第1話 ヒロイン大戦争 最終局面
崩れかけの石畳。
修復途中の魔王城。
黒雲が渦を巻く空。
その中心で
勇者 ユウ=アルトリアス。
正面に三姉妹。
ナターシャ(破壊)
ベルゼリア(理性)
ルミエラ(支配)
三方向、完全包囲。
逃げ場なし。
圧
ナターシャ、地面を踏み抜く。
「決めろよ」
炎が揺れる。
ベルゼリア、魔法陣展開。
「選択猶予、終了」
空間が固定される。
ルミエラ、微笑。
「曖昧は嫌いです。」
背後で精神結界が閉じる。
勇者、呼吸が浅くなる。
実況席
悪魔の杖
「三方向同時圧迫!!」
悪魔の剣
「これは拷問!!」
悪魔の槍
「精神耐久テスト最終段階!!」
悪魔の斧
「勇者、完全ロックオン!!」
聖剣、低く。
『主よ、逃げるな』
勇者、覚悟の瞬間
汗が頬を伝う。
誰かを選べば、
二人は傷つく。
魔界は揺れる。
それでも。
勇者、震える手を上げる。
(どれにしようかな……)
心の中で。
(天の神様の言う通り……)
目を閉じる。
指先が揺れる。
ナターシャへ傾く
炎が強まる。
ベルゼリアへ流れる
空間が凍る。
ルミエラへ寄る
甘い圧が絡む。
三人同時に一歩踏み込む。
距離ゼロ。
瞳、交錯。
鼓動が重なる。
ドクン。
ドクン。
ドクン。
空が裂ける音。
勇者、目を開ける。
青い瞳。
震えながらも折れない。
「俺は――」
その瞬間。
天空が白く染まる。
重厚な光の紋章が展開。
三姉妹の魔力を押し返す、
圧倒的な聖光。
全員が振り向く。
そして
人間界より、降臨。
王国第一王女。
純白のドレス。
揺るがぬ視線。
一歩ずつ、石畳を踏む。
王国第一王女(正統派ロイヤル)
■ 名前
エリシア・レグナリア
■ 身分
レグナリア王国 第一王女
王位継承権 第一位
勇者ユウ=アルトリアスの“公式婚約者”
※政治的・儀式的にすでに認定済み
沈黙。
空気が変わる。
エリシア
「その答え――」
静かだが、響く声。
エリシア
「王国にも関わるものです」
三姉妹、初めて言葉を失う。
勇者の指先、止まったまま。
四方向包囲、完成。
魔界と人界。
恋と義務。
感情と責任。
全てが、今ここに集約。
実況、絶叫
悪魔の杖
「ラスボス参戦!!」
悪魔の剣
「盤面再構築!!」
悪魔の槍
「外交と恋愛が融合!!」
悪魔の斧
「おまえ誰だよ!?」
聖剣、静かに。
『主よ本当に選ぶ時が来た』
勇者の喉が鳴る。
空は静まり返る。
指は、まだ宙にある。
次の一言で世界が決まる。




