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【改稿中】地球から来た妖精  作者: 妖精さんのリボン
一章 森と家と遺跡
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貧弱、虚弱、息くさい

正直キーワードって何設定したら良いか全然分からんのです。

割とテキトーに設定したので、今後キーワードは適宜変更してゆくかもしれません。

 ゴブリンは俺に向かってぺたりぺたりとゆっくり近づいてきた。

 ゴブリンから俺は、大柄の蝙蝠こうもりにでも見えているのかもしれない。ヨダレを垂らしてこちらを見ている。


 いや、ゴブリンは目が見えないんだったな。その大きな耳で俺の声や呼吸音を耳聡く拾っているのかもしれない。


 だったら、なるべく接近音は立てないほうが良いな。

 こういう時、羽音のしない俺の羽はとてもありがたい。


 逆手にナイフを構えた俺は息を止めて、一気にゴブリンへ肉薄し、その飛行スピードを活かして奴の喉に勢いよくナイフを突き刺した。


 って、うわっ、コイツ息臭えっ! 腐ったチーズのニオイがするぞ。

 思わず顔をしかめるが、今は戦いの最中、雑念は振り払うべし。


「ヒグッ……!」

「ふんっ」


 そのままナイフを右下へ振り抜き、ゴブリンの喉を引っ掻くように断つ。

 その衝撃でゴブリンの身体はわずかに後退する。パックリと割れたゴブリンの首からは血が吹き出し、洞窟の壁に波のような血痕を残す。

 そういえば、人の首を切ると脈拍に合わせて血が噴き出す勢いが周期的に変化し、こんな波みたいな血痕ができるとミステリ小説で読んだ気がする。


 さすがに人の首を切ったことはないからなあ。こんな風になるのか。怖いな。


 ゴブリンはナイフの一撃で絶命したのだろう。そのまま後ろに倒れ込んだ。

 俺はゴブリンと地面がぶつかる前に身体を支えて、音が出ないようにゆっくり死体を横たえた。


 うーむ。あっさり終わったな。たしかにロックピクシーになって攻撃力は上がっているけれども。

 さすがゴブリン。貧弱、虚弱、息くさい。


 喉を狙ったのは、もちろん急所だからというのもあるが、一番の理由は断末魔をあげさせないためだ。

 ゴブリンの声帯の位置は、解剖して把握していたからな。そこを狙って切ったのだ。


 ゴブリンが何で周囲の様子を把握しているのかは知らんが、どうせ音だろう。

 旧カンデラ遺跡で、かなり接近したにもかかわらずゴブリンに気づかれなかったことがあったのを覚えているだろうか。あの件を考えればゴブリンの嗅覚はさほどでもないはずだからな。

 嗅覚、視覚がメインのセンサーではないとなれば、あとは聴覚と触覚くらいなものだ。


 だったら、音さえ立てなければ増援は来まい。


 さて、回収回収。

 ストレージに死体の収納は可能だというのは間違いないが、どうやら死んでしばらく経たないと収納できないらしいのだ。

 たぶん、心臓が止まったらとか意識がなくなったらとか色々条件があるんだろう。


 なので、少し待ってからストレージへ入れる。


 しかし、さすがに接近戦は血で汚れるな……服にまでべっとりだ。不味いな、これ洗っても落ちないんじゃないか? やっちまったかもな、服はこの一着しかないのに。


 ……そういや、血液には塩分が含まれるんだよな。魔法でゴブリンの血から塩を精製……できたとしても使いたくねえな、そんな塩。


 あっ、そうか。魔法だ! 汚れを落とす魔法を開発しちゃえば良いじゃん。そしたら洗濯をする必要がないしな。洗濯物が乾くまで全裸で待機するのはもう嫌だぜ。


 待てよ、塩って要するに塩化ナトリウムだよな。酸素と水素が化合したものが生み出せるんなら、ナトリウムが塩化したものだって生み出せるんじゃないか?


 おっおっ、なんか今、いろんなことがすごい勢いで解決していないか!?


 まあ、実際にやってみたら、そんなスムーズにはいかないだろうけどさ。

 例えば汚れを取る魔法だって、何を汚れと定義するのかを考えなくちゃいけないし。極端な話、染め物の染料も汚れと見なされて綺麗に漂白されてしまうかもしれないのだ。そのあたりを適当に進めるのは論外である。


 何はともあれ、色々な問題に糸口が見えた。これは大きな進展である。


 それはそれとして、今は洞窟を出ることに集中しよう。うーん、せっかくだしもう一匹くらい、狩っておくか?

 わざと音を立てればゴブリンをおびき寄せることができるかもしれないし。


 いや、そんなことをして囲まれたら危険だな。仮にやるとしても入り口付近でやるべきだろう。


 俺はそう結論付けると、地図を見ながら帰路を導くのであった。


 ――――――


「分かってました、分かってましたよ、こうなることくらい」


 予想通り、洗濯魔法の開発は難航した。


 まずは、予め汚れ成分を指定しておいて、その成分を服から取り除く方法を考えた。

 だが、これは現実的ではなさそうである。


 まず血液というのは、そもそも身体中に酸素や栄養などを運ぶための液体である。そのため塩分だけではなく、ヘモグロビン、、脂質、ブドウ糖、コレステロール、鉄分、リンなどなど、無数の物質が含まれている。

 汗はそのほとんどが水分だが、ミネラルや尿素、皮脂などやはり色々なものが含まれている。


 服に飛び散ったインクも汚れだし、調理中にハネた油も当然汚れ。服に土がつけばそれも汚れで、こぼしたコーヒーだって汚れになる。そんなのいちいち指定していられない。


 つまりは、成分を指定した洗濯魔法なんて意味が無いのだ。


 次に、『俺が汚れだと見なしたものを服から取り除く』という魔法。

 これは良さそうな案だが、現実は甘くない。


 具体性の無い魔法は、それだけで発動しにくくなる。漠然と世界平和や億万長者を願っても、そんなの叶うわけがないのだ。


 自分でもイメージしきれていない曖昧な願望を、強く願うということ自体に無理がある。そんな願いに魔力は反応してはくれない。


 できないなんてことはないが、今の俺の技術ではおそらく魔力の消費が膨大になってしまうだろう。洗濯のたびにMPを空にするのはなんともバカらしい。


 というわけで、ただ今第三案を出すべく頭を捻っております。


 そして塩を、というより塩化ナトリウムを生み出す魔法だが、これは一応できた。

 ただ、この魔法を使って一グラムの塩を作るのに必要なMPはなんと100。小さじ一杯分の塩でも500のMPを使う。


 魔石から魔力を取り出せばMP問題はある程度カバーできるが。それでも塩一キロを作るのに、一体ゴブリンが何十匹犠牲になるのか……。


 魔法大全によると、どうやら物質を無から作り出す魔法は、分子量や物質の安定性などによって必要な魔力が爆発的に増えてゆくみたいなのだ。

 水を生み出す魔法は、水の属性を持つ魔力を利用できるからこそ、特別低コストで発動できるらしい。


 どうやら俺も水の魔力をいつの間にか利用していたらしい。完全に無意識だった。


 というわけで、今のところ成果はイマイチだ。まあ、当たり前だよな。この魔法があったら、術式の塩化ナトリウムの部分を金に書き変えるだけで大金持ちだ。さすがにそこまで現実というのは出来すぎてはいないみたいだ。


「ただ、魔法にもだいぶ慣れてきたのは間違いないな。今度から本格的に畑作りの作業に移るか」


 もちろん、レベル上げと魔法の勉強もだけれど。


 ああ、そろそろDIYもやりてえな。娯楽にもなるし、それ以上にこの家はとにかく足らんものが多すぎる。特に鍋とかざるとか料理包丁とか、金物が全然無いのだ。


 何か金属が欲しいんだが、さてこのあたりに使えそうなものはあるだろうか?

 まあ探索もしつつ、金属加工の魔法も習得していこうか。


 ……俺、全くヒマが無いじゃん。まあヒマがあっても星座を見ながらニタニタするしかやること無いんだけれど。

いつも閲覧いただきありがとうございます。


四千字を目安に更新とか言いつつ五千字を超えたり三千字になったりあまり安定してないですね……。

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