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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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正式な招待

再び美の国へ?

「美の国の女王即位式に、ですか?」

と思わず聞き返す孝太郎。


倭の国、外交局のトップである椿局長が直々に出向き伝えたこの話。

五大王国の新君主の即位式だ。


五大王国の王族はもちろん、15の控えの国々(次を狙う国)の王族、それに入らない諸国からも、

王族や国家元首などファンタジーワールド(この素晴らしい世界)の要人のほぼすべてが招かれている。


ここ、倭の国の首相にも招待状が届いていた。

東出首相が国賓として招かれている。


そんな各国要人たちに加え、一般的な国民の中からも幸運にも招待される者たちがいる。

まるで天文学的な倍率で選ばれた彼らは、まさに宝くじにでも当たったかのようだ。


「きみたちは、ブルークラスでの招待だ」

と椿が言う。


「ブルークラス」

それは即位式に招待されている客人のランクを現している。

いわゆる、一般庶民、というランク分けのようだ。


美の国、新女王の意向によりファンタジーワールド(この素晴らしい世界)から無作為に選ばれた家族。

そういうことらしい。


「まあ、こんなチャンスはそうそうにはない。謹んで招待を受けるがいい」

と葛西部長。

少しばかり意味深な言い方だ。


「無作為になど、信じがたい」

と葛西は内心思っていた。

美の国への極秘訪問、これが問題で左遷されたばかりの孝太郎に、今度は即位式への正式招待だなど、

何か裏があるに決まっている。


「葛西君、下手な憶測はやめたまえ」

と小声で椿が言う。


孝太郎の一件は、局長である椿に耳にも入っているはずだ。

その椿がそう言うなら、これ以上自分が何も言うわけにはいかないだろう。


「招待されたのは、私たちだけでしょうか」

と瑛子が椿と葛西に言う。


「きみたち」

とは誰を指しているのか、気が気で仕方がない。


「ああ、都留田くんと奥様、それからお子さんたち、ご家族全員だ」

と椿。


「東出首相もご一家での招待だ。外交大臣と私が随行する。君たち一家も同じ日程で同行していただきたい」

と椿が続けた。


東出首相、歴代首相の中でも最年少の彼は、若さと熱意にあふれた倭の国のリーダーだ。

妻と、小学生の娘がいる。


「では、来月の即位式に向けて準備をよろしく頼む。

式典での衣装は自前となるが、それなりのものを揃えて出席をお願いしたい。

出費がかさみ、心苦しいが倭の国の名を汚すことのないよう、よろしく頼む」

と葛西が言った。


左遷のため孝太郎の給料が激減しているのを知っている葛西。

いささか、憐みを帯びて目で瑛子を見た。


「お任せください。倭の国の庶民代表として恥ずかしくない支度をしますのでご心配なく」

と瑛子。

同情されて癪にさわったのだ。



「まったく、なんか嫌味な言い方されたわね」

と瑛子。

椿局長と葛西部長を見送るとすぐさま、そう孝太郎に愚痴を言った。


「仕方ない、我々が招待されたのが腑に落ちないんだろう」

と答える孝太郎。


その日の夜。

居間に都留田家の全員が揃った。

孝太郎から伝えられた、「美の国、フィオナ・クリスティーネ女王、即位式典」への招待。


思わず顔を見合わす葵たち。

みるみる笑顔に変わる。


「テレーザよ、あの子が手を回したんだわ」

と葵。


「いや、フィオナかもしれない。急な別れになって気にしていたのかも」

と駆。


「フィオナと言うのはよせ、せめて陛下と」

と尊。


「でもね、私たちはあくまでも無作為に選ばれた一般の招待客なの。

テレーザと直接話ができるとは思えないわ」

と瑛子が口を挟んだ。


「まともに、顔を見られるほど近寄ることも出来ないだろう」

と孝太郎も言う。


その言葉を聞いて、思わず肩をすくめて見せる葵。

テレーザとはもう住む世界が違う、それを実感しに行くことになるのだろうか。


やがて倭の国でも、美の国、フィオナ・クリスティーネ女王の即位式の話題で持ちきりとなった。

マスコミはこぞって特別な企画を催した。


フィオナ・クリスティーネ王女、女王への道、と題された特別番組、

プリンセスからクィーンへ、と言うタイトルの写真集。

テレビや雑誌で、美の国の新女王の姿を見ない日はないほどだ。


「あの王女がついに君主か、新し時代だ」


「それにしても、美の国の王族は美形揃いだ」


「妹姫たちが両腕に就任なのね、ほんと美しい姫君たちだわ」

ファンタジーワールド(この素晴らしい世界)各国に向けて、美の国王室から発表された女王の最新ポートレート。

その中には二人の「両腕」と三人並んだ写真もあった。


「でもさ、この左側の王女、なんか美の国っぽくないね。平凡な顔で」


「えっと、両腕、第三王女ユリアナ・マーガレット、と何?テレーザ王女?第四王女なの?

美の国の王女って四人もいたの?」

こんな会話が、倭の国だけでなく、他の国々でも繰り広げられた。


「私、何としてもテレーザと会って話をするわ」

と美の国への出発を目前にした葵が言った。


公開されている、美の国式典に関する画像で見るテレーザ。

凛としてはいるものの、その目の光は失われていた。

何かを、あきらめでもしたかのように。


「私たちの出番よ」

と葵。

その言葉に尊も駆も大きく頷いていた。

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