ファッションのすゝめ
服を個人的に買った経験はない、母が買って来たものを適当に着ていただけだ。
ファッションというものを何も知らないがおれは何を着ればいいのだろう。
光さんのお古のジーンズとパーカーを着させてもらっているが、正直動きやすいカジュアルな服がいいな。
「エイナさんに合う服は何ですかね?」
現実をあまり見たくないが、決して認めたくはないが、今のおれは女の子だ。
戻れる保証なんてないし一生このままだと思うと将来生きていけるか不安になる。
「分からないです……」
おれの目の前にある服屋、華やかなファッションがならび、ソルトーがよく目立つなんてことのない普通の服屋。
でもおれにとっては場違いなところに見える、だって今いるのはレディースだもの。
女々しい心だろうがおれは完全に女の子である覚悟がない、体は女子で、男であった証明はどこにも無くて、おれだけが勝手に悩んでいる。
「まあ私もファッションに詳しいわけでもないですからね。」
光さんはかけられたカーディガンを手に取っておれの前に合わせる。
光さんなりに品定めしているのか二種類のカーディガンを比べている。
「こういうのもいいですけど先に動ける服を……」
さすがにカーディガンより先に選ぶものがある。
「そうですね、おしゃれな服もいいですがまずは実用的な服から買いますか。」
冬服のフェアで冬服がたくさんあるわけだが光さんはとにかく手当たりに買っていた。
シャツ、ヒートテック、ズボン、無難なシンプルのある服を選んでいる。
買い物カゴ積み上がっていく服にちょっとびっくりする。
「多くないですか?」
それぞれ五着以上はある買い物カゴを見て疑問を持つ。
「一から服を買うならこれ以上に入りますよ?エイナさんそんなに清貧な生活していたんですか?」
「全部三着はあれば十分では?」
うちの家が貧乏だったのは確かだが三着あればちゃんと着回しがきくからそんなにいらなかった。
「そんなこと絶対に無いですよ!?」
光さんが滅茶苦茶驚いている、そんなあり得ないみたいな目で見られても。
おれみたいな人いくらでもいるだろう。
「困ったことありませんでしたし何か問題が?」
生きていくのに支障はなかった。
「外出とかはどうしてましたか……?」
「したこと無いです。」
家で基本過ごしていたし学校以外は外に出ず魔法少女の情報収集に明け暮れていた、よく寝不足にもなったが。
「もしかしてずっと家に……?」
「そうですね、学校に行く時以外は特に。」
光さんが慈愛の目で見てくる、何かしただろうか。
「エイナさん。」
「はい。」
「私がショッピングのしかたを教えてあげます。」
悲壮な決意を漂わせ光さんが宣言する、なんでおれがショピングをできないと思っているのか。
「光さんとショッピングしていますよ?」
「そういうことでとでは無く自分で買い物に行くことをですね……」
光さんかそうではないと首を振る、話が噛み合わないようですれ違う。
「光さんは心配性ですね。自分で買い物くらい出来ますよ見てて下さい。」
そう思われるのも心外なので自分で服を探しに行く。
この広い服屋でおれが良さげな服を選ぶだけだ、こんなに簡単なこともない。
「いや心配です……エイナさんのことあまり知らないですがこれはちょっと嫌な予感が……」
「問題無いですって、そこまで言うなら目のもの見せてやります。ここで待っていて下さい。」
そう言って服を物色するため、この広大な服屋を散策する旅に出た。
カラフルな服ばかり立ち並ぶ中で、おれのセンスに刺さるような服もきっとある。
そんな期待を込めて探しまわり見つけ出した。
「見つけましたよ!光さん、どうでしょうこれ!あとはレジに持っていくだけです!」
デカデカと猫が寝ころんだと書かれたシャツ、微妙にブサイクな猫がプリントされており、愛らしい様子がとても可愛い、とてもとてもおれの感性に刺さった。
「これは予想外です……」
光さんの反応は引きつった笑みで静かにあとずさる、ドン引きといったご様子、なんでだ。
「可愛いじゃないですか。」
「分かります、分かりますよ言いたいことは、ですがこう来ましたか。エイナさんがこのタイプとは思いませんでした。」
光さんは遠い目をしている。
「光さんはこういうのは嫌いですか?」
「そういうわけではないですが……エイナさんの服は私が選びます。どうかおとなしくしていて下さい。」
なんかいきなり戦力外通告を受けた、ファッションは知らないがそんなにだめなのか、解せぬ。
「うーん、わかりました光さんに全部おまかせします。」
全部納得したわけではないが光さんが言うならしかたないので従う、そんなに買い物下手なのか?
「お待たせしました、行きましょうかエイナさん。」
山のような荷物を両手に抱え堂々とした振る舞いで立つ光さん、有無を言わさぬようにおれを先導する。
「どこに行くんですか?」
行き先を尋ねると予想外なの返事が。
「下着を買いに行きますよ。」
「え?」
「え?」
気まずい沈黙が支配して足が止まる。
「下着は絶対いりますからね?」
釘を刺すように明言する。
「はい……」
それはそうですけどよく考えたらそうですけど。
個人的に踏み入ってはおれの心がぐちゃぐちゃになる気がする。
「行きますよ。」
抵抗の余地なく引き連れ下着屋に入る光さん。
それから何か大事なものを失いながら光さんのいいなり人形となることが確定する。
エイナちゃんは元から人間生活切り詰めていたタイプ
エイナちゃんもヒカリちゃんも変人
もうちょっとだけ続くんじゃ
更新は明日




