プロローグ
(これで何回死んだんだっけ。)
三十回?
四十回?
もう覚えていない。
ーーまあ、どうでもいいか。
どうせまた死ぬのだから。
ある日、私は高熱を出した。その時、前世のことを全部思い出した。もちろんこの世界のことも。
友達に勧められてなんとなくプレイした乙女ゲーム『輝く光に手を延ばして』。
結局、何が面白いのかわからないまま、途中でやめたゲーム。
そう。私は今…そのゲームの悪役令嬢セラ・ウィンドフォールになっていた。
ーーセラ・ウィンドフォール
ゲームの悪役令嬢。公爵家長女。髪はロングのストレートで淡めの金髪。目は薄い青紫。ゲームでは攻略対象に懸想し、ヒロインを虐めて断罪される。まあ、それ以外の素行も悪かったらしいから、ヒロインを虐めたのは断罪された一因でしかないのだけど。
それからの私は、中途半端な乙女ゲームの記憶を、できる限り思い出して断罪を回避しようとしたーーーそう、しようとしたのだ。
使用人たちには、今までやってきたことへの行動を謝罪し、できる限り誠実に接した。乙女ゲームの舞台となる魔法学園に入学した時も、なるべくヒロインや攻略対象を避け、静かに過ごしていた。なのに…
気がつけばヒロインを虐めたことになっていた。
「?」ってなると思う。実際私はなった。
……いやだって、本当に何もしてないんだよ!?
そして一年最後のイベントである三年生の卒業舞踏会で攻略対象に断罪された。学園の退学処分となって、今までは学園の寮で生活してたんだけど、退学になったから寮に住む権限を取られて、公爵邸に帰ることになった。
断罪って言っても殺されるとかじゃなくてよかったなあ、みたいに安心してたら、帰る途中でなんかいかにも暗殺者です!みたいな人が馬車に乗ってきて、殺された。
走馬灯が流れてきて、気付いたら入学の数日前だった。
正直そのことに気づいた時それはそれは荒れた。だって考えてみてほしい。学園に行ったら、結果的に殺されるってわかっているし、実際に殺されたんだもん。
やっと立ち直れた時は、入学式は終わっていて、これだと思った私は親に土下座で学園に通いたくないと説得した。渋々だったけど、親バカな父は結局、優秀な家庭教師をつけることで納得してくれた。
今回はうまく行ったと思った。だから安心していたのだ。
その日は私が一番好きな魔法史についての授業があったので上機嫌だった。ここまではいつも通りで、良かったのだ。授業が終わり、午後のティータイムを楽しんでいた時だった。
殺された。背後から。刺されて。最後の力を振り絞って振り返ったけど、刺した人の顔は見ることができずに息たえた。唇に何か当たった気がしたけど、気のせいだったと思う。
また同じ日に戻ってきた。もうなんだか一周まわって冷静になって前回みたいに取り乱すことはなかった。
学園に行ってもダメ。公爵邸にこもってもダメ。
……詰んでない?
いや待って。
修道院ならセーフでは!?
と思って修道院へ向かうと、行く途中で死んだ。土砂崩れだった。
また同じ日に戻ってきた。留学してみた。死んだ。
四回目の死に戻りで、学園にまた行ってみることにした。
結局死んだ。でも、一番長生きできたのは学園で過ごした一回目と四回目だったし、一番防げる確率が高そうな学園で生き残る道を探した。
ーーーーーまた戻ってきた。
「あーまた!!なんで!」
何回目の死に戻りだろう。多分五十は死んでる……三十回ぐらいで数えるのはやめたけど…
「お嬢様どうなされましたか?」
私の叫びを聞いて使用人が飛んできた。その使用人がとても青い顔をしているのを見て少し冷静になる。
忘れそうになっちゃうけれど、この時は更生してから間もない。だから、使用人視点でこの状況を見ると、こないだまで横暴だったお嬢様が突然優しくなったと思ったら突然叫び出した感じだ。情緒不安定というか、私だったらそんなやつと関わりたくない。そりゃ青くなるわ。でも、挙動不審な使用人の様子は見ていて面白い。
「ごめんなさい。大丈夫よ。」
(というか今回の方針を決めなきゃ)
使用人がアワアワしているのを見ながら考えを巡らせる。
(…いつも攻略対象を避けてたけど、少し関わってみよっかな……?よく考えたら、断罪してくるのはヒロインじゃなくて攻略対象なんだよね。攻略対象と仲良くなれば断罪も取りやめてくれるんじゃ…)
「うーん。そうしてみよ。」
そのつぶやきを聞いた使用人が、何を思ったのかさらに青くなったことに気がついて、私は使用人をなだめることとなった。
暇だったから細かい裏設定とかも完璧に考えてるんですけど、新学期始まるのでまた途中で終わる可能性大きいです。
一応十話くらいまでスタックあるので、そこまでは保証します!




