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1、河童、溶ける

初めて書きました!

お手柔らかにお願いします笑笑

妖怪と人間のわちゃわちゃを少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!

某県某市のとある繁華街、その不思議なBARは今日も密かに営業中。


「いらっしゃいませ〜。あ、久しぶり〜!お元気でしたか?」

「いや〜、最近来れなくてごめんね〜。なんか忙しくてさぁ。」

「あ〜、毎年のことですもんね!あまり無理しないでくださいね!いつものやつでいいですか?」

「うん!いつものやつ!」


繁華街の角のビル、細く急な階段を二階に上がった所にあるドアを開けば、カウンター12席、テーブル3席の薄暗い店内。ネオン管が静かに光るそこには、老若男女の客がそこそこ入っていた、少なくとも見た目には。


カラン、とドアベルの小気味の良い音が鳴る。


「いらっしゃいませ〜」

「いらっしゃい」

「…ども。」


入ってきたのは長身の青年だった。黒いキャップに長めの黒髪、スラリとした体型をTシャツとデニムでシンプルに包んだその男は、小声で応えるとカウンターの席にそそくさと座る。おしぼりを受け取りまたぼそっと一言。


「いつもの」

「はい」


マスターが心得たとばかりにいつものボトルを手に取る。彼の好みは薄めのハイボールと梅きゅうり。それを1口飲むと盛大なため息を吐いた。


「…なんか元気ないけどどしたの?」


店員の女性が見かねて声をかける。


「…八百屋さんが。」

「…ん?」

「八百屋さんが可愛過ぎてツラい…」

「…。今日は何があったんです?」

「…きゅうりくれた」

「は?」

「きゅうりをくれたんだ」

「あー、いつものお買い物ですね!」

「笑顔で…」

「まぁ仕事ですしね」

「目が合った」

「接客ですしね」

「…これは脈アリなんじゃ…」

「お仕事です」


店員の女性にバッサリ切られると、うぅ…とうめきながらまたカウンターに沈む。


この青年、同じ商店街にある八百屋の看板娘に長年恋煩いをしているらしい。恋に悩みに悩むと定期的にこの店に訪れる、いわば常連客だ。


「またいつもの病気か…」

「…そうみたいです」


マスターと店員の女性がコソコソと、またか…という顔をしていると、カウンターの奥に座っているやたらと体格の良い男が静かに口を開いた。黒シャツの袖からのぞく腕は太く、店の空気が少しだけ引き締まる。彼は古くからこの店にいる常連で、気付けばいつの間にかいつもの席に居る。そして何故か誰もその男の素性を尋ねようとはしない。店内の騒めきが少し落ち着いたようだ。


「告白はしないのか?」

「できません」

「しろ」

「できません」

「しろ」

「死にます」

「死なん」


マスターが男の方に目を向け、店内の客も声を潜めている。グラスの氷がカランと湿った音を立てた。カウンター奥の男もこれには呆れ顔だ。


「でも河童くん、もう少し積極的になった方がいいと思うよ?」

「無理ですぅ…」


青年は無意識に帽子をおさえた。椅子も軋んだ音を立てる。


「そんなこと言って〜。河童くんイケメンなのに。その顔もいつもマスクで隠してるんでしょ?」

「うん…」

「その顔見せればイッパツだと思うけどなぁ」

「まゆみちゃん…言い方…」

「?」


きょとんとしてるこの店員の女性は、どうやらまゆみというらしい。


「あ!そうだ!今度デートに誘ってみなよ。この前買い出しに行った時に、今度の土曜日はお休みなんですー!って言ってたよ?」


急にガタッと立ち上がりかけて、河童はやはり帽子をおさえながらうずくまってしまった。


「僕なんか…。僕なんかが…」


河童はまたうじうじと悩み始めてしまった。椅子もぎいぎいと音を立てている。この空気感、きのこが生えてしまうくらいじめじめし始めた。店内の湿度は一体幾つになっているのやら…。ここまできてしまうともうどう声を掛けても立ち直らないので、マスターもまゆみも放置する事に決めた。まゆみはそっとエアコンのドライのボタンを押す。


するとカウンター奥の男が会計を済ませ席を立つ。そして河童の肩を軽くぽんと叩くと、


「慎重なのもいいがな、そんなにいい女なら周りもほっとかんだろ。他にとられるくらいなら後悔しないうちに行動に移すんだな」


といって、片手をあげながら去っていってしまった。


「ありがとうごさいました」

「ありがとうございました〜。またお待ちしてますね〜!」


まゆみはそう言って、カウンターの片付けをするついでに河童の方に寄ってコソッと独り言を呟いた。


「そういえば八百屋のお姉さん、今女性に大人気のあの映画観たいって言ってたな〜。一人で行くのは勇気いるって言ってたけど誰と行くんだろ。私も観たいな〜」


すると河童は急に姿勢を元に戻し、残りの梅きゅうりを一気にハイボールで流し込むと、グラスをカウンターに叩きつける様なゴンという音が鳴った。


「お会計お願いします」


と言って急ぎ会計を支払い、やや早足で店を後にするのだった。




わー1話出来た( ´ω` )/

導入部分なので短めでごめんなさい┏○ペコッ

本日2話まで投稿して、日曜から週1投稿してみたいと思います!

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