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新しいテキスト  作者: 篠崎 雄作
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新しいテキスト 03

今回は設定みたいなものですね。

読んでくださった方々ありがとうございます。

次回ぐらいから話をもう少しテンポアップさせていきたいと思います

今日も今日とて僕はいつもと変わらないことをして過ごしていました。


朝起きて、先生たちとお話して。

昼食べて、看護師さんたちとお話して。

夜はまた、先生とお話して。


明日もこんな風に過ごすんだろうか、そう思っていたときでした。


「ねえ、あなたは同意してここにいるの?」


真っ暗な空の中にポツンと、黄色のまん丸いものが浮かんでいました。

なんだか退屈になって、外に出てみたい、そう思って夜の散歩をしていた時のことです。


「同意…?」


「うん、同意。つまり、自分の意志でここにいるのかってこと」


「自分の意志…」


彼女はいつの間にかそこにいました。

散歩の途中、疲れたから近くにあった椅子に座って休憩しているといつの間にか彼女は僕の目の前に立っていました。


「あなたは、あなたがここにいたいと思ってここにいるの?」


「さぁ…わかんない」


長い黒の髪の毛で、それは地面につくかつかないか。

服は僕が、僕たちが来ているような「かんいふく」を着ていました。

顔はよくわかりません。

だって変な仮面をつけていましたから。


「じゃあ、その気になったら私に教えて」


「その気って?」


「外に出たくなったらってこと。別にここからじゃなくてもいいわ。それにいまじゃなくても。

遠い未来、離れた場所、どこだっていつだっていいわ。

押しててくれたら私があなたを運んであげる。

行きたい場所がなければ私が一緒に考えてあげる。

もっていきたいものがあれば私が一緒に運んであげる。

かなえたい願いがあるなら私が一緒に頑張ってあげる」


「よく…よくわかんないけど、わかったよ」


『……………』


彼女は口を小さく動かしたけれど何を言ったかは聞き取れませんでした。


風がひときわ強く吹いて彼女はどこかに消えて行ってしまいました。




次の日のことです。


今日も昨日と同じような1日になるのかな、と思っていたら今日は少し違いました。


「えっと、この人は山吹さんといってね…」


名前は忘れてしまったけれど、よく僕とお話しに来る白い洋服を着たおじさんがまた知らないおじさんを連れてきました。


その人は髪を短く刈りそろえていて、黒く淵の鋭いサングラスをかけていました。


「これがその子か」


「…はい」


「ふむ…及第点といったところか」


「なにのはなしをしているんですか?」


「…君のこれからのお話だよ。

これから君はこの人のところで生活するんだよ」


「山吹だ。よろしく」


ぼくは、その山吹さんという人から延ばされた手をどうすればいいかわからず、白い洋服を着たおじさんをじっと見つめました。


「…どうやら一般て教養からしつけなければならないようだな」


「どうか、お手柔らかにお願いします…」



―――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――

―――――――――――


『あなたは私たちの希望の星なの。

だから、決してあきらめないで…私が一緒にいるから』


この言葉を聞いたのはいつのことだろうか。

ずっと昔。

私が記憶、というものを持ち始めたころだろうか。

それともこれは私の頭が勝手に作り出した空想に過ぎないのだろうか。


確かにあの頃は私、という存在の確立ができておらず、まるで雲のようにはかない存在だったかもしれない。


しかし、あの少女は確かにいたと思う。

私の記憶の始まり、そのすぐにいる彼女。


気づけば彼女の姿を探している自分がいつもどこかにいる。


「13番、つぎは貴様の番だぞ!!!」


「はい!!」


あらぬ方向に向かっていた思考と視線を現在の目の前の世界に向ける。


水がすべて蒸発してしまったような世界。

土はひび割れ、砂は乾燥しさらさらと流れを作っている。

空は真っ青で時々流れる白い雲の合間から太陽がこちらをにらんでいる。


右手に握ったグリップをしっかりと確認し、左手を前に突き出し、相手との距離をつかむ。


「では、13番、18番、ともにはじめ!!」


「「やぁ――――!!」」


目の前に立ってる若い青年、私と同い年ぐらいだろう、それが付きだしてきた”刃物”を必要最低限の動きでかわしす。

そしてそのまま伸ばされた腕を肩で担ぎ腰を軸にして自分の体を反転され投げ飛ばす。


これで無力化は終わった。


「そこまで!」


ほんの数秒に過ぎない模擬戦闘だったけれど、彼にとってはこれが最後のチャンスだったのだろう。

その顔は先の運動とは全く関係のない事柄によって真っ青になっている。


「18番、これで何回負けた」


「な、7回…です」


「規則その4!!」


「じゃ、弱者にその存在価値はなし!ゆえにとくき、消える、べし!!!」


「そのとーり!

…で、お前は何なんだ?」


「わ、わたしは…」


「貴様は弱者だ!よってここで生きる価値なし!!」


青年の目の前で大声を上げるスキンヘッドの男。

年は三十代後半といったところだろうか。


真っ青な顔をした青年とは対照的にその顔は怒りで真っ赤に染まっている。



その光景を観察していると今度は私の名前が呼ばれた。


「13番、貴様はよくやった。

だが、あいつはもう後がなかったのはわかってたな?

なぜ最後まで殺らない!貴様の右手に持っているそれは何だ!!」


「短刀であります、教官!」


「そうだ、短刀だ!短刀とは何だ答えろ!!」


「敵の命を奪うものであります!!」


「…その通りだ。次からはきちんと殺せ…きさまもあぁはなりたくなかろう?」


顎で示された方向を見ると、さっきの青年の首がゴロンと転がっていた。


さきほどの短い問答のうちに、もう死んでしまったらしい。





------特殊訓練施設山吹学園------

その存在は公にはなっていないもののいろいろと噂されている。


いわく、ひとの命がごみのように扱われると。

いわく、一日に必ず一人は死んでしまうと。

いわく、いわく、いわく…


いろいろなうわさが巷では広がっているらしい。

時々ある実施訓練の中で話を何度か聞く機会があってそのたびいろいろな話を聞いた。


その正体はというと、国の、帝国の特殊捜査班、つまりスパイやらアサシンやら、生物兵器を専攻する科学者や薬学者。

表立っては活動できないけれども、国のためになる人材を教育、作製するための施設だ。


元は孤児院だったらしいが昔、私が子供のころに院長が変わり、それから一気に改革が進んだらしい。


ゆえに、歴史もそこまで古くなく、私の先輩もほんの数えるほどしかいない。

昔はもっといたと思ったが、まぁ、火のない所に煙は立たぬとはよくいったものでいつも人が死んでいるような日常だ、きっとどこかでのたれ死んだのだろう。


ここではまず初めに名前を奪われ、新しい名前を与えられる。

新しい名前、といってもそれはただの番号に過ぎないのだが。


私の名前はFD13番。

普段は13番と呼ばれている。

これはただ何年目に入ってきた何番目の子供、という意味で深い理由はまったくない。


私がここに入ってきたときはそんなことも知らず、そもそも自分の名前というものも知らなかったためすんなりと受け入れられたのだが、何人かはここですぐに脱落したらしい。


この施設の中ではこの番号以外で呼び合うのは一切禁止されている。

しかしその規則を守らずに教官に見つかり、自害を迫られた。


FDは私の苗字、つまりファミリーネームのようなもので、ほかにFDとついた人物がいたならそれは私と同時期に入学した人たちだろう。



13番はそのまま、入学初日、列の先頭から13番目に並んでいたからに過ぎない。



ここでは一切の娯楽が禁止されて、一に訓練、二に食事、3.4がなくて五に訓練。そして時たま休憩といった感じだった。



暇な時間なんて一切ない。

皆が皆、明日生き残るために今日できる精いっぱいのことをしている。

私だって気を抜けば明日死んでしまっているかもしれない。


友情などこの世界では認められない。

あるのはパートナー、仕事仲間。

そういったものばかりだ。


「こいつならこれができる、じゃあこいつと組もう」


誰かが誰かと手を握るとき、それはいつも打算に満ち溢れている。

弱い者には生きていくことはできない。


『弱いものは弱いものとして、ただそのまま生を全うし、死を迎えるのみ』


『死にたくなければ、強くあれ。』


すでに何回も聞いた言葉だ。


今日も今日とて、私はほかの人物を踏み台にして明日への一歩を踏み出した。

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