61.話し合いの後の日常
翌日の放課後。生徒会室には、久しぶりにいつもの顔ぶれが揃っていた。
「セラちゃん、これどこに置けばいい?」
「それなら、そこの棚です」
「了解ー」
カイが書類の束を抱えたまま、指定された棚へ向かう。
少し離れたところでは、リリアが書類を整理している。
「セラ、こっちは終わったよ!」
「ありがとう、リリア」
穏やかな空気。
ここ最近はいろいろなことがあったけれど、生徒会室にいる時だけは、以前と変わらない日常が戻ってきたような気がした。
(最近じゃ学校内を歩くだけで指さされるし。)
「じゃあ、次はこれを――」
そう言いながら書類を手に取った時。
「セラ嬢」
レオンに呼ばれた。
「はい?」
「この書類、少し見てもらえるかな」
「分かりました」
セラはレオンのところへ向かう。
渡された書類には、来月の学園行事についてまとめられている。
「この日の予定ですが……」
内容を確認していると、レオンがセラの顔をじっと見ていることに気づいた。
「……?」
「どうしたの?」
「いえ……」
セラは首を傾げた。
「レオンさん、何か気になることでも?」
「いや。なんでもないよ」
そう言って笑う。
いつものレオンだ。明るくて、誰にでも気さくで。
けれど。
(気のせいかと思ってたけど、光魔法がバレてからレオンの態度がおかしい。)
「この日は実技授業が多いので、参加できない生徒が増えると思います」
「なるほど」
「時間をずらした方がいいかと」
「うん。じゃあ、そうしよう」
「はい」
書類を返そうとした時。
「そういえば。」
「はい?」
レオンに呼ばれた。
「放課後、少し時間をもらえるかな?」
「放課後ですか?」
「ああ。セラ嬢と少し話したいことがあるんだ」
セラは少しだけ考える。
「……分かりました」
「ありがとう」
レオンは笑った。
「じゃあ、仕事が終わったら声をかけるよ」
「はい」
レオンが自分の席へ戻っていく。
「……何の話?」
隣からリリアが小声で尋ねてきた。
「……さあ。」
「さあって……」
リリアが少し心配そうな顔をする。
「大丈夫だよきっと!」
「うん……そうだね」
セラは笑って答えた。
けれど。
なぜか胸の奥に、小さな引っかかりが残っていた。
レオンと二人で話す。
それだけなのに。
どうしてだろう。
以前なら、こんなことは気にしなかったはずなのに。
セラは無意識に、机の下で指先を握った。
――放課後。
一体、何を言われるのだろう。




