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生まれ変わって神竜目指します!  作者: ハグキング
9/12

8 長期戦

 森の中をすさまじい勢いで駆けてゆく二匹の魔物。


 一匹はヤングレッドドラゴンこと俺、リュウです。

 その後ろからウニウニという見た目からは想像もできない速さで追いかけてくるイモムシ、バラモンデスワームです。


 20mはあろうかという茶色の体、怪しく光る8つの赤い目、グロテスクな口からは、触手を出しながら涎をダラダラと垂らしている。


 しばらく全速力で走っているけど、差は広がらないし縮まらない。

 ステータス通り、スピードはほぼ同じだ。


 スタミナはたぶんこちらのほうが絶対に低いので、このまま行けば、いつかはパックンチョされること間違いなしだ。


 何度かニトロストーンや《火炎放射》で隙を作って物陰に隠れてみたものの、なぜかすぐに居場所がバレてしまった。


 その理由は相手の【妄執】という称号にあったようだ。



****

【妄執】:一度狙った獲物を絶対に逃がさない。

****


 絶対に逃がさない。

 たぶんこの称号のおかげで、狙った獲物に対して感知能力が極端に上がっているのだろう。

 はあ~厄介厄介。


 逃げている途中でウェンウルフやニードルバグとも遭遇したが、バラモンデスワームはそいつらには目もくれず俺にしか興味が無いようだった。

 これも【妄執】の特性なのだろう。


 まったく、腹減ってんならそいつらで済ませよって思うよね。


 ちなみにこんな調子だけど、内心はすごい焦っていたりするのだ。


 回復系スキルを見逃すという失態を犯したので、すべての称号とスキルを鑑定してみた。



****


称号


【食王】:日に500kg以上の食を摂る証。食べた物により能力が上昇することもある。

【バラモンの森の主】:バラモンの森で一番強い魔物

【厄災】:100人以上の人間族を殺した者。人間族に対し恐怖を与える。

【無限胃袋】:どれだけ食べても満腹にならない胃袋

【妄執】:一度狙った獲物を絶対に逃がさない。


スキル 


《衝撃吸収》:自身にかかる衝撃を50%緩和する。

《強酸胃液》:金属をも溶かす胃液を自在に吐き出せる。射程は10mほど。

《食事回復》:魔力を消費し、食事をすることで回復できる。

《忍び足》:相手に認知されていない時、気配を遮断する。


****



 なかなかに強力なスキルがそろっている。

 特に気を付けなければならないのが《強酸胃液》と《食事回復》だな。


 俺とバラモンデスワームの距離は20mほどだ。《強酸胃液》の射程は10mらしいのでまだ大丈夫だが、これ以上距離を詰められるとまずい。


「ブオオオ!」



 ぬわ!この距離で胃液吐き出してきやがった!

 でもやっぱりこっちまでは全然届いてないな。まだ大丈夫だ。


 ていうか自分の吐いた胃液が自分にかかってるぞ。「シュウウ~」とか煙出てるし。

 あんまり頭はよくないみたいだな。




 ともかく、このままじゃ俺は食われるのは確実だ。


 この状況を打開するにはやっぱり自分から攻撃するしかないよね。


 唯一バラモンデスワームへの突破口となりそうな特性が俺にはある。

 それは“レベルアップでステータスが全回復する”という点だ。


 レベルアップしたところでステータスが全回復するような厄介な魔物を俺は見たことがない。


 万が一この世界が、前世で俺がいた世界とは違っていた場合はどうかわからないが“世界の意思”の声もエイリューンたんの物だったし、リザードマンの姿形も同じだったので、十中八九同じ世界だろう。


 ということはこの特性は非常に有利だ。


 バラモンデスワームに襲われたのが進化したてでよかったかもしれない。今の俺はレベル1、きっとすぐにレベルアップするはずだ。


 幸い、こうやって走っているだけでさっきから魔物にバンバン遭遇する。

 大抵はバラモンデスワームに踏みつぶされて死んでるけどね・・・。


 長期戦になるが、《火炎放射》を繰り返してバラモンワームの体力を削り、途中で魔物を倒して進化し、ステータス回復してからまた《火炎放射》で削る。


 これしかないだろう。


 《火炎放射》一発の消費魔力が5、レベルアップ用に25は常にキープしておきたい。


 よし、腹はくくった。



「《火炎放射》!!」



 俺は走りながら後ろに火炎放射を放つ。

 

 スキル名を叫んだのは気分だ。


 《火炎放射》の射程は15mしかないが、バラモンデスワームはこちらに走って迫ってきているので、自ら滞空している炎に突っ込むわけだ。なので20mの今の距離でも十分にダメージを与えられる。


 下手に近づけばすぐに《強酸胃液》が飛んできそうだしね。



 ゴオオオオ!!


 大きな炎の波がバラモンデスワームに襲い掛かる。



「ブオオオオオオオ!!」



 苦しそうな声を出してるけど、そこまで効いてないみたいだな、その証拠にスピードは全く緩んでいない。


『アーマービートルを倒しました。120の経験値を獲得しました。』


 頭の中に甘美な声が流れる。


 お、ちょうど魔物が火炎放射の動線上に飛び出してきたらしいな。

 運がいいね。しかも一撃で死んだみたいだ。


 たぶん今の俺ならこの辺の魔物はみんな一撃で殺せると思う。



「《火炎放射》!《火炎放射》!《火炎放射》!」



 おらおらおら燃えろ!!


 どんどん連射していくが、バラモンデスワームは痛みに慣れたのか無言のまま追いかけてくる。こえーよ。



****

バラモンデスワームLv.96


体力 2720/3600

魔力 800/1000

攻撃力 1580

防御力 2860

素早さ 400

称号 【食王】【バラモンの森の主】【厄災】【無限胃袋】【妄執】

スキル 《衝撃吸収》《強酸胃液》《食事回復》《忍び足》

****



 少しずつだけど、たしかに削れていってるな。

 さて、そろそろ俺の魔力が少なくなってきたぞ、余裕のあるうちに経験値を稼いでいきたいな。


 すると、前方の草陰からウェンウルフが飛び出してくる。


 よしゃラッキー!


 驚くウェンウルフの後ろ脚をつかみ、そのままバラモンデスワームの方向へ投げる。



「きゃいーーーん!」


「《火炎放射》」



「ぎゃん!!」



 炎は、投げ出されたウェンウルフを包み込み、そのまま直線状にいるバラモンデスワームにも被弾する。


『ウェンウルフを倒しました。115の経験値を獲得しました。Lv2に上がりました。』




 はっはっは!《火炎放射》でウェンウルフを殺し、その後ろから迫ってくるバラモンデスワームにもダメージを与えられるという魔力節約技だ! 


 よし、予想通りすぐにレベルアップしたな。



****

リュウLv.2

種族 ヤングレッドドラゴン(変異種)

体力 520/520

魔力 305/305

攻撃力 370

防御力 310

素早さ 410

称号 【竜を愛する者】【エクスプロージョン】【サイレントキラー】

スキル 《火炎放射》《鑑定》《爪貫き》《爆裂パンチ》《爆破耐性》《竜言語》


****


 よし、ちゃんと回復してくれたな。

 さっきまで少し息切れしてたんだけどそれもなくなった。ちゃんとスタミナまで回復してくれるみたいだ。


 素早さが少し上がり、ほんの少しだけ俺のほうが早く走れそうだ。

 でもこの程度じゃとても振り切れそうにないな。


 仮に一旦振り切れたとしても【妄執】がある限り、バラモンデスワームは俺をあきらめることはないだろう。


 やっぱりここで倒すしかない。


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