「当たり前だ、だから決闘をやろう。」
「決闘?」
「お前一人と俺の部員との決闘だ、相手の足以外の所を地面に三秒地面に付けることが出来たら勝ちだ。」
「なるほど・・・」
「俺の部員が勝ったらお前は俺の部活の部員になってもらう。」
「私が勝ったらどうしますか?」
「そうだな・・・このイヴァン・バサラをこの学園にいる間、お前の小間使いにする。」
「え!?」
「分かりました、その条件を呑みましょう、場所と日付はどうしましょうか?」
「門の外の森の入口付近、時間は夜の九時でどうだ?」
「問題ありません。」
「では、夜に会おう。」
アベルが立ち去った。
「会長。」
「何ですか?」
「お気をつけて。」
「はい、分かりました。」




