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生まれ変わって神竜目指します!  作者: ハグキング
3/12

2 もりのくまさんはお腹がすいている



 こんにちはリュウです。

 突然ですが、絶体絶命です。

 俺が今必死に隠れている岩の奥をご覧ください。大きな熊が何かを探していますね。

 探し物は俺です。どうしましょう。


 時はさかのぼります。



◇◇◇◇



 ステータスや進化先の確認も済んだ俺は、洞穴を抜け出し、森へとくり出した。

 この森は良いところだ。キノコや食草がたくさん生えている。とにかく素材が豊かだけどその分毒を持つ物も多いな。まあ《鑑定》があるから間違えることはない。


 なぜか分からないけど、この体はとにかくお腹がすくのだ。


 途中、トロキノコというキノコを見つけた。

 前世でもよくシチューなんかに使われていた食材で、肉のトロの部分に味が似ていて美味だったけど、生で食べてみたらあんまりおいしくない。まあ食えなくはない、って感じかな。

 腹は膨れるけど、最低限やっぱり火を通したいね。


カサカサ!


 不意に木の上から物音がする。

 見れば大きなリスが木の実に噛り付いていた。

 結構大きいな、俺の体長が多分80cmくらいで、あのリスはその半分はあるから40cmくらいか。



****


オオリス

種族 リス科


バラモンの森のみでみられる固有種。

木の実を頬袋に貯める習性がある。

肉が美味。


****


 魔物ではないみたいだな。


 バラモンの森ってのは今いるこの森の名前か。

 

メスドラゴンいるかな。いるといいなぁ。でもたぶん殺されちゃうだろうな。もし会ったらこっそり見るだけにしよう。

 いや待て、俺にはエイリューンたんという将来を約束した相手が・・・



 話が逸れた。

 オオリスは肉が美味いらしい!これは捕まえるしかないでしょ!

 爪を使えば木登りくらいできそうだけど、せっかくだし《火の息》使ってみよう。


 よし、まだオオリスはこっちに気が付いてないな。

 食らえ!《火の息》!!


 のどの奥から何かがこみ上げ、それが口からでると、炎のブレスとなってオオリスに襲い掛かった。


 おおお!!マジで俺ドラゴンになったんだ!!

 前世で何度・・何度ブレスを吐くことを夢に見たか・・・!!


 「ぴぎゅ!」と鳴いて、焦げたオオリスがポトリと落ちてくる。


 思ったよりすごい火力だったな。せっかくのお肉が丸焦げで台無しだよ。


 爪で焦げ部分を取り除くと、少しだけ無事な肉が見えた。


 

ん!これはうまい!!《鑑定》の言っていた通りかなりの美味さだ!

 おっと、おいしくてあっという間になくなってしまった。もったいない。


 さっきのトロキノコも、この肉と香味料なんかと炒めたら美味いだろうなあ。

 今のままじゃ料理なんて精々串焼きがいいところだ。フライパンが欲しい。


 まあ無いものねだりしてもしょうがない。とりあえずオオリスを見かけたら積極的に狩っていこう。《火の息》の火力調節もできるようにならないとな。




 また散策を再開する。

 今歩き回っているのは最初の洞穴の周りだけだ。

 まだ魔物には会っていないけど、今の俺のステータスでは殺される可能性が高いので、すぐに隠れられる場所があったほうがいいのだ。


 洞穴の入り口はちょうど俺くらいのサイズなので、俺より大きい魔物は入ってこれないだろう。


 キノコや野菜をかじりながら歩いていると、木々が開けた場所に出た。

 

ん?地面になんかいろいろ落ちてるな。


 お、これは剣!鎧もあるな!なんか既に人間の装備が懐かしい気がするわ。

 おそらく冒険者の物だろうけど、この散り具合は魔物に負けて食い散らかされたって感じだな。よく見たらあちこちに血がついてるし。


 冒険者に勝てるほどの魔物がいるってことだよな・・・

 警戒しながら道具を漁ると、キラリと光る物があった。


 あ、あれは・・・鍋!鍋だ!!

 冒険者は旅に調理器具を持つことがあるのでおそらくそれだろう。


 よしよし、これで料理ができるぞい!


 とりあえず鍋だけとって、その場所から離れた。

 


 さて、途中で拾ったトロキノコ君や、やや焦げたオオリス君!それに野菜達!

 おいしくしてあげるからね。


 食材を爪でカットし、鍋に入れる。トロキノコは油成分が出るのでちょうどいい。

 鍋の下には枯れ木を積んで《火の息》で火をつけた。

 肉と野菜が焼けてきたら、たまたま見つけた“ペッパの実”という木の実を細かく砕いて振りかける。


 手先が器用なドラゴンでよかった。人間レベルとはいかないが、大抵のことはできそうだ。

 料理するドラゴンなんて、人間が見たらさぞ驚くだろうな。


 あー、いい匂いがしてきましたねえ。ピリ辛のペッパの実がいいアクセントになってそうだ。

 ありがとう鍋!おかげさまでまともな料理ができたよ!



 パキキ・・・



 背後で木の枝を踏んだような音がする。

 んん?またオオリスかあ?よろしい、おいしく調理してあげようでは・・・


 振り向いたそこには、俺の5倍はありそうな大きな熊がいた。

 鑑定さん、あの子は?


****


ハングリーベアLv.20

体力 150/150

魔力  0

攻撃力 150

防御力 100

素早さ 100

称号 【悪食】

スキル 《噛み砕く》《地ならし》


****



「ガウ・・・(Oh・・・)」


 口からよだれがダラダラ垂れている。明らかに「僕お腹すいてます。」って顔だあれ。

 なんてこった、料理の匂いにつられてやってきたみたいだ。

 右目で鍋を見て左目で俺を見てる。駄目だこれ完全に俺も食料とみなしてる。


 神竜になるってのに、こんなところで熊公に食われてたまるか!!


 鍋の中のおいしく焼きあがった肉をハングリーベアに投げつける。

 ああ勿体ない!でも気をそらしてくれ!



「グルァ!!」

 


 思った通り、ハングリーベアは勢いよく肉に飛びつく。

 今だ!逃げろ!!ダーッシュ!!


 まだハングリーベアは肉に噛り付いてるな。

 くそ、鍋ゲットに浮かれてた。もっと洞穴の近くで料理するんだった!


「ガフッガフ!」


 うお!もうオオリス食い切りやがった!ハングリーって名前は伊達じゃないな。


 ハングリーベアは一つゲップをすると、恐ろしい速さで追いかけてくる。

 やばいやばい!とりあえず何かに隠れないと!

 

 隠れ場所を探すと、すぐそばに岩場が見える。

 かなり大きめの岩がゴロゴロ転がっている。あれだ!。


 よし、まずは視界を封じないと。


 俺はすぐ後ろまで迫っていたハングリーベアにくるりと振り返り、その顔面に向けて《火の息》を吐く。もちろん最大火力だ。



「ガフアアア!!」



 さすが獣、火は苦手みたいだな。

 ともかく今のうちに岩の裏に!!



 ―――――冒頭に戻ります。

 幸いそこまで鼻は良くないようで、いまいち俺の場所を掴めていないようだ。

 でも時間の問題だな。だってだんだんと俺の隠れている岩に近づいているもの。

 

 たぶん出て行ったらすぐ見つかる。


 どうしましょう、これは戦うしかないんじゃないか?《火の息》でか?



****


ハングリーベアLv.20

体力 140/150

魔力  0

攻撃力 150

防御力 100

素早さ 100

称号 【悪食】

スキル 《噛み砕く》《地ならし》


****


 馬鹿言え、最大火力の《火の息》で体力10しか削れてねえぞ。現実的じゃなさすぎる。

 なにか・・・なにか打開策は・・・

 すると、手元に鈍く光る鉱石に気付く。

 これはたしか・・・




****


ニトロストーン:火に反応して爆発する鉱石。


****


 こ、これだ!!


 生まれ変わって数時間で命の危機。

 乗り越えて神龍めざします。


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