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これが私の生きる道~国を追われた美の国第4王女~「私が貴女をマダムに変える、美の国王女の名に懸けて」  作者: 明けの明星


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「王族」だから

迷わせ鳥に狙われたこと、大ごとでした。

エマと同室の4人がバタバタと部屋に戻ってきたのは、

ちょうどお昼時、昼食の時間だった。


「謹慎」を言い渡されたエマを残し、持ち場に出向いた4人は、

出勤早々、昨日のテレーザ王女の一件の事を聞かされることになった。


テレーザ王女が王都、クラウディアータ近郊の農場を視察に行った帰り道、

魔物に襲われた、その責任を取り同行していた者たち、全員に退去処分が言い渡された。

と言うのだ。


エマと同じ、新人侍女、アレクサンドラが仕えている、第2王女、カタリナ・オルセウス王女

の居室でこの話を聞いた。


先輩の侍女が、

「ねえ、あなたと同室の新人も、昨日は随行したのよね?

かわいそうにねえ、テレーザ王女付き、とはいえせっかく王女の侍女になれたのに。

遠方の小国の出身なんでしょ?その子」

と、興味津々に言ってきた。


「全員、退去?」

とアレクサンドラ。

侍女のための研修で、懲罰のあれこれには知識はある。

退去処分は犯罪ではない、懲罰の中ではかなり重い、いわゆる解雇だ。


この処分が下ったものは、24時間以内に王宮から出て行くことになる。

そして2度と戻ることは許されない。

何の保証も保護もなく、ここから放り出されるのだ。


「でも、全員って。エマは謹慎なのに」

と心で思うアレクサンドラ、これは誰にも言わない方がいいような気がした。


カタリナ・オルセウス王女が起床し、身支度を手伝うアレクサンドラ。

まだ見習いの身なので、先輩侍女の指示に従うだけだが。


先輩侍女はカタリナ王女と親し気に話をしている。

が、テレーザ王女の一件について、話題になることはなかった。


一方、第一王女、フィオナ・クリスティーネ王女の侍女となった、ルナ・ルイーズ。

彼女も、王女の部屋に隣接している侍女の控室に入るや否や、こに一件について質問攻めにされた。


「あなたにとばっちりがなくて、よかったわ、もっと重篤な事態だったら、

ヘマした侍女の同族や出身地が同じ者はもちろん、寮が同じ部屋でも罰せられるのよ」

と先輩侍女が言う。


ルナ・ルイーズもエマの謹慎の事は誰にも言わない。

その方がいい、と直感していた。


そんな話をしていると、急にその場にいた侍女たちが身を硬直させひざまずき頭を下げた。

侍女の控室に、第一王女であり王位継承権第一位のフィオナ・クリスティーネ王女が現れたのだ。


「王女様、こんなところにお越しとは」

と古株の侍女が言う。


「お前たち、昨日のテレーザの事を話しているのよね?」

とフィオナ・クリスティーネ王女。


仕方なく皆は頷く。

誤魔化しは通用しないのだ。


「噂話はたいがいにね、でも処分は妥当よ。王女を危険な目にあわせたのだから」

と王女はきっぱりと言った。


「テレーザだって、美の国の王女なのよ」

そうつぶやくように言うと、フィオナ・クリスティーネは控室を出て行った。


侍女たちの噂話には、

「テレーザ王女なのに、あんなに重い罰がくだるの?」

そんな思いがある、それをフィオナ・クリスティーネは気付いていた。


「テレーザとはいえ、王家の姫、侍女たちが疎んじることは許されない」

とフィオナ・クリスティーネ。


しかし、フィオナ・クリスティーネがテレーザに姉らしく接したこと、それは今までにほぼ皆無だ。

それでも、同じ王女を軽んじる、そんなことは下人の分際には許さない。

そう言う思いから、侍女たちの噂話に釘を刺したのだ。


お昼になり仕事は一旦お休み、昼休みだ。

エマの様子を心配して、寮の部屋にもどる4人。


部屋にはエマがいた。

朝と同じように。


「エマ、あなたは謹慎よね?」

と先輩のルイスが言う。


役人がエマに謹慎を告げに来た時も、一緒に聴いていたが「全員が退去を命じられた」

とまことしやかに皆が言うから、ルイスたちが出かけてから訂正でもあったのか、と気になって仕方なかったのだ。


「はい、この部屋から出ずに謹慎しているように、と言われています。その時ルイスさんもいたじゃないですか」

とエマ。


ルイスもほかの3人も。その言葉に安堵した。

そして、


「ねえ、どうせわかることだから言うけど、全員が退去処分になったって噂が広まっているの。

もしかしたら、あなた以外の全員が退去を命じられているかも」

とエレナ。


エレナは以前、使えるジャン・ルドルフ王子の「お友達」が王子と遊んでいる最中に、

王子と玩具の取り合いとなり、王子と「お友達」が全員取っ組み合いの大喧嘩になったことがある。


その時は、「お友達」全員が退去処分となった。

一人の例外もなく。


「やはり、王族、とくに国王ご一家は特別なのよ」

とルイス。

その言葉を聞き、フィオナ・クリスティーネ王女の発言を思い出すルナ・ルイーズ。


「エマはまだ見習いだもの、しかも昨日は初出勤、だから減刑してもらえたんじゃないのかな」

とアレクサンドラが言う。


「そんなに大変なことだったんだ」

とエマが思う。

ほんの一瞬、油断してだけで迷わせ鳥に狙われた。

御者を務めていたカイは有能だ、それはエマにもわかる。

カイもテレーザ王女の護衛にどこか気を抜いていたのだったのだ。


「エマ、エマはいますか?」

部屋のドアが叩かれた。

みなの返事を待たず、扉が開き王女付きの侍女を取りまとめている、侍女頭、マリアが入って来た。


「ああ、エマ、やはりあなただったのね」

とマリア。

エマが王宮にやってきた時、遅刻寸前のエマを待ち構えていたマリアだ。


「謹慎を言い渡されていますね、王の命によりただいまで解除とします」

とマリアが声高く言う。


そして、

「あなたは今からテレーザ王女の特別な存在(大切な侍女)として王女の部屋に移ります」

と言い放った。


特別な存在(大切な侍女)ですって?」

とルイスとエレナ。


他の2人も、特別な存在(大切な侍女)と呼ばれる侍女の事は知っていた。

研修で習ったのだ。


王女が特別に目をかける、「親友」となる侍女のことだ。

指名されると、仕えている王女のそばで寝食を共にする。

待遇も一般の侍女とはけた違いとなる。

着任したばかりの新米侍女がそんな任務に就くことなど、今まで一度もなかった。


「さあ、すぐに移動します。荷物をまとめなさい」

そう言うマリアにせかされるよに、わずかな手荷物を抱えるエマ。


そして、マリアに連れられて寮の部屋を出て行った。

出がけに、同室の皆が別れを言った、がその言葉その視線にはエマに対する不信感が見え隠れしていた。

それをエマははっきりと感じながら、足早に歩くマリアの後を追った。

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