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異世界ダンジョンにコンビニごと転移したら意外に繁盛した  作者: あぼのん
第四章 帝国アイドル育成プロジェクト
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第九十話  バック・トゥ・ザ・コンビニバイトPART2④

 アルオデリオは目を覚ますと、自分の置かれている状況をすぐに理解したのかいたって冷静であった。


「パワビタンを飲ませておいたから頬の傷も頭の方も大丈夫だぜ。あ、頭が大丈夫ってのは傷のことだよ」

「きさま、なにが目的だ。要求を言え」


 ロープでぐるぐる巻きにされている状態なのに偉そうな態度は変わらないなこいつ、まあ王族だから仕方ないけど。


「決まってるだろ。煙袋の設置場所を全部吐け」

「なんのことかな? 煙袋? よくわからんな。私がなにか仕掛けたと言う証拠でもあるのか?」


 はは~ん、そう来ましたかぁ。まあそうですよね、いくらこいつが犯人だと騒ぎ立てたところでなんの証拠もなければもみ消されるのは必然。なんてったって相手は王族なのだ。碌な取り調べも行われずに無罪放免になることはわかりきったこと、だがしかしそんなことは織り込み済みだ。文明の利器を舐めるなよ。


 俺はスマホを取り出すと例の動画をアルオデリオの顔の前で再生して見せる。

 それを驚いた様子で見ているアルオデリオ。こっちの世界にも記録水晶なる撮影装置はあることはあるのだが、音声付きで長時間しかもこんなに鮮明に記録できるものではないらしい。


「な、なんだこれは? きさま何者だ? それも魔族の作り出した道具なのか?」

「ちげーよ、ジョブズが作ったんだよ」


 とにかく、この動画が決定打となった。スマホの証拠能力は俺の裁判でも証明されている。もう言い逃れはできないと観念したのか、アルオデリオは煙袋の設置場所を白状し始めた。


「こんな中学生のやる悪戯みたいな真似をいい大人がしやがって。とんだ手間だったぜまったく」


 呆れていると、アルオデリオが俺の後方へ目配せをしたように感じた。


 まさかっ!?


 振り返った時には遅かった。俺は頭部に衝撃を受けると気を失うのであった。




「いてて……今度は変な所には飛んでないみたいだな」


 ニヤニヤと下卑た笑顔を浮かべながら、俺のことを見下ろしているアルオデリオの姿を見て意識を覚醒させる。

 さっきと立場は逆、今度は俺がロープでぐるぐる巻きにされていた。


「いい気味だな。この私にあんな無礼を働いたのだ、タダでは済まさんぞっ!」


 そう言うと俺の腹を蹴り飛ばす。痛みと苦しさで屈みこむとアルオデリオは俺の頭を踏みつけた。


「命乞いをしろ、泣いて許してくださいと言えば命までは奪わない。そうだな……ついでにおまえの取り巻きの女達の前で裸踊りでもしてみるか?」

「ふっざけんなよこの下種野郎、誰がてめえなんかに頭下げるかよ」

「すでに下げているじゃないかっ!」


 そう言うとグリグリと俺の頭を踏みつけて手下達と一緒にゲラゲラと笑いだす。


「あの女達も同様に娼館にでも売り飛ばして裸踊りをさせてやろうか?」

「てんめええええ!」


 俺は思いっきり頭を持ち上げると不意を突かれたアルオデリオは足を持ち上げられて尻餅を突いた。

 その瞬間俺は手下達の袋叩きにあう。もう最悪だマジで痛い、人に殴られたり蹴られたりするのがこんなに痛いもんだなんて思いもしなかった。

 俺はこの先、一生、絶対に暴力を振るうのはやめようと思った。こんな酷いことを誰かに向かって平気でできるような人間にはなりたくない。



―― ライトニング・サンダースパークっ! ――



 一瞬の閃光が通り過ぎると手下達が宙を舞う。


「大丈夫わんっ!? べんりっ!」


 獣王が縄を噛み切ると俺は自由になった。


「な、なんだおまえらはあっ!? ま、魔族か? 魔族が私に暴力を振るうのかあっ!!」


 突然現れたアニキの強さにビビったアルオデリオは震えながら喚きたてている。

 そんなアルオデリオは無視して、アニキは俺の横に立つと敵を見据えながら言った。


「立てべんり、いつまで寝ているつもりだ」

「お、俺は……」

「べんり、どんな理由があろうと力を振るうと言う事は相手を傷つけることになる。相手からしてみればそれは暴力なのかもしれない。しかし、漢たるもの闘わなければならない時がある」


 俺が見上げるとアニキは拳を握りしめて叫んだ。


「それは、友が仲間がっ! そして愛する女が侮辱され傷つけられた時だっ! 立てべんりっ! 傷つくことを、傷つけることを恐れるな。話し合いが通じない相手も居るのだっ! 誰かを守る為に力を振るう事を躊躇うなあっ!」


 熱いっ! 熱いぜアニキっ! マジであんた少年漫画の鑑のようなキャラだなっ! そこに痺れる憧れるぅぅぅぅううっ!


 てな感じで、熱血ドラマを繰り広げている内にアルオデリオは逃げ出していた。


「ばーか、ばーか! おまえはその脳筋熱血馬鹿と一緒にそこで死ねええええっ!」


 気が付くといつの間にか目の前には複数の黒服の手下達が居た。

 こいつらクローンかよ。皆しておんなじような恰好しやがって気味が悪いぜ。


「くそっ! 獣王、そいつらはおまえに任せたっ!」

「任されたぜべんりっ! おまえはあのいけすかねえ馬鹿貴族を止めろっ!」


 アニキは!? 駄目だっ! 脳筋馬鹿って言われて放心状態になってやがる。この人意外にメンタル弱いなっ!


 数人の兵士の相手を獣王に任せると俺はステージ裏を全力で走るのであった。



 つづく。


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