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異世界ダンジョンにコンビニごと転移したら意外に繁盛した  作者: あぼのん
第三章 婚約、魔王十二宮での闘い
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第四十九話 怒れる獅子の咆哮、犬の師匠は猫だった?の巻②

 無数の光線が縦横無尽に襲い掛かりソフィリーナは躱すこともできずに宙を舞った。

 ぐしゃり、と嫌な音を立て頭から落ちるとそのまま動かない。咄嗟に駆け寄ろうとする俺を止めたのはローリンであった。


「動かないでくださいべんりくん。奴はこれまでの相手とは別次元です」


 険しい表情で相手を睨むローリンに俺はアニキの実力を理解する。


「べんり……あの人は、俺の師匠のアニキオリアさんだ。その実力は折り紙つき、魔闘神クラスの実力の持ち主であるとは思っていたが、まさか本当に……俺もこんなところで会うとは思ってもいなかった」


 獣王は苦い顔をしながら奥歯を噛む。きっと、こいつにとっては本当に尊敬できる人物なのだろう。

 そして、またも魔闘神であることを知らされていなかった。獣王(こいつ)は「けもの」でありながら、完璧に「除け者」にされている可哀相な奴だな。


「俺の放つ拳は正真正銘の光速拳。おまえ達にこの技を見切ることは不可能だ」


 まるで百獣の王。その圧倒的強さとオーラを放つアニキを前に、俺達は微動だにできなかった。


「ま……まだ、やられていないわよ……」

「ソフィリーナっ!!」

「べんりくん、そこで見ていなさい。わたしが頼れる女神だってことを、今、証明してあげるから」


 ふらふらと立ち上がるソフィリーナであったが見るからに満身創痍、女神とは言っても見た目は普通の女性なのだ。あんな攻撃を喰らってタダで済む筈がない。


「ソフィリーナもういいっ! ここはローリンに代わっておまえは回復に努めるんだっ!」


 俺は説得を試みるのだがソフィリーナは意固地になって聞かない。なんでこいつらは人の言う事を聞こうとしないのか。一体なんの為にそんなボロボロになってまで戦っているんだ……。


 俺の……為……だよな。


 俺の呪いを解くために、俺のことを死なせない為にソフィリーナもローリンもぽっぴんも、命を懸けて戦っているんだ。


 くそぉ……俺は……俺はっ! これで俺が助かったら絶対にこれをネタに一生強請(ゆす)られ続けるっ! 間違いなく、俺は一生あいつらに頭があがらないじゃないかあああっ!!


「おいソフィリーナっ! やめろ、もういいっ! 俺なんかの為におまえがそこまでやる必要はないっ!」


 俺の必死の説得にも、ソフィリーナは背中越しに親指を立てて答える。


 そういうのいいからああああああっ! もう諦めろよぉぉぉぉ!



「敵ながら見事な闘志だ。しかしこの光速拳はおまえには決して破れない。あの男の言う通り降参するのが利口だと思うがな」

「舐めないでよね、こんな程度で諦めるくらいなら最初から自分が戦うなんて言わないわよ」

「なるほど……では、今一度味わうがいいっ! 稲妻の閃きをっ! ライトニングっ! サンダースパークっ!」

「ゴッデスウォールっ!」


 アニキが光速拳を放つのと同時に防御壁を展開するソフィリーナであったが、相手の拳は光の速さ、間に合わずにソフィリーナは再び宙を舞い地面へと叩きつけられるのであった。


 まさか、こんな展開になるとは思いもしなかった。

 なんだかんだでソフィリーナが勝つと思っていたのに、今目の前にはボロボロに傷つき倒れているソフィリーナの姿があった。


「やはり敵とはいえ女に拳を振るうのはいい気分ではないな。せめて、最後まで戦士であらんとした者に苦しまぬように止めを……!?」


 アニキが歩み寄ろうとすると、再びソフィリーナはふらふらと立ち上がった。


「ば、ばかな……俺の光速拳を二度も喰らって立ち上がるとは……きさまは、きさまは一体……」


 その姿に誰もが固唾を飲む。いつも飲んだくれて帰ってきてトイレでゲロを吐いているあの駄女神が、いつも二日酔いでバックヤードから出てこず昼過ぎまで寝ているあの駄女神が、そんでもって迎え酒だとか言いながら商品の酒を飲んだ瞬間にゲロをぶちまけるような駄女神があああっ!


「駄女神。駄女神うっさいわねっ!」

「あ、心の声が漏れちゃってた?」


 うっかり声に出してしまっていたようだ。とにかく、あのソフィリーナがあんなになってまで戦う姿に、物凄く納得いかないが心を打たれてしまっている俺がいる。


 くそったれめええええ。なんだか釈然としないが頑張れよ駄女神っ!


「ふっふっふ。あんたのその光速拳、見切らせてもらったわ」

「なに? ふっ……ハッタリだな。おまえにそのような実力があるとは思えない。確かに強力な技を使えるようだが、身体能力で言えば凡人レベル。そんなおまえが俺の拳を見切れるわけがない」


 そうだ、なにを言っているんだソフィリーナ、おまえに奴の拳を封じることなんてできるわけがない。やはりここは超人的な身体能力を持つローリンに任せるべきだ。おまえがこれ以上傷つく必要なんてない。こんな戦い方は馬鹿げている。

 しかしソフィリーナは不敵な笑みを浮かべるとアニキを挑発する。


「いいからもう一度撃ってみなさいよその鈍足拳をっ! 次は返り討ちにしてあげるわ」


 ソフィリーナの挑発に大きくを息を吐くとアニキは覚悟を決めたようだ。


「いいだろう……。死んでも恨むなよ」

「ゴッデスミラアアアアアアアっ!」

「ライトニングサンダーっ! え? スパークっ! え?」


 アニキが技を放つ直前に技を展開するソフィリーナ。

 意表を突かれたアニキはよくわからないまま光速拳を放ってしまい、ソフィリーナの技がそれを反射するとアニキは自分の技をその身に喰らい倒れるのだがさらに。


「今よぽっぴんっ!」

「心得てますっ! サンライトぉぉぉおおっ! コロナバーストおおおおおおっ! 」



 ぽっぴんの追加攻撃を浴びてアニキは戦闘不能になった。



 つづく。


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