32話「新しい関係」
「なんだか、急に恥ずかしくなってきちゃった」
「僕も……」
「さっきまで普通に話せてたのにね」
「うん。何を話せばいいのか、わからなくなっちゃった」
「あはは! 私も」
朝倉さんは少し笑ってから、僕の方を見た。
「でも、もうこの感情を隠さなくていいって思うと楽だな」
「うん。僕もそう思う」
「これからよろしくね、白瀬くん」
「うん、よろしく、朝倉さん」
「じゃあ、そろそろ行こっか」
「うん」
僕たちはベンチから立ち上がり、集合場所へ向かった。
集合場所には、クラスメイトたちが集まり始めていた。
全員が揃ったところで、先生の指示に従って帰りのバスに乗り込んだ。
僕と朝倉さんは、隣同士の席に座った。
バスが走り始めると、窓の外に小樽の街並みが流れていく。
朝倉さんと並んで座っていると、さっきまでの出来事を思い出した。
まだ少し、夢みたいだった。
バスの揺れが心地よく、観光の疲れもあってか、少しずつ瞼が重くなっていく。
そのまま、僕はいつの間にか眠ってしまっていた。
「……白瀬くん」
誰かに呼ばれた気がして、ゆっくりと目を開けた。
「着いたよ」
隣を見ると、朝倉さんがこちらを覗き込んでいた。
「あ、え、ごめん」
どうやら僕は、朝倉さんの肩にもたれて眠ってしまっていたらしい。
「ふふ、おはよう」
「う、うん。おはよう」
僕たちはバスを降り、ホテルへ戻った。
ロビーで解散となり、それぞれの部屋へ戻ることになった。
「またLINEするね、透」
「え……?」
突然名前を呼ばれて、思わず声が漏れた。
朝倉さんはそのまま、そそくさと自分の部屋へ向かっていった。
僕はその後ろ姿を見送ってから、男子部屋へ向かった。
部屋に入ると、悠真たちはすでに戻ってきていた。
「お、遅かったな」
悠真がこちらを見た。
「う、うん」
「小樽観光デート、どうだった?」
「うん、楽しかったよ。それに、その……朝倉さんと付き合えたし」
「えっ、マジで?」
悠真が驚いたように声を上げた。
「おめでとう、透!」
「良かったな」
律と玲央も笑顔でそう言ってくれた。
「う、うん。ありがとう」
三人に祝福されると、改めて朝倉さんと付き合うことになった実感が湧いてくる。
その後もしばらく、僕たちは他愛のない話を続けていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ストックがなくなってしまったため、これからは少しずつの更新になり、更新頻度も下がると思います。
申し訳ありませんが、引き続き読んでいただけると嬉しいです!




