表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改稿中】地球から来た妖精  作者: 妖精さんのリボン
一章 森と家と遺跡
12/63

形態変化とスイッチジェム

 異世界生活を始めて、約一か月。今日は、先日言っていたゴブリンの巣窟を探しに行こうと思う。

 と、その前に。ここで一ヶ月の成果を確認しておこうと思う。




 ドリア=ポーリュシカ(25)

 性別:男

 種族:ピクシー(L15)

 形態:バトルピクシー

 状態:正常


 HP129

 MP216

 攻 199

 守 92

 魔 266

 知 199

 速 340


 熟練ポイント:10


 取得済みの形態

『バトルピクシー』『ヒールピクシー』

『ロックピクシー』←new!




「待ってマッテまって、なんか増えてるんだが」


 守が未だに三桁に届かないのは悲しい話だが、そんな想いも吹っ飛ぶような衝撃を俺は受けた。


 何で形態が増えてるんだ? ……レベルが上がったからか?

 いやでも、レベル15に上がったのは俺がローズコブラに襲われる直前。その時にステータスを確認したがロックピクシーなんて表示は無かった。その後、つまり俺がローズコブラに襲われた後に、新しい形態を取得したことになる。


 ……ゲームでは、ピクシーの形態はストーリーを進めたりレベルを上げたり、特定の行動をしたり、とにかく何らかの条件を満たすと解放されていった。


 確かにゲームにも、バトルピクシーやヒールピクシーにあたる形態はあった。ゲーム内では『バトル形態』や『ヒール形態』といったように、『〇〇形態』と表記されていたため、微妙な差異はあるが。


 しかし、『ロックピクシー』も、『ロック形態』も、ゲーム内で見た記憶はない。……ゲームには無かった新しい形態が、この世界にはあるのだろうか?


「とりあえず、グー◯ル先生〜!」


 正確にはディクショナリー先生であるが。

 俺はメニューのディクショナリーを開いて、ロックピクシーと打ち込んでみた。




『ロックピクシー』

 岩や土の力を得た形態。音楽とは何も関係が無い。

 鈍重そうなイメージを持たれやすいが、他の形態と全く遜色ない俊敏性を持つ。焼け石に水程度の物理防御を得て、全体的に能力の高いバランス型となる。

 ただし代償として、泳げなくなる。それさえ目を瞑れば有用な形態。

 岩を使った攻撃を50回以上行うと解放される。




 岩を使った攻撃……?

 あっ、石持って体当たりしたやつのことか?


「そういや、ローズコブラに石を当てて逃げたよな。あの石回収できてねぇんだよなあ」


 まあ、石は新しく拾うとして。もしかしてローズコブラに当てた石が、ちょうど五〇回目の攻撃だったのだろうか?


 俺はストレージを開き、ゴブリンの死体の数を確認する。数は四十九だった。ゴブリン一匹につき体当たり一回なので、ローズコブラにぶつけた分と合わせて五〇回だ。……うむ、どうやらそういう事らしい。


 せっかくなので、俺はストレージからスイッチジェムを取り出した。


 そういえば、コイツを使うのは初めてだったな。今まではバトルピクシーで事足りていた。

 しかし初めてにもかかわらず、ピクシーの本能なのか、不思議と使い方が分かる。

 俺はジェムを持って一呼吸すると、その名を心に浮かべた。


(……ロックピクシー!)


 瞬間、スイッチジェムから一筋の土色の光が俺を額に向かって飛んできた。その光は岩のように存在感があり、まるで大地の力を分け与えられたかのように俺の心臓がドュンクと一度だけ跳ねた。


 スイッチジェムが光線を放ったのは一瞬で、今はもうほのかに虹色に光るばかりだ。


「えーっと……何が変わったんだ?」


 見た目には全く変化が無いのだが。

 いや、こういう時こそメニューから確認すれば良いのだ。




 形態:ロックピクシー


 HP129 (+0)

 MP233 (+17)

 攻 246 (+47)

 守 98 (+6)

 魔 280 (+14)

 知 217 (+18)

 速 333 (-7)




 おおっ、確かにステータスが高い!

 速は7だけ下がったが、他はHP以外上がっている。特に攻の伸びが凄まじい。50近くも増えてるじゃないか。


 そしてマジで焼け石に水だな。守が6しか増えてねーぞ!


「いつか防御の高い形態が取得できれば良いんだがな」


 ただゲームでは、特別防御力のある形態は無かった。ピクシーの物理耐久が低いのはバランス調整のためだもの。下手な人がやるピクシーは本当に脆いのだ。


 ピ『やっべ、タゲ来た』

 ピ『あっ』

 他『mps(=またピクシー死んでる)』


 というのは初期の頃の『ペンタングル』のテンプレの流れだ。

 もちろん上手い人がやるピクシーはめちゃくちゃ強いんだがな。ピクシーの研究が進み、有志の解説動画が増えたあたりからこのテンプレはあまり使われなくなった。

 だって、スイッチジェムのおかげでピクシーはマジでどんな役割でもこなせたからな。

 特に連戦系のイベントなんかは、敵に合わせて役割を変えるピクシーが世界ランキング上位の常連だった。


 さて、話は脱線したが。

 続いての成果といこうか。


「風呂が使えるようになったのはホントにありがたい」


 魔石を使えるようになったのは大きな一歩だ。

 やっぱお湯に浸かるのは良い。小さい頃は熱くて退屈で、風呂なんて早く出たくて仕方がなかった。でも大人になって、清潔にするのは気持ちが良いと気付いた。

 あと、身綺麗な男はモテる。これ一番重要。


 魔石はまだ二個残っているが、これは手を付けていない。遺跡はローズコブラに占拠されてしまったので、新しい魔石の補充の目処が立っていないからだ。


「あと、イモ類を見つけたな。……正直、食べるのはちょっと怖いんだが」


 それは異世界生活二十日目にして、突然俺の行手に現れた。

 見た目は大きな広葉をつけた俺と同じ背丈、つまり三〇センチくらいの低木だったが、画像検索してみるとなかなか面白いものだと分かった。




『コロキャッサバ』

 タピオカの原料。毒抜きせずに食べるとコロっと死ぬ。


 タピオカに限らず、あらゆる料理に使えて美味しい万能イモ。栽培は茎を地面に刺しておくだけで良いので簡単。

 皮と芯を取り除くだけで毒素は5%以下まで除けるが、さらに細かく刻んだ上で数時間水に晒すとなお良し。

 キャッサバの中でも極めてあし・・が速く、保存する場合はその日のうちに加工を済ませること。




 皮と芯を取っても、二〇個食べたらちょうど一個分の毒が回るんですかね……。

 コロキャッサバはしっかりと水に晒してからいただくとしよう。なに、気にしたら負けだ。このテの怪しい食物は地球にも山ほどあったのだから。


「後は、畑作りに向けて準備を始めたくらいかな」


 手元にはタマニオンとコロキャッサバ、そして食料として集め続けた木の実や果物たちのタネがある。ひとまずタマニオンとコロキャッサバを中心に、栽培をしてみようと思うのだ。


 その下準備として、農場の設計図や、候補となる土地を探したりしているのだ。

 さすがに闇雲に、木をザシュ! 土をボゴッ! タネをバッ! って訳にはいかん。水捌けや陽当たりなんかもチェックしないといけないからな。

 それに、姿はほとんど見ないが動物は居るっぽいのだ。畑を守る柵も作っておかないと。


 土地はやっぱり泉には近いほうが、水やりが楽で良いだろうか?

 でも俺、魔法で水が出せるんだよな……。うーん、そもそも魔法で出した水でも植物は育つのか? 色々検証していかないとな。


「ま、今までの振り返りはこんなもので良いだろう」


 俺はいつもの水瓶に水が入っていることを確認すると、家を出てゴブリンの巣窟の捜索に向かった。


 ――――――


「ま、アテは全く無いんだけどな!」


 とりあえず旧カンデラ遺跡の上空までやってきた俺。

 ノーヒントだが遺跡の中に入るよりは堅実にゴブリンの巣を探したほうが良いに違いない。


 もっとレベルが上がればあの大蛇も討伐できるかもしれんがな。


「そういや、ピクシーってレベル20で進化するんだよな。俺、もうすぐじゃないか」


 進化によってどのくらい強くなるかにも拠るが。


 とにかく、進化より今はゴブリンだ。洞窟がありそうな、ちょっと高低差がある場所に狙いをつけよう。


「……って言っても、マップは俯瞰図だから高低差までは良く分からないんだよなあ」


 辺りを良く見ながら、虱潰しにするしかない。

 とりあえず低めの高さをゆっくり飛びながら、洞窟またはゴブリンを探す。方角は遺跡から、とりあえず東に向かって探索する。


 陽の傾きから、だいたい三時間くらいだろうか? そのくらい飛び続けて、俺は気付いた。


「これ、分かってはいたんだがな。めっちゃくちゃ面倒くさいぞ……」


 しかも、俺が考えていた十割増くらいで。

 まあ、そうだよな。ゲリラ兵のキャンプが空から簡単に見つかるわけないよな。ゴブリンはゲリラじゃないが。


 俺は頭をかきながらローズコブラを恨むのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ