闘争夜光 前編
「逃げ足速かったですねほんとに……」
あまり辺りを見ていなかったがもう見知らぬ景色になっていた、傀儡のマジルガを追いかけている内に他の町までやってきてしまった。
「速かったですね、あと降ろしますよ。気を付けてくださいね。」
頑張った張本人の光さんはケロッとしているのにおれはまだドキドキは治まっていなかった。
そっと優しく地面に下ろしてくれたがその場でしゃがみ込む。
「魔法命動はいつ解けるんですか?」
胸に手を当てるとこんなにも心臓の鼓動を感じるのがどうも落ち着かない、ここまでの胸の高鳴りを知ることなんて無かったので一刻も早く落ち着きたい。
「もうそろそろ解けると思いますけどね、私もそろそろ落ち着いてきました。」
キラキラしたオーラがだんだん萎んできた光さんは平然としている、おれの顔はまだ赤いままなんですけど。
「これからどうします?帰りますか?」
だいぶ遠い町まで来てしまったので帰るかどうか聞いてみると光さんは悩みだした。
「んー、まだ帰るのはちょっとあれですね、多分マジルガが残っています、追いかけている最中に何体かマジルガを見たんですよ。」
「そんなに居たんですか?」
背負われているだけのおれが気付かずに光さんはしっかり他のマジルガまで見つけていたようだ、本格的に役立たずになっていないかおれ?足引っ張っているだけのお荷物すぎる。
「いましたねえ、マジルガが沢山居そうな気がしますよ、本当に面倒臭いですが探しに行きましょう、きっと何処かに固まっています。」
随分面倒くさそうに語るが気持ちはよく分かる、ここ数時間集中して動きっぱなしだったのだからさぞ億劫なことだろう。
「とはいえ誰かがやらなければいけない事ですし気持ちを切り替えて行きます。」
一度深呼吸してから気持ちを整える光さん、一瞬で切り替えていく姿勢は魔法少女の鏡だ、髪を整え伸びをして準備万端と歩き始める。
「光さんも面倒なことあるんですね。」
とてとてと光さんの後についていく。
「私も人ですから面倒だと思うこともありますよ。面倒臭いで終わらせないようにしてますけどね。」
「それが出来る人はなかなかいないと思います。」
おれだったら絶対に面倒臭いで終わると思う、自分のことは分かっているつもりだ。弱い人間だってこと。
「まあ些細な事ですし、やる時出来ればいいですよ。」
「そういうものですか?」
「そういうものですよ。」
そういうものらしい。
「まあ夜も更けているので早くマジルガを見つけましょう、寝不足になってしまいます。」
光さんの言う通り月も高く昇っている、ずっと外に居たから気付かなかったがもうそろそろ良い子も寝る時間だ。
「もう大人に見つかると怒られませんか?」
未成年が出歩くのは心配になるだろう、でも光さんに危害を加えられる存在はそんなにいない。
不審者だろうと熊だろうと光さんに勝てないのだからマジルガ以外は大丈夫だが、補導されるとなると嫌だ。
「ふふっ、秘密ですよエイナさん。」
一緒に悪いことに誘われてしまったらおれもう地獄だって一緒に堕ちる所存だ、だってずるいだろう人差し指を唇に当ててしーってされたらもう黙るしかないじゃん。
「わかりました、秘密にします。ところでどこに歩いているんですか光さん。」
付いて歩くだけで光さんの行き場所を何も知らない。
「直感ですが近くにマジルガがいると思いますよ、根拠はないですけどね。」
そういう光さんに付いて行くと小さな公園が見えた。
「そう言っているうちに見えましたよ、マジルガが。」
そこにはマジルガの群れが公園にひしめいていた。
短い
次はもうちょっと長いから許して
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