表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/35

6 秒でぶっ壊れる旦那様の本命さん説

「見に来ちゃった……」


 ビスカは、クロード様のことが好き。なのかもしれない。

 彼女の訪問がそんな考えに繋がってしまったものだから、こっそりと二人の様子を見に来てしまった。

 土は落としたものの、作業着のままである。

 セイジ家のリビングでは、クロード様とビスカが親し気に話している。

 内容までははっきり聞こえないけれど、クロード様の表情は、私に向けるものとは少し違って。

 

「遠慮が……ない……!」


 急な結婚だったこともあってか、クロード様は、まだ私に対して遠慮しているような気がする。

 私がよく見るのは、黒い瞳を細めた柔らかな笑みに、ちょっと困ったような笑い方。

 そういった、穏やかなものだ。

 でも、今は。呆れたような顔。げんなりとした顔。ちょっと怒ったような顔。いつもより表情豊かで。

 ビスカもどこかうっとりとした様子で、楽しそうにしている。

 この仲のよさ。私の服装が服装だったとはいえ、来客中に遠ざけられもした。

 これは、まさか。


「本命さん……!?」


 私の中で、ビスカ本命説が、浮上した。

 妻は私だが、契約婚のようなもの。クロード様が本当に愛しているのは、ビスカなのかもしれない。

 これはどうしたものでしょう。

 クロード様に本命さんがいるなら、応援したいところ。

 でも、妻のポジションを渡すことはできないし……。

 離れた位置から壁に隠れて様子を伺う私に、背後から声がかかる。


「モカロリーゼ様?」

「ひゃわうっ!?」


 声の主は、セアナ。こそこそする私に気が付いて、声をかけてきたようだ。

 どうしましょうどうしましょう、と困惑していたこともあり、驚きで大きな声が出てしまった。

 結構な声量だったため、クロード様とビスカもこちらを見た。

 二人の視線が同時に私をとらえる。


「あ、あはは……」


 もはや、曖昧に笑って姿を見せるしかなかった。完全に気が付かれたから、誤魔化しようがない。



***



「俺とビスカが!?」

「私とクロード隊長が!?」


 二人が、ほぼ同時に叫んだ。


「は、はい……。そうなのかなと」

「「違います!」」


 今度は、声が重なった。


 ワンピースに着替えた私は、二人と同じテーブルにつき、「ビスカ本命説」について話した。

 私の独り言を聞いていたのか、セアナに今すぐ本人たちに確認すべきだと言われたのだ。

 なんなら、言い淀む私の横で、さらっと「ビスカ様本命説が出てますよ」と言い放ったのも彼女である。

 セアナにバラされてしまったので、この疑惑を隠しておくこともできず。

 正直に話せば、二人はこの反応である。

 クロード様が、額に手をあてながらふーっと息を吐く。


「モカ。違う。俺は……。俺が、すき、なの、は」

「モカロリーゼ様!」

「は、はい」


 もごもごするクロード様の言葉を遮る形で、わっと私の名前を呼んだのは、ビスカ。

 あまりの力強さにちょっとびっくりしてしまった。


「私……。モカロリーゼ様の大ファンなんです!」

「へ?」


 私の大ファン? クロード様の本命さんではなく?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ