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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「家族」というのは

これからどんな生活が始まるの?

路地裏のオルト爺と婆の家を出て、都留田の自宅へと向かう。

逃げ出した病院には孝太郎が連絡をした。


再度診察をしたいと申し出るノジマに

「早く連れて帰ってやりたい」

そう言って断った。


「連れて帰る」

か。

とんだ厄介事をしょいこんでしまった。

孝太郎は内心、複雑な心境だ。


旅行者が一般の家庭に住み込むことは珍しい事ではない。

役所に書類を提出し、審問官の簡単な面接を受ければそれでいい。


しかし、

あの子は正規の旅行者ではない、ましてや美の国王女だ。

どうなることやら。


家に帰りつくと、門扉が少し歪んでおり道場の入り口も物が散乱していた。

何か争った跡だ。


そういえば、なんか道場が襲われていたんだっけ。

とテレーザが思い出す。

半日も経っていないのに、随分と前のことのようだ。

そう感じることが、時々起こる。


「道場荒らしは俺とオヤジで撃退したよ」

と尊が言う。


「偉そうにいうな、お前は刀を持つ手の震えが止まらず、突っ立っていただけだろう」

と孝太郎。


「さすが、パパは剣士だものね」

と葵が持ち上げる。


いつの間にか、居間に全員が揃っていた。

瑛子がお茶を入れ、茶菓子を囲みながら。


こんなことはいつ以来だろう。


「さ、テレーザ。あなたに確認」

と葵が言う。


「あなたは、美の国、第4王女、テレーザ、なのよね?」


「そして魔法使いでもあり」


「美の国から追放されてる身」


「ぅてことで間違いない?」


そう聞く家族に、


「そうみたい。王女はたしかにそうよ。でも魔法使いかどうかと言われたら正式な魔法使いではないわ。

それから私の今の立場なんだけど追放されたっていうか存在を消されたって状況ね」

とテレーザが答える。


「まじ、相当ヤバいね、あんた」

と葵が言い、

皆口々にうなずきながら、だんだんと笑い声に変わっていた。


「私は貴女を知っていたわよ。姫君格付けランキング、生配信見ていたもの」

と瑛子。


「ああ、あのこそこそ見てたやつか、で、最下位ってどーなってんだよ」

と駆が言った。


「ほんとに、あのステージでのパフォーマンス、とてもよかったのに。

歌もうまかったし。なんでなの?」

と瑛子も不満げに言う。


「そんなの、こっちが知りたいわよ」

とテレーザ。


「大人の事情ってやつ?」

そう言ったのは葵だ。


「ええ、姫を陥れるなんていい度胸だ」


「あそこにいたのは全員、どこかの国の姫よ」


また笑い声に包まれる。

にぎやかな団欒の時だ。


「明日にでも、私のところに来なさい。滞在許可を受けよう」

孝太郎が言った言葉で皆現実に戻った。


まずは許可を得なくては。


「許可審査をするのは外務局、旅行者対策室だ。書類の確認を審問官の面接だ。

形式だけだそうだが、下手に探られないといいのだが」

と孝太郎。


「それなら、申告用紙はこれを使うようにと」

そう言いながら一枚の紙を取り出すテレーザ。


見たとこころは普通の用紙だ。

しかし、これをテレーザに渡したのはオルト爺。


「魔力がこめられているのか」

と孝太郎。


その用紙をみつめながら、

「テレーザ、君も魔法が使えるんだよね。

ここに居る間は、魔法は使わずに生活をしてくれないか?」

と孝太郎が言った。


「えーそんなあ」

その言葉を聞いて大きく嘆いた駆。


「なによ、あんた魔法で宿題手伝ってもらおうとか思ってたの?」

と葵。


「ずーずーしいな」

と尊に言われ、


「家族ってのはだな、助け合うものだ、ちがう?」

と気まずそうに言う駆。


「あの、私が使える魔法は、皆さんが思っているようなものではなくて」

とテレーザ。


「ここでは使いません。魔法」

と孝太郎に言うテレーザ。


「私、皆さんのように普通の生活がしたいんです」


そう言うテレーザに、皆顔を見合わせた。

これから、どうんな生活になるのだろう。


色々あったこの日、テレーザもかなり疲れた様子だ。

目をこすり、あくびを我慢している。


「そろそろ休んだ方がいいわ」

と瑛子。

瑛子に言われて、道場へ向かおうとするテレーザ。


「道場ではなく、ここでお休みなさい。万一の事があると困るわ」

と瑛子は言うが、


「いえ、わたしはあのお部屋で。それは譲れません」

とテレーザは頑なだ。


「オルト爺さんと婆さんからお札をいただいておりますから」

と守護の札を見せた。

これを部屋に貼っておけば安全だ。


「それなら」

と瑛子が言う。


「それでは、みなさまがた、おやすみなさいませ」

そう言うと居間を出るテレーザ。


「あ、行っちゃう前に、君のタブレット、メンテナンスしておくから貸してほしい」

と尊。


テレーザが部屋に戻って、他の皆も自室に引き上げようとしていた。

タブレットを確認していた尊が、


「こんなことを」

と声を上げた。


「これ、見て」

尊が見せたのは、テレーザが使った検索履歴だった。


そこには、

「手の洗い方」

「靴の脱ぎ方」

「洋服の着替えかた」

「ふとんのたたみかた」

「お風呂の入り方」

などが並んでいた。


「あの子、一人でやったことがないのね」

と瑛子。


美の国では王女として、大勢の侍女がすべての世話をしてくれた。

記憶をなくしていても日常的に身についていることは不自由がないはずだ。

しかし、テレーザにとっては、ここでの生活、そのすべてが未知の世界だったのだ。


「こんなのも調べてたのね」

と葵が言う。


そこには

「箸の使い方」

と表示されていた。




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