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7度の婚約破棄から幸せにたどりつくまで  作者: 瀬崎遊


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リスカの気鬱

補足になります。

 私とアマンダは小さい頃は仲が良かったと思う。

 アマンダが何度も婚約破棄されて両親、周りの人が笑って話しているのを聞いて私は婚約破棄は笑うことなのだと知った。

 少し大きくなり、アマンダはまた婚約破棄されたと聞いては私はアマンダに笑ってやった。

 アマンダはきょとんとしていたけれど、年齢が嵩むごとにアマンダは嫌そうな顔をするようになっていった。


 アマンダを笑うと少し気分が良くなり、アマンダを小突きまわすとスッとした。

 両親に叱られたりした時はアマンダを馬鹿にすると、自分の中の嫌な気持ちが薄れていく。


 アマンダの兄のことが好きだった私は、父にお願いして婚約までこぎつけることが出来た。

 アマンダを大事にしている姿を見ては腹を立てていた子供の頃のことを思い出す。

 あぁ、そうだ。だから私はアマンダが嫌いなのよ。


 アマンダに嫌がらせしているのを誰かに見られることは不味いと気が付いてからは、私はちょっと陰湿になったかもしれない。

 人に見られてはいけないと分かっていたけど、アマンダを虐めることは止められなかった。 



 それは結婚してからも同じで、近くに居るだけ、小さな嫌がらせから始まって思いつく限り嫌がらせをした。

 アマンダは義父母や夫に必要以上に愛され、大事にされる。

 私から見たら貴族ではありえないほど義父母はアマンダを可愛がっていた。


 そして腹の立つことにアマンダは有能だった。

 出ていったアマンダの仕事を引き継いだけれど、私には理解できないことばかり。

 こんなことなら追い出さずに仕事をさせていれば良かったと後悔している。


 虐める以外に、もっと興味を持ってアマンダを知っておけば良かったと後悔した。

 アマンダが出来たことを、今更出来ないと言えない。

 理解できないから後回しにしたり、適当に対応するしかない。

 夫や義父はいつ気付くだろう?気づいた時、どうするのだろう?

 大きな失敗に繋がっていなければいいのだけれど・・・。


 アマンダが居なくなってもう一つ困ったことがあった。

 私の気鬱を晴らす相手が居なくなってしまった。

 夫や義父母に当たることは出来なくて、当たる相手はメイドしかいなかった。


 初めは小さな意地悪だったけれど、それだけでは私の気鬱は収まらなくてつい、アマンダにしていたようについ手が出てしまった。

 その時は慌てて謝ったからか、メイドは口を噤んでくれたようで、問題にならずにすんだ。

 それからは手を出しては心の籠もらない謝罪を繰り返す。


 アマンダが居ないせいだ。アマンダが居ないのが悪い。

 メイドなんかに謝らなければならないのは全部アマンダが悪い。



 出て行ってから本邸に顔を出すことがなかったアマンダが戻った姿を見た時は気分が高揚した。

 何を言って、して、アマンダに嫌がらせしようか?

 そう思っていたのに、義父母や夫がずっとアマンダの側にいて殆ど接触できないままだった。

 屋敷の中がなにか慌ただしいが、私には態々教えてくれる人がいなかった。


 アマンダとまともに接触することなく帰ってしまって、メイドを虐めるしかなかった。

 それが続くとメイドが私の側に近づいてこなくなった。

 メイドに何かを言いつけようとしても「旦那様に呼ばれています」とか「奥様に・・・」と拒否されてしまう。

 最近は着替えも手伝ってはくれなくて、夫にメイドの不出来を告げたけれど相手にされなかった。

 ちょっと、やりすぎてしまったのかもしれない。

 もう少し私の味方になってと夫に言うとため息を一つと、私にはメイドは付けられないと言われてしまう。



 隣国の貴族が数日我が家に泊まることになったけれど、私は接触しないように義父に言いつけられた。

 数日滞在して隣国の貴族は居なくなった。


 

 隣国から書簡が届き、何故かアマンダが隣国に向かうことになる。

 そのためにアマンダが帰ってきた。

 前回の時みたいに短い滞在ではなく、長い滞在になった。

 今までの憂さを晴らすようにアマンダに当たり散らすと、涙を浮かべ唇をかみしめていた。

 ここ最近の鬱屈が晴れていった。


 アマンダのために嬉しそうにメイド達が立ち働く。

 きついはずの入浴の用意に嫌な顔ひとつしない。

 私とアマンダの何が違うって言うのか。



 アマンダが旅立って行った。

 アマンダが帰ってくるまでには短くても二ヶ月は掛かるだろう。

 本当につまらない。



 夫と義父にいい加減に仕事していたことの理由を尋ねられ、夫と義父が今まで訂正していたのだと言われてしまう。

 出来ないのなら出来ないと言いなさいと夫に酷く怒られてしまう。

 私に回される仕事はなくなってしまい、メイドを虐めていたことも知っていると言われ、息が止まるかと思った。

 


 アマンダが出ていってから夫は私に冷たくなっていった。

 同じベットで眠ることもなく、会話も殆どない。

 せめて子供がいればいいのだけど、もうそれも望めないのかもしれない。


 本当にアマンダが居なくなってから何もかも上手くいかない。



 アマンダから手紙が届いて結婚することになったと書かれていたらしい。

 私には伝えられなかったが、メイド達が嬉しそうに話して居るのが耳に入った。

 メイドが知っていることを私が知らないなんてありえない。絶対嘘に決まっている。

 アマンダが幸せになるなんてあり得ないし、許せない!

 義父の許可無く、アマンダが一方的に言ってきた結婚なんて許されるわけがない。

 義父が許すはずがない。


 アマンダに何と返事したのか夫に聞いても教えてくれない。

 メイド達が噂しないか耳を澄ましていたけど、私の耳に届かない。

 きっと、アマンダが勝手に決めたことを怒っているに違いない。



 また手紙が届き、使用人達の様子からアマンダが帰ってくるのが分かった。

 帰ってきたら結婚なんて夢を見る馬鹿だと罵ってやる。


 

 アマンダが帰ってくると国境の伝令が知らせに来る。

 義父母と夫がウキウキしているのが手に取るように分かる。

 夫はこんな顔をここ最近、私に向けたことがない。

 悔しくて唇を噛み締めてしまう。



 降りてきたのはやたらと色気のあるいい男だった。

 見るものを惹きつける魅力があり、目が離せなくなる。

 続いてアマンダが色気のある男に手を差し伸べられ降りてくる。

 見たこともないような笑顔を浮かべてアマンダは降りてきた。


 まさか、本当に結婚するの?

 このやたらと色気のある男と?

 義母と抱き合うアマンダを愛おしそうに見ている男をシューレ・マーベラスだと紹介し、結婚したい相手だと言った。


 アマンダは夫達と話し、シューレと紹介された男はその日、部屋から出てこなかった。

 私は家族の話に呼ばれない。

 その日の夜、夫の部屋をノックしたが、入室を断られ、何の説明もしてくれない。

 

 翌日、シューレとかいう男と義父達が話をする場に私も強引に入っていく。

 夫が嫌そうな顔をしたけれど、私はその場に留まった。

 義父母の前に、アマンダとシューレという男が座る。

 義父に婚姻の申し出をして、簡単に了承されてしまう。

 ありえない。

 

 私は罵り言葉を我慢するだけで精一杯になった。

 女は部屋から出され、私はアマンダの後を追った。

 アマンダを突き飛ばし罵り始めた途端、背後から夫の声がして、振り返ると激怒した夫が立っていた。

 アマンダが悪いのだと説明しようとするけれど夫は私の話を聞いてくれない。


 今まで私がしてきたことを挙げ連ねられて、私は最後の一線を越えてしまったと夫に言われた。

 今までもアマンダにして来たことを知っていると言われ、私は返す言葉もなく当座の荷物を持って家を出されることになった。

 義父母も味方にはなってくれず、出ていくことを望んでいるように見えた。


 実家に向かう馬車の中で、私はアマンダを罵る。

 家に帰り着いて父に抗議してもらおうとしたが、早くから私がしてきたことを報告されており、父には「お前にはがっかりした」と首を横に振られた。



 実家に帰されて三ヶ月程経った頃、私宛の一通の書簡が届き、その中身は離婚届が一通入っているだけだった。

 手紙も何もなく、ただ離婚届だけ。

 私は腹が立って、その日のうちに夫の下に向かう。


 コールデン家の敷地に入ることも叶わない。

 門番と揉めているうちに夫が出てきて、離婚届にサインをするようにだけ求められる。

 絶対にサインはしないと言うと、好きにするといいと背を向けられた。


 最後に夫に会った日から二年が経ったけれど、私は離婚届にはサインをしていない。

 けれど、夫が家に女を入れ、その女が子供を産んだと父が私に言った。

 それに、惨めなだけだから離婚届にサインしなさいと。

 けれど私はどうしてもサインできなかった。

 夫を愛している・・・いえ、執着しているから。

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろい作品に出会えて感謝します。 [一言] 結構読者の皆様が、過激(ざまあ希望)で驚きました。 確かに、父は超うかつで、どつしようもなかったけども、 根底に家族への愛があって、身分や世…
感想一覧
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