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【改稿中】地球から来た妖精  作者: 妖精さんのリボン
一章 森と家と遺跡
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進化

 晦冥かいめいの洞窟で、高速で飛行するのはあまりにも危ない。加えて衝突後に上空へ退避するのも難しいということで、俺は洞窟での狩りでは体当たりを使っていない。

 全てナイフによる白兵戦か、遠距離からの魔法攻撃でゴブリンを倒している。


 ゆえにレベル上げをしていると、俺の服はどんどん血で汚れていってしまう。洗濯魔法はまだできていないので、俺は仕方なく『服からヘモグロビン及びその酸化物を除去する魔法』を応急処置として開発した。それくらい単純な魔法なら作るのは容易い。血の赤色はヘモグロビンの色だからな。それさえ除いてしまえば色を取ることはできる。


 あっ、ちなみに洞窟内では、追尾火球は使っていない。洞窟内は酸素が薄くなりがちだし、可燃性のガスが発生しているかもしれない。そんなところで気軽に火は使えないのだ。


 代わりに術式を、火の玉から鋭く尖った氷柱に書き換えて撃っている。言うなれば追尾氷柱、これなら安心だ。


「よっ」

「ィヒ……!」


 異世界に来て、約二ヶ月が経った頃。ゴブリンの巣窟にて。

 俺は本日十体目のゴブリンの喉を、ナイフで一突きした。

 とにかく声帯を潰す。ゴブリン達に気づかれないように、確実に各個撃破してゆく。これを心がけることで安全に狩りができる。


 ゴブリンが血飛沫をあげながら絶命した時、俺の頭に謎の音声が流れた。


『レベル20に達しました。エインセルの進化条件を満たしています。進化しますか?』


「おぅ……そういえばそんなのもあったな」


 進化、か。ゲームだと、ピクシーの進化は単により高性能な形態が追加されるイベントだったが、こっちではどうなんだろうな。


 ちょうど今のゴブリンで十匹目。キリが良いし、今日はここで終わりにしよう。


 ――――――


 というわけで、場所を移って我が邸宅。大樹に帰ってきた俺は、ソファに座って休んでいた。


「そうだな。まずは俺のステータスを確認しておこうか」


 進化前と後で何がどう変わるのか、比較しておきたいからな。

 俺はメニューを開くと、自分のステータスを確かめた。




 ドリア=ポーリュシカ(25)

 性別:男

 種族:ピクシー(L20)

 形態:ロックピクシー

 状態:進化可能


 HP160

 MP280

 攻 288

 守 118

 魔 327

 知 265

 速 398


 熟練ポイント:10


 取得済みの形態

『バトルピクシー』『ヒールピクシー』

『ロックピクシー』




「俺の防御力よ……もうちょっと頑張ってはくれまいか……」


 ピクシーだから仕方ないね。


 熟練ポイントは、レベルアップのたびに『魔法の才』につぎ込んでいたので、ほとんど残っていない。

 そろそろ熟練ポイントは節約して、もっと他の項目を伸ばすのに使っても良いかもしれない。


 ピクシーの進化先はエインセルになる。これはゲームでもそうだったな。進化先についても少し調べておこう。




『エインセル』

 ピクシーが一回進化した種族。レベル20に到達した証拠で、一人前のピクシーの証明でもある。


 レベル35でニンフに進化する。




 ニンフ……妊婦?

 あっごめんなさい冗談っす。ニンフという精霊がいるので、そこから名前をとっているっす。


 エインセルの次は、レベル35でニンフか。……そういや、いつ森を出るのかは全く決めて無かったな。はっはっは、実は意外とこの家の居心地が良くてな。

 そうだな、ニンフに進化したら森を出てみようか。


 とりあえず確認も済んだし……進化するか。


『進化しますか?』


 進化しまーす。


『進化すると現在取得している形態は消滅します』


 はーい……いや、それは困るぞ。

 ちょ、待って。B、BB、進化キャンセル!


『進化と同時に新しい形態を取得します。

 それでは、おやすみなさい』


 あっ、それなら良い、かな……。

 おっ? 急に眠気が…………。


 ――――――


『バトルピクシー・ヒールピクシーが消滅しました。

 ロックピクシーはケイブエインセルに変化しました。

 マジックエインセルを取得しました。

 それでは、おはようございます』


 べちん。


「んごっ!」


 まるで脳の中を叩かれたような刺激を受けて、俺は一気に目が覚めた。


 ソファで寝てしまったのだということはすぐに理解した。

 とにかく物が無く、食器棚はほぼ空。宙に浮かぶ提灯が優しく室内を照らし、チャーリーがクネクネと踊っているいつもの一階の光景。


 何でこんなところで寝たんだっけ。


「…………あ、進化」


 記憶を探ること二十秒。俺はさっきの出来事を振り返ることができた。


「ぐおぉ力が湧いてクルー、なんてことは無いんだな」


 寝てる間に全部終わってしまったのだろうか。

 やはり相変わらず、俺の姿に変わりはない。遺跡で見つけた手鏡で見てみる。目や髪の色が変わったみたいな中二病的変化を予想していたが、それも無し。


 ぽきっ、ぽろっ。


 羽も特に変化無し。俺は羽を背中に戻した。


「まあ、ステータス見るのが一番早いか」




 種族:エインセル(L20)

 形態:ケイブエインセル


 HP280 (+120)

 MP360 (+50)

 攻 397 (+109)

 守 157 (+39)

 魔 405 (+78)

 知 389 (+124)

 速 467 (+69)



 形態:マジックエインセル


 HP240 (+80)

 MP540 (+260)

 攻 273 (-15)

 守 133 (+15)

 魔 521 (+194)

 知 467 (+202)

 速 536 (+138)



 おお! ちゃんと進化してるぞ。


 今までの形態は無くなったが、新しいものが二つ追加されている。ステータスも伸び……ん? 伸びすぎじゃね?


 もうステータスが500を超えているのがいくつかあるんだが、これが普通なんだろうか。

 いや、普通なんだろうな。エインセルになって一人前のピクシーなわけだし。


 マジックエインセルはどんな形態か予想はつくが、ケイブエインセルって何だ? 洞窟ケイブ……ゴブリンの巣に潜りまくったせいでこんな形態を取得してしまったのだろうか。


「まあ、ディクショナリーで調べるのが一番早いか」


 すっかりメニューに頼りきりになっている気がする。

 まあ、マップは自分でも描いてるからそこまで頼ってるわけじゃないが。ディクショナリーに関しては、もっとものを見て観察をするよう心がけたほうがいいかもしれない。

 採ってきた木の実が毒がどうか、全部ディクショナリー任せにしてしまっているからな。

 ここらで森の木の実図鑑を作ってみるのも面白いかもしれない。




『ケイブエインセル』

 洞窟探索に特化した形態。ステータスは他の形態と比べて伸び悩むが、洞窟系ダンジョン探索ではレベル以上の活躍をする。


 低酸素状態に強くなり、毒ガスが効かなくなる。また、宝石や鉱物を見つけやすくなり、暗闇でも目が少し見えるようになる。


 真っ暗な洞窟にもひるまない勇気あるエインセルの証だよ!



『マジックエインセル』

 魔法系のステータスが大きく伸びる形態。攻撃力もそこそこ伸びるので、殴っても強い。MPが切れても安心。防御力は諦めるべし。


 MPの自然回復速度が少し速くなる。


 魔法に対する真摯な姿勢を待つ勤勉なエインセルの証だよ!




「だよ! って、お前どういう立場なんだよ」


 ケイブエインセルは、単純に今までの強化版と見て良いだろう。全てのステータスが伸びていて、攻撃力も高い。今度から洞窟でのレベル上げが捗るな。


 マジックエインセルは攻撃力が少し下がっているが、誤差みたいなものだ。魔法もスピードも跳ね上がっているし、普段過ごす時はこっちで良いんじゃなかろうか?


「そうだな、ちょっと能力を試してみるか」


 俺はいそいそと地下へ向かった。あの地下室の訓練場、多少暴れても壊れないからな。全く、便利な家だよ。

一章も終わりが見えてきました。

ヒロインさんにはそろそろアップを始めてもらおうと思います。

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