10 ハッピーエンドにでくわして
来た!!ここまで、来た!!
何度もしつこいようだけどな、俺はこいつらに比べりゃ健全だからな。間違ってもこのままベッドの下で始めよう、なんて、これっぽっちも考えなかったからな。せめて寸止めだけでも、なんて、そんなの、どっかのえろいネット小説だけだぞ!
俺たちがベッドの下から出られたのはも少したってから。
横溝先生がいなくなった隙を見て飛び出し、転がる様に部屋を出た。
しかもベッド近くの床が微妙に濡れていて、思いっきりこけそうになったし。・・・・滑るのは俺だけかい?花園君。
緊張のあまり、俺の喉はからっから。
本日の運勢、最悪なのか。
帰りがけによった学食脇の自販機にはコーンポタージュとかホットココアとかしか残ってなかったし。
冷たいって事で妥協ラインして
“とろとろぷるぷるゲル化炭酸クリームソーダ”
を飲むはめになる。唯一まともな
“振っちゃっていちごシェイク”
は彼女にあげた。
夕暮れの下校ルートを二人無言で歩いた。こういう時、なんて言えば良いか、必死こいて考えたさ。
まだ耳元に残っている二人の声をなんとか押しやって。
「な、あ、風紀委員長。」
「な、なに、保健委員長。」
「あ、あれってさ、やっぱ、2年の花園巌君と英祥子さんだよね。」
「だよね。」
俺たちはちょろっと見つめ合い、二人とも視線をそらした。
しばらくたってから口を開いたのは彼女の方で。
「二人とも、食中毒だったのかなぁ。」
やっぱりかっ!!
「うん。多分、そう。でも大丈夫なんじゃない?最後、落ち着いてたようだから。」
とは言うけどさ。
その上彼女はいきなり、
「思うんだけど、保健室のベッドの上にだけ関して言えば、カーテンを引けばプライベートスペースって認識、ありだよね。」
いや、やめてくれ。だから何だって言うんだ!?
「でも、やっぱ学校は学校だよね。」
その通り。大正解だよ、平松。その路線で行こう。学校は、
「公共の場所だよ。」
あんな所でおいたしちゃいけません!!
それにしても、今晩、多分、俺、眠れない。
そりゃだってもう、結局さ、今日一番、そりゃもう、いっちばん!!大事な事聞けずに駅まで歩いてしまったんだよ。
・ ・・・白亜紀後期からやって来た最後の絶滅恐竜・ハダカノエロザウルスどもの乱入の所為でまだ自分の告白の返事きちんと聞いていないんだよ〜!!
正直、そっちの方が気になるの!!
絵に描いた餅より、目の前の平松の方が大事な訳。
でも、今は返事、聞けない・・・・・。
しかも
「花園君、優しかったよね。」
追い打ち?
「う、うん。」
俺はごくってジュースもどきを飲んだ。
「二年生でも、頑張ってる子は頑張ってるのね。」
何をって突っ込みは無しだ。
「う、うん。」
「私の彼もああいう人だといいなぁ。」
「ブッ!!」
俺はそれを口の中いっぱいに貯めた。
いや、だって、出す訳にいかんし・・・・
そこを
「ぐふっ!」
蹴りやがった!この女、俺の足、蹴った!!しかも顔、怒ってるよ!
「保健委員長、空気読めないし。」
・ ・・・・。そりゃ無いだろ。
むせ込む俺に、彼女、ピンクのレース付きタオルハンカチ差し出して。
「頼りないんだから。」
って、あんた。
「それじゃ私、困る。」
えええええええええ・・・・・!!!!
「本当に、もう。分かってないんだから。」
ってそれってさぁ。
彼女、鼻から緑のゲル化ソーダ垂らす馬鹿丸出しの俺の耳元に唇寄せて
「私たちも、あんなカップルになりたいんだから。」
背伸びしながらそう囁いた。
これって、もしかして、ハッピーエンド!?
・・・・・俺、期待して、いい?
いや、何をって、そりゃ。・・・・・ハッピーエンド。
保健室ででくわして やっと おしまい
つづきは無いよ!
え〜、あ〜、う〜。
楽しんで、頂けましたでしょうか。
書き始めた責任感から、ここまでいっちゃいました。
でも、懲りずにまた書きます、R15!! また遊びにいらしてね♪
みなさまにとって、この春がよりハッピーなものであります様に。