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生まれ変わって神竜目指します!  作者: ハグキング
5/12

4 ニトロストーンを求めて


 マジックバッグを手に入れた俺は、まずはニトロストーンの採取をすることにした。


 前世でも聞いたことがないこのバラモンの森、今のところ魔物はハングリーベアにしか遭遇していないけど、もっと強い魔物もいるかもしれない。


 そんな奴と遭遇した時に備えて、ニトロストーンを大量にストックしておくのだ。


 とりあえず昨日、ハングリーベアを倒した岩場に行ってニトロストーンを回収する。


 途中で食料の確保も忘れてはいけない。

 とにかく燃費の悪いこの体は大量に食料が必要になる。

 具体的には、2時間歩くとお腹ペコペコって感じだ。


 食いだめしておけば1週間は不眠不休で動けた前世と比べるとなんとも心許ない。


 オオリスのほかにも、オオニワトリやバラモンフィッシュという鳥や魚も捕まえてはマジックバッグに放り込んだ。味付けの香草も忘れてはいけないぞ。


 岩場で50個ほどのニトロスト―ンを手に入った。だがまだ少ないな。

 一応、素でハングリーベアと互角くらいのレベルにはなったことだし、今日は少し遠出してみよう。



 前にも思ったけど、この森は木がまばらで日の光もよく入る。獲物を見つけやすいが、逆に敵から隠れる場所が少ない。


「ゴア?」


 ほら、このように簡単に魔物に見つかってしまうわけだ。



****


リザードマンLv.5


体力 30/30

魔力 10/10

攻撃力 50

防御力 50

素早さ 50

スキル 《噛みつき》


****



 前方の木の陰から現れたのは緑色の鱗に覆われたリザードマンだ。

 トカゲと人間を足して2で割ったような魔物だ。


 リザードマンはドラゴンの末裔なんて言うやつもいるけど俺は認めない。

 こいつらは常に群れで行動し、獲物を探す。

 ドラゴンのような美しく気高い孤高な品性が無いのだ。


 リザードマンはこちらに気づくと、両腕を上げて威嚇しながら近寄ってくる。阿保みたいな格好だな。


 だが俺のレベルはすでに13、リザードマンなど瞬殺できるのだが、脳みそのサイズがペッパの実程しかない奴には理解できないみたいだ。



「ゴアア!!」


「ガウ!(オラ!)」


「ギャイン!?」



 飛びかかってきたリザードマンにカウンターで尻尾を振るう。


 思いっきり吹っ飛んだリザードマンは腹を抑えてぴくぴくしている。

 うまく鳩尾に入ったようで、死んではいないが瀕死の重傷だ。



****


リザードマンLv.5


体力 5/30

魔力 10/10

攻撃力 20

防御力 20

素早さ 20

スキル 《噛みつき》


****



 あと一発小突けば死ぬな。よし、レベルアップの糧とさせてもらうか・・・・いや待てよ?

 リザードマンは常に群れで行動するはず。


 周りを見渡しても他のリザードマンは見当たらない。


 コイツははぐれたのか、それとも群れに帰る途中だったのか。


 リザードマン程度であれば簡単に勝てるのは分かったし、少し泳がせてみるか。うまくいけば大量の経験値と肉ゲットだぜ。



 近くにあった一番太い木に身を隠して様子を伺う。

 10分くらいでリザードマンは起き上がり、お腹を痛そうにスリスリ摩りながら周囲を見渡すと、ほっと溜息をついた。


 よし、安心してるな。


 リザードマンが立ち上がり歩き出す。

 その後ろを俺は静かについていく。



 ――――しばらく歩き、洞穴からだいぶ離れてしまったが、目の前の光景に変化があった。

 森が途切れ、現れたのは切り立った崖だ。


 崖には大きな穴がいくつも空いていて、たくさんのリザードマンが出入りしている。

 ビンゴだ。ここがリザードマンの巣らしいな。


 さっきの瀕死リザードマンも群れに合流し、仲間に慰められている。

 おれは木に隠れながら様子を伺う。


 さて、見たところ穴から出ているだけでも30匹近くいる。全部合わせれば50匹はいるかもしれない。なかなかに大きな巣だ。


 一際目を引くのは中心にいる青いリザードマンだ。他のリザードマンより体が大きいし、手には槍を持っている。



****


ハイリザードマンLv.18


体力 100/100

魔力 100/100

攻撃力 120

防御力 130

素早さ 80

スキル 《槍術(初級)》《水鉄砲》


****



 む、上位種のハイリザードマンか。こいつがこの巣のリーダーだろう。なかなか強いな。

 流石にこの巣に奇襲をかけるのは無謀だな、いったん諦めるか。


 リザードマンは、リーダーの指示に従って、崖を掘っては何かを運んでいる。

 見覚えのある鈍い光が目に入る。


 あれは、ニトロストーン!!


 なんでリザードマンがニトロストーンなんか集めてるんだ?


 リザードマンたちは、蟻のようにせっせと小さい巣穴に運び込んでいる。


 まあいい、あんなに大量のニトロストーンがあるんじゃ見逃す手はないな。

 やつらを全滅させて糧とする!


 俺はかなり迂回しながら、崖の山部分、つまり巣の後ろに回りこむ。

 こちら側にリザードマンが少ないのは確認済みだ。


 まず一番近くにいたリザードマンに静かに近づく。


 呑気に欠伸なんかしてこちらには気づいていない。


 俺は手を手刀のような形にし、そのまま爪をリザードマンの心臓部に突き刺した。

 所謂貫き手だ。



「ゴア!」



 と小さく悲鳴を上げ、胸に風穴を作ったリザードマンは地面に崩れる。


『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得、スキル《爪貫き》を獲得しました。』


 お、今の技がスキルになったな。


 リザードマンの死体をマジックバッグに収納し、再び隠れながら次のリザードマンを探す。

 木や岩に隠れ、ひっそりと近づいては《爪貫き》で仕留めていく。

 俺の動きがいいのかリザードマンの察しが悪いのか、一度も見つかることなく10匹目を倒した。


『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得、14Lvに上がりました。称号【サイレントキラー】を獲得しました。』



 ようやく1レベルアップか。なかなか物騒な称号も手に入れた。


 ふう、少し疲れたな、こいつをマジックバッグに詰めたらどこかで一休み・・・する・・。


 前に二匹のリザードマン。

 んーばっちり目が合ってるね。


 もしかしたら仲間があまりにも消えるんで警戒をはじめていたのかもしれない。

 突然の出来事に動きを止めたリザードマンに駆け寄り、左の一匹の心臓を《爪貫き》で一刺し。


『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』


 よし!後一匹!


そして振り返った時にはもう遅く、もう片方のリザードマンは空に向けて口を大きく開けていた。


「ゴアアアアアアア!!」

 

 ちっ!間に合わなかった。仲間に知らせる警笛の声だ。


 ザシュ!!


『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』


 八つ当たり半分に、声を上げたリザードマンの心臓を突き刺し、駆け出す。


 おおおお!!きたきたきた!10・・20・・30、多いな!!

 ぞろぞろと崖の奥からリザードマンが姿を現し、追いかけてくる。


「ゴアア!!」

「ゴアゴア!」

「ゴゴアアー!」


 はっはっは!どいつもこいつもお怒りみたいだな。

 こりゃ追いつかれたらミンチにされちまうぞぉ!



「ガウ!(《火の息》)!」



 後ろに向けて火の息を広範囲に放つ。よし、これで目くらましに・・・


「ゴゴーア!」


 野太い声が響くと、群れから大きな水の塊が飛び出し。火の息を相殺する。

 水にぶつかった火の息はジュワアっと音を立てて消えてしまった。


 あー、そういやリーダーのスキルに《水鉄砲》ってのがあったな。

 《火の息》は駄目だな。しょうがない、もったいないけどニトロスト―ンを使うか。

 どうせこいつらを皆殺しにすればまた手に入るしな。


 俺は立ち止まり、もう一度火の息を放つ。


「ゴアア!」


 先頭の何匹かが多少くらっているものの、リーダーの水鉄砲でかき消されていく。

 まあいい、気にせず火の息を吐きながら、今度は群れの周りをぐるぐると駆ける。


「ゴア!?」

「ゴガア!」


 リザードマンたちは灼熱の炎に怯みながらギュウギュウと中心にまとまっていく。

 よし、完全に一か所にまとまったな。


 俺はマジックバッグから20個ほどのニトロストーンを取り出し、群れの中心に次々と投げ込む。

 自分たちに近づく“それ”に気づいたのはリーダーのハイリザードマンだけだった。

 水鉄砲をで対処しようと構えに入るがもう遅い。


 後手に回った時点で君たちの負けなのだよ。


「ガウガウっガウ(地獄で会おうぜベイビー)」


 火の息の火力を最小に絞る代わりに、速度重視で吐き出す。


「ゴアアアアアア!!」


 間に合わないと悟ったリーダーが泣きそうな顔で吠える。

 いまだに周りのリザードマンは状況がつかめていないようだ。やっぱりおバカ。



ッドドドッドドッドオオオン!!!


 20個の大爆発が真っ赤な花を咲かせる。

 あぶねええ!とっさに岩に隠れなきゃ俺も危なかったぞ!


 ドサドサとリザードマンたちの肉片が空から落ちてくる。


『ハイリザードマンを倒しました。280の経験値を獲得。15Lvに上がりました。』

『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』

『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』

『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』

『リザードマンを倒しました。80の経験値を獲得。』

『リザードマンを倒しました。80・・・・


 頭にエイリューンたんの声が鳴り響く。

 ああ、なんて美しい声・・・至福の時だ。


『リザードマンを倒しました。Lv18に上がりました。称号【ボマー】が【エクスプロージョン】に進化しました。』



 お、ついに20レベルまであとわずかだな!それにボマーの称号が進化した。どうやらさらに爆破攻撃にプラス補正がかかるらしい。

 もしかしたらニトロストーン最強なんじゃない?


 40回目でようやく世界の意思が終わった。あと2日ほどエイリューンたんの声を聴いていたかったが仕方ない。

 俺を追いかけてきたのは思ったより多かったみたいだな


 まだ巣穴の中に何匹かいるかもしれないけど、それくらいならニトロストーンを使うまでもないだろう。


 無事な肉だけをマジックバッグに入れる。

 さすがにリーダーは硬かったみたいだな。手とか吹っ飛んでるけどバラバラにはなってない。


 リーダーの持っていた槍は質が良かったのか、無傷で残っていたので一応回収しておく。



****


ジャバランス

とある魔物の牙から作られた槍


****


んー聞いたことないな。まあいいや



 いよいよ巣穴のある崖側に回り込む。

 うおーー!ニトロストーンがいっぱい!あいつら運んでる途中で俺を追いかけてきたな。そこら中に転がってら。

 あたりに散らばっているニトロストーンを回収しつつ、リザードマンたちがせっせと運び込んでいた小さい巣穴に行くと、そこには山の様なニトロストーンがあった。


 すげえ!これだけあれば俺は無敵だ!殺戮じゃ!

 マジックバッグの容量はまだまだあるのですべて詰め込んだ。


 他にも何かないかな。てかまだリザードマンが残ってる可能性もあるんだよな。慎重にいこう。

 たくさんの巣穴の中でも、一番大きな巣穴を覗く。

 あぁいるな、でもみんな貧弱なメスか子供だけだ。

 ん?何かに怯えてる?


 【サイレントキラー】のおかげか、巣穴のメスと子供はまだ俺に気が付いていないが、

 奥にいる何かにおびえた様子で固まって震えている。


 悪事を働いたならともかく、さすがに無抵抗のメスや子供のリザードマンを殺すのは気が引けるな。

 大した経験値にもならないだろうし逃がしてやるか。


「ガガウ!!」


 俺が威圧を込めて吠えると、メスたちはビクッと立ち上がり、蜘蛛の子を散らしたよう、別の穴から外に逃げていった。

 さて、あいつらはいったい何におびえていたのかな。

 


 奥には大きな鉄の檻があった。たぶん人間の作ったものだな。リザードマンにここまでの技術はないはずだ。

 檻の出入り口は大きな岩でふさがれている。


 暗くてよくわからなったが、注意して見ると、檻の前にリザードマンの死体がいくつか転がっている。体格からしてオスだが、皆引き裂かれたように惨殺されている。



 そして檻の中では金色に輝く二つの瞳が俺を見ていた。



「誰だ?」



 うお!しゃべった!人間の言葉か?俺が理解できるってことはそうなのかな。


「リサードマンではないのか?」


 俺はとりあえず「ガウ」と頷く。



「その反応だと俺の言葉が理解はできるらしいな。まあリザードマンで無ければなんでもいい、すまないがここから出してくれないか?」



 口調は理性的だけど絶対危ないやつだよコイツ。血の匂いがプンプンするし、十中八九転がってるリザードマンを殺したのはコイツだ。


 とりあえず鑑定してみよう。


****

グラディオLv.25

種族 ジャバリザード

体力 18/200

魔力 150/150

攻撃力 250

防御力 100

素早さ 300

称号 【天涯孤独】

スキル 《邪槍》《竜言語》


****


 ジャバリザードか、名前からするとリザードマンっぽいんだけど聞いたことのない種類だな。


 しかもグラディオって名前付きか、名前を持っているってことは、誰かにつけられたか自分でつけたかだ。どちらにしろ知性があることに変わりはない。


 スキルに《竜言語》があるな。こいつの言葉を理解できたのは俺がドラゴンだからか。

 でもこいつは竜って感じじゃあないんだよなあ、近い雰囲気は持ってるんだけど。



「こんな状態だ、怪しむのは分かるが頼む、もう何日も食料を口にしていない。このままでは今日死ぬだろう。」



 ジャバリザードのグラディオは頭を地面につけて懇願する。

 まるで人間みたいなことをする魔物だな。


 確かにコイツの体力はあとわずかだ、放っておけば餓死するだろう。


 こいつを助けるメリットは見当たらない。でも決めた、俺はコイツを助ける。

 金色に輝く瞳には、俺を騙そうって色は見られない。口ではうまく説明できないが何となくわかる。こいつは武人タイプだ。


「ガガウガウガウ(岩を爆破させるから防御しろ)」


 俺はマジックバッグから小さめのニトロストーンを取り出し、身振り手振りで説明する。



「?、よくわからないが身を守ればいいんだな?」



 なんとなく意味は伝わったのか、グラディアは檻の端により、身をかがめる。

 取り出したニトロストーンは俺の指ほどの大きさだ。

 さすがに大きな爆発になることはないと思うが、グラディアの体力は残り18しかない。些細なショックで死にかねないので、持っている中でも一番小さいのにした。


 ニトロストーンを出入り口をふさいでいる大岩の傍に置き、俺は少し離れた位置から《火の息》で点火する。


ドン!


 やや控えめな爆発だったが、なんとか大岩は破壊できたようだ。

 よかったよかった。


「ようやく・・・ようやくここから出られた。」


 よろよろと檻から出たグラディオは、俺に近づき、おもむろに両腕をあげると


 がっしりと俺を抑え込んだ(・・・・・)


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