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シード

俺はシード。ハイリの弟で、カイの兄だ。


このマギラワシ町がまだ村だった時は平和だった。

それがどうしてこうなったのか。

家族が集まっている執務室で、俺は途方に暮れている。


「シード様、そろそろ私にもフンドシをください」

「あんたには必要ないでしょうが」

毎日のようにやってくる、このゴリゴリ筋肉の名はプラティ。

「まだ足りませんか? コスタルやカリナスよりも筋肉をつけたと思うのですけど」

コスタル達はフンドシをもらっているのにズルイです、とか言われてもな。

「あんたは女でしょうが」

もう一度言うぞ。

プラティは女、だ。


「でも、シード様に認めていただきたいのですもの。私、上半身ハダカでいけますから!」

イヤイヤイヤイヤ。

「アホかあんたは!上半身ハダカになる女がどこにいるんだ!」

「ここにいます!鍛えあげられた私の大胸筋を見ていただけたら、きっとシード様も認めてくれると思うのです。もはやこれは胸ではありません。筋肉ですから!」

顔も声もかわいいのに、はあ。

「あんたがゴリゴリ筋肉なのは認めてるよ」

実際、男の集団の中でよくやってると思っている。

「違います。ゴリゴリ筋肉を認めて欲しいわけではありません」

違うのかよ!

「じゃあ、何を認めたらいいのよ」


意味がわからない。これだけ一生懸命に取り込まれたら、応援してやりたくなるだろう?

きちんと認めてやりたい。

そう思って言ったのに「シード様は意地悪です」って走って行ってしまった。


「あ〜あ、プラティ泣いてるぜ」

なぜそんなに非難めいた視線で見るのだ、カイ

「シード兄、責任を取る気がないんなら、もう解放してやりなよ」

「は?」

解放ってなんだよ。俺が悪いの?プラティが勝手にまとわりついてきてるんだけど。

「シード兄があんなこと言うから、プラティは頑張って筋肉をつけたんだろうに」

え、俺何か言ったっけ?

記憶にない。

「プラティがシード兄に、好みを聞きにきたことがあっただろう?」

そう言うカイに相槌をうったのはライラさんだ。

「シード様はどういった方を美しいと思いますか?って聞きにきたのよね」

ああ、そんなことあったな。

「都会のすましたヒョロッとしたやつよりも、筋肉のしっかりついているやつが(生き様を感じて)美しいって言ったアレか?」

アレがなにか?

「あの時のプラティ、恥ずかしそうに好きな人の好みを聞きにきた少女、って感じで可愛かったわよね」

は?

「そこで筋肉の話になるシード兄は変わってるよな。どこを見たってシード兄にベタ惚れだろ、プラティは」

え? 俺のこと好きだったの?

「正直、シードはあの子のことをどう思ってるの?」

どう、って母さん。

「顔とか声はかわいいんじゃないか? 性格も真っ直ぐだしいい子だとは思うが」

「じゃあ決まりね!」

もはや女ではない、と言おうとするよりも早く母さんが何か言って、窓から筒型の何かに火をつけ白煙をあげた。


「私は普通でよかったんだけど、ウチの嫁はみんな変わった子になっちゃったわね」

楽しいからいいけど、って母さん?

「リーナとプラティはともかく、ライラは普通だろうが」

って兄さん?

番頭しながらお金を数えるのが趣味のライラさんは普通じゃないと思うよ。

「リーナが普通じゃないことは事実だから仕方ない。リーナは天使で女神だからな」

カイのとこはまあ、アレだ。うん。

と、ドアが開いてプラティが入ってきた。後ろから白い何かを持ってるリーナも入ってきた。

「白煙が上がって……。シード様、決心していただけて嬉しいです。必ず幸せにします!」

ってそれドレスじゃねーか!

おい、カイ!この黒いのどけろ!動けん。

リーナ、やめろ。着せるな!

「最後の1人も嫁に出せて、肩の荷が下りたわ」

って母さん!さっきの変わった嫁って俺のことだったの?!



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