女、未だわからず
「エイナさん。」
「はい。」
今度は何を言われるのだろう。
「魔法少女の下着が使えるならそんなにいらないかなーとでも思っていたでしょう?」
「そんなこと……無いですよ……?」
図星だった、正直別に下着を買うくらいならこの魔法少女の下着部分だけで満足したかった。
だってまだ下着には抵抗があるのだ、たとえこのぴったりフィットの苦しくない下着でも慣れない感触だ。
「目を逸らさないで下さい。」
「はい……」
ぴったりほっぺたに手を当てて光さんは顔を合わせるように向けてくる。
キリッとした目でこちらをじーっと見てくる。
「いいですか?」
「ひゃい。」
両手の荷物を下ろしほっぺをむにーとひっぱりながら面を向かって問いかける光さん。
「たとえ魔法少女の服が魔法で清潔に保たれているといっても、それは服を着替えない理由にはならないですからね?」
「へも。」
「でももへちまもありません、人としての身だしなみですからね、疎かにするなら私が許しません。」
「……ひゃい。」
一応の反論もすぐに一蹴されてしまった、とりつく島もない、やはり下着を買うことを強いられている。
「まあエイナさんは居るだけでいいですから私に任せて下さい、さあ行きましょう。」
ほっぺから手を離し両手に荷物を持って下着を探す光さん。
「ショーツはサイズが合えばある程度なんでもいいです、取り敢えず使いやすいタイプの触り心地のいいこういうシンプルな綿のショーツで良いでしょう。エイナさんはせめて機能性くらいこだわってくださいね。」
テキパキと指示されたものを買い物カゴに入れていく、何言っているかほとんど分からないがパンツを買っている。
「ブラジャーはさすがに店員さんに聞きましょう、形が合わないと本当に大変ですから。」
本当に苦労してそうに、いや実際苦労しているようでしんみりと悩みを打ち明ける。
おれの胸がそこまで大きくないから分からないがでかいとでかいで大変なんだろう。
「エイナさんはあまりブラを変えずに済みそうです、最近胸がきついんですよね……」
なんだか思ったよりも深刻そうな悩みだ。
「まあ私のことは置いておきます、店員さん呼んできます。」
スパっと切り替えてあっという間に店員さんを呼びに行ってしまった。
「というわけで採寸と試着をお願いします。」
どういうわけで?またしても何も知らずに試着室に押し込まれ店員さんと一緒にいる。
「少しばんざいしてくださいね、お願いします。」
優しい声で促してくる店員さん明らかに子ども扱いだ……!
「はい。」
しゅばばっと慣れた手付きですぐに測ってくれる店員さん。
目にもとまらぬ早業であっという間に採寸が終わった。
「ありがとうございます、ではお客様におすすめのものを持ってきます。」
嵐のようなスピードで仕事をこなす店員にびっくり。
「いい店員さんですね、プロは凄いです。」
「本当にそうですね……」
光さんも驚いている。
「お待たせしました、こちらがお客様におすすめの商品です。」
全然待っていない、早すぎない?
「では試着しますか?」
「はいい……」
光さんの言う通り試着する、そのために店員さんからブラを受け取ってそそくさとと試着室に入り込む。
問題はおれがブラの付け方を知らないということくらいか。
「エイナさんちゃんと着けれましたか?」
「ちょっと待ってください……」
何がなんだかあたふたしながらまずパーカーを脱ぐ、そして魔法を使ってブラジャーを消す。
意を決っしてブラを手に取り鏡に映る姿を確認しながら試行錯誤を繰り返す。
「無理ですこれぇ。」
おれには無理だ、さすがに何も知らない中でつけられたなかった。
そんなおれにそっと助け舟を出したのは店員さんだった。半べそのおれに一から十まで教えてくれた。
「ありがとうございます……」
「大丈夫です、またのご利用お待ちしております。」
にこやかな店員に見送られながら買い物を終えた。
おれに手には店員さんおすすめの下着があった。
「すいません、初めてだとは思わず……」
「不甲斐ないです……」
何も女の子のこと知らないことを自覚してとぼとぼと帰路についた。
過去一苦戦した、なんで下着を無駄に調べているんですかね
なおヒカリちゃんの成長期はまだまだ続く
更新は明日