第20話 「使えねぇ…」
今日も投稿します
辛酸を舐め尽くした今ターンのカズヤにとうとう究極能力が発現した!
…のであれば良かったがその実「地味」なモノだった
「…ショボいっすね」
カズヤは神様の言葉にあった「作業スキル」というモノを思い出していた
「確かに疲労しない体で墓の整備をしたり村人に溶け込もうと森の野草を加工してお菓子等が作れましたが…それだけですよ?」
「うーむ?果たしてその「作業スキル」と言うモノの本質はそこなのじゃろうかの?」
フェルトは何故敢えて「作業スキル」と言われたのか、その意味を図りかねていたのだ
「あぁ、そう考えるとデザインや美術系の腕は生前より遥かに上がりましたね、
色んなモノを具現化してましたけどそういう造形物のデザインは頭の中でイメージするだけで
精密に発現出来ていましたよ」
「…なるほど、そのスキルは多分「創造」に長じておるのじゃな?」
「え~?もっとこうズババーン!とかガギャ~ン!みたいな効果音が似合う派手な能力の方が良かったですよ…」
「…それはお主の言う「漢」なのかの…」
「やっぱり転生とかしたらそういう破天荒能力で敵を倒したり世の中に技術革新起こしたりしたいじゃないですか?」
「「ですか?」と言われてもワシには分からぬが…まぁパッシブスキルではないのは確かじゃの」
「転生したのに黙々と創作活動とかしても物語としては成立しませんよ?」
「うーむ、お主は時折謎の俯瞰でモノを見る癖があるようじゃが…モノは考え様ではないかの?」
「考え様…と言うと?」
「確かに表立って人々を救済するとか世界を救うとかはできぬ。
が、創作活動を通じて世の中を明るくする事などは可能ではないのかの?」
「…成る程…スケルトンとして表立てば魔物認定で討伐されかねないけど裏方としてなら活躍出来る…か」
「うむ。お主の言う「漢」とは本来欲や名誉の為にあらぬのだろう?
ならば陰で人々を支える、これが本来の「漢」ではないのかの?」
「成る程…バンク○ーみたいに匿名で作品を出して大儲…じゃなくて人々を支える、かぁ…」
「そのバンク○ー?は分からぬがソコに活路を見出だすのもアリではないかの」
「うーん…」
カズヤは俯いて思考をまとめた
「良し!現状では手持ちの駒でやりくりするしかないですもんね⁉努力してみますよ!」
「フフッ、やっと希望の火が灯ったの。」
フェルトはカズヤの眼窩に光が灯るのを見た様で安堵した
「早速休憩時間とかに創作活動してみますよ」
「うむ…?」
テンションの上がったカズヤは忘れている
二人はスケルトンと半ゾンビの為に休憩も食事も取らず24時間歩き詰めなままの事を
(今突っ込むべきではないのぅ)
フェルトは揺れる車椅子の上で目を瞑った