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個室ゲット

 初戦を勝ち抜いた俺は、それでようやく一攫千金を夢見て入ってきた新人達と同室になる事が出来た。

 その前までは牢屋に入れられていたのだが……、ここも正直環境は大差ない。

 大部屋に何十人も入れられ、人数分の干し草をただ置いただけの粗末な寝床にトイレもツボと言うところも、石造りの部屋もまさに牢屋と同じ。

 違うところと言えば、扉から自由に出入り出来るところと一人頭の広さを考えれば多少は牢屋より広そうって事くらいか。まぁ、自由に出入り出来るっつってもこの最低ランクの闘士が行ける場所なんざ限られているがな。


 で、昨日勝利した俺は飯にありつく事が出来たが、最低ランクのここじゃ戦闘に勝利した週しか食事が出ない。

 中にはこのマズイ飯すら食べれてない奴がいるところを見ると、そいつらは前回の戦闘でギブアップした奴らの可能性が高い。奴隷の俺と違い自らここに入った奴はギブアップが認められているからな。

 とは言え、1度でも飯が1週間も食べれないとなればそこで終わりだろう。食事も取らず力が出るわけもない。何より試合は週に2度出れる。リベンジのチャンスを活かせない奴に掛ける情けはないという事か。

 ただ、2~3日程度なら感覚が研ぎ澄まされたりするから、試合前にわざと食事制限している奴もいる可能性もあるが……このランクの奴じゃ可能性は限りなく低いだろうな。冒険者ギルドに登録していない奴もいるかもしれないから皆無ではないだろうが、していたらギルドランクに合わせてスタートのランクが変わるから。

 俺だって本来C……からハメられてDに先月落ちたんだっけな。それでも最低ランクからスタートじゃない訳だしな。


 さてさて。とりあえず10勝すれば次のランクに上がれるのだし、俺は少なくとも後1つランクが上がるまで試合をパスする権利もないんだ、さっさとランクアップさせてもらおうか。

 まだまだ十分な量を摂取する事が出来ず、空腹をうったえるお腹をごまかすように俺は眠りについた。






「最終戦はマナコンティアかよ。誰が捕縛したんだか」


 最低ランクのうちは闘士同士の戦闘は一切なく、強制で魔物と戦う事になる。で、俺をハメた奴らはここでしか色々手を出せないのだろう様々な魔物と戦わされたのだが、ついには魔獣ランク6と言うモンスターまで引っ張り出したようだ。

 俺をハメた奴らは案外力があったのか、はたまた俺を快く思っていない人間が多いのか、単純に既に集客率が8割を超えてきた俺の戦闘を盛り上げる為か……何にしろ色んな思惑があるのだろうな。


 つっても、全く緊張感が持てない俺。と言うか、他の奴らにはともかく俺の一族じゃマナコンティアを倒すのは一桁の年齢のうちに済ますのが普通だったからな。

 いくら魔法封じの腕輪を付けられてても、1対1じゃ負ける要素にはならない。

 流石に100匹とかいたら危機感覚えるけどな。そう考えると、やっぱ魔封じの腕輪って面倒くさい。


 支給されているただの鋼の剣に鋼の盾……今まではともかく、マナコンティア相手じゃすぐ折れるし潰される程度の物でしかないから、どうするか少し迷う。


「まぁ、手放して倒した方が良いか。体術の方が色々見せてるし」


 言うが否や剣も盾も放り投げる。

 最近は戦闘の最中わざと使い潰して放り投げていたから、最初から本気か!? と観客の盛り上がる事盛り上がる事……すまんが、俺大剣が1番得意なんだがなぁ。体術も割と得意な方には違いないけどさ。


「グギャァアアアアアアアア」


 雄叫びを上げる強大な虎に背中から複数生えているベビの頭部姿のザコ、いきがるなよと小さく口の中で呟いて地を蹴り上げる。


 感じる浮遊感と空気を切り裂く感覚。飛びかかった俺を前足で殴り飛ばそうとしてくるが、完全に予定通り。

 迫ってきた前足に抱きつくっはぁ。流石に衝撃感じるなぁ。魔法封じの腕輪の効力のせいで殆ど身体強化出来てない所為だが一瞬呼吸が出来なくてショックを感じてしまう。

 うーむ、この状態でも楽勝かと思ったけど油断大敵だな。爪を隠したままバッサリ殺されるとか笑うに笑えない。


「グググ?」


 手応えを感じた筈なのに、前足を下ろして吹き飛ばした筈の方向を見れば俺はいない。

 だからだろう、不思議そうに唸るマナコンティアにさっきのお返しと脳天に踵落としを決める。


 いやぁ、呼吸が止まったせいで宙に飛ぶタイミングが一瞬遅れたけど、問題なかったみたいだな。

 確かな手応えを感じつつ再び宙へ舞った俺は、ゆっくりと地にひれ伏すマナコンティアの姿を眺めながら着地した。


 ずぅぅぅぅうううううんと凄まじい音を発しながら砂埃を撒き散らしつつ倒れこむ。まぁこんなものか、後は蛇の頭を1つずつ潰していくだけだな。

 とは言え、後は作業みたいなもんだ。

 放り投げた剣を取りに行き、止めを刺しに向かうのだった。






「おめでとうございます。これで貴方は闘技ランクⅢになりました」


 執事服を着込んだ、人の良さそうな笑みを浮かべた男にそう告げられる。


「おい、ランクなしからⅠにアップじゃないのかよ?」


 正直想定外だったから聞き直せば、何でもマナコンティアをタイマンで倒せるような人をⅠどころかⅡに置いてもバランスが崩れすぎるとの事。

 果たして本当のところはどうかね? ランクⅦまであるのは知っているが、ぶっちゃけランクⅣにもなると外じゃ化物扱いしてたの見た事あるのだがな。

 まっ、環境が著しく改善されるんだし、不満はないのだけど裏でどんな事を考えられているのかと思うと少し憂鬱である。

 人気はあるからやっぱり死刑! ってのは無さそうなのが唯一の救いかな。死刑にさえされなければどうとでも出来る自信あるし。


 と、想定外な事は続く物で、ランクⅢからは個室と専用の異性を得れるらしい。

 個室はともかく、専用の異性ってのが意外だったので。てっきり外にも出れる身分なんだし、外で発散しろってのが普通じゃねーのか? と聞いてみたところ、少なくとも貴方は奴隷闘士だからランクⅥになるまで自由になれないでしょうと返された……そうだった、すっかり忘れてた。

 まぁ、俺だって男だし女の子は好きだ、大好きだ。

 それに、外の人間を中に連れ込めないし、身の回りの世話をしてくれる存在は大事だからな。そう考えると個室と共に異性も得れるのは割と普通なのかもしれない。


 なんて色々考え込んでたら、そっちの趣味なら同性でも大丈夫ですよとか言われてしまう。

 俺にそっちの趣味はねーよ!!

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