☆源氏の世界⑫ 『源氏物語』ツアー宇治編
『源氏物語』ツアーの第二弾です。今回は宇治編です。薫と匂宮の恋の舞台となった宇治の「ロケ地」をご紹介しますね。
☆は現存する箇所で、★は……跡で建物などは現存しておらず記念碑だけのところです。
☆橋姫神社 宇治市宇治蓮華
宇治橋の守り神・瀬織津比咩を祀る神社。物語では薫が宇治の八の宮の姫君を「橋姫」にたとえて歌を詠みます。
~ 橋姫の 心を汲みて 高瀬さす 棹のしづくに 袖ぞ濡れぬる ~
(姫君がたが寂しく暮らしていらっしゃるかと思うとふと涙ぐんでしまうんだ)
世間からは忘れられているとはいえ皇族の姫君たちを住んでいる宇治の地元の女神さまに喩えたのですね。「橋姫」は第四十五帖の巻名にもなりました。
~ さむしろに 衣かたしき こよひもや 我を待つらむ 宇治の橋姫 ~(古今集・詠み人知らず)
(敷物にひとり分の衣を敷いて今夜も宇治の橋姫は私を待っているんだろうな)
この歌は古今集の歌で薫が引用して浮舟を橋姫になぞらえました。花のように舞う雪、宮中での歌会。この歌を聞いて嫉妬に駆られた匂宮は浮舟を奪い尽くそうと雪降る中を宇治へと直行しましたね。
現在は悪縁切りの神社として有名なんだとか。悪縁切りねぇ、薫と姫君たちはいろいろ想いが交錯したけれど悪縁切りとは関係ないとは思うんだけどな。
☆宇治神社・宇治上神社 宇治市宇治山田
応神天皇の皇子の菟道稚郎子がご祭神の神社。宇治の八の宮のモデルとされているのだそうです。
宇治上神社は世界文化遺産でこのあたりに八の宮の山荘があったと想定されているようです。
☆平等院鳳凰堂 宇治市宇治蓮華
夕霧の別荘のモデルだそうです。夕霧は源氏からこの別荘を相続して、八の宮の山荘からは川を隔てた対岸に位置しています。匂宮が中の君に逢いに行くのにこの夕霧の別荘を利用しましたね。(結局会えませんでしたけれどね)
実際の平等院は紫式部のパトロンである藤原道長の別荘を息子の頼通が寺に改修したもので世界文化遺産、それから十円玉でお馴染みですね。
☆三室戸寺 宇治市菟道滋賀谷
八の宮の師匠である阿闍梨の山寺の想定だそうで、ここに籠っているときに八の宮は体調を崩し、姫君たちと会うこともなく亡くなってしまいましたね。
☆宇治川・浮島(橘島) 宇治市宇治橋
匂宮が浮舟とふたりきりになるために一緒に舟で通りかかった(常緑に誓って千年先も君を愛すると歌に詠んだ)「橘の小島」は現存せず、現在の橘島はのちに造られた島ですが、このあたりにふたりは舟でやってきたんだなと想いを馳せることはできそうですね。
雪降る2月。真っ暗な夜の宇治川を舟で渡るのは浮舟にとっては随分怖かったでしょうね。匂宮との罪な関係に堕ちてしまうという精神的な恐れ以外にもね。俗にいう「吊り橋効果」?! におちゃん? ワクワクドキドキでしょうか? ……、やれやれ。
☆宇治十帖モニュメント 宇治神社鳥居前
朝霧橋東詰の宇治神社鳥居前にあります。匂宮が浮舟を連れ出して舟に乗せるシーンのモニュメントです。
余談ですが、隠れ家のある対岸に着いたとき、匂宮は浮舟を誰にも触れさせたくなくて自分自身でカノジョを抱き上げて屋敷に連れて行こうとするのですが、ひとりでは抱えきれず(衣装も重いでしょうしね)浮舟を抱き上げている匂宮を家来が支えている様子はとても見苦しかったと紫式部センセイは書いていらっしゃいます。大和和紀センセイの『あさきゆめみし』ではとってもスマートに颯爽とにおちゃんが浮舟ちゃんをお姫様抱っこしています(^_-)-☆
☆夢浮橋の碑・紫式部像 宇治橋西詰
宇治橋をバックに建立されました。この場所は「夢浮橋ひろば」と言うそうです。夢浮橋は源氏物語の最終巻(第五十四帖)の巻名です。
☆石山寺(滋賀県)
源氏が明石から戻ってから石山寺参詣に向かう途中で京に戻ってくる空蝉と逢坂の関ですれちがいます。
薫はお母さんの女三宮の病気の祈祷のため、この石山寺に来ているときに浮舟の失踪を知らされました。
紫式部が源氏物語を執筆した場所でもあります。
光源氏が亡くなったあとの物語の舞台は主に宇治でしたね。今でこそ車や電車で快適に出かけることのできる京都ー宇治間ですが(電車、車ともに1時間弱くらい)、平安時代の整備されていない田舎道を牛車や馬で宇治まで出かけるのは大変だったんじゃないかなと思います。
恋しい姫に逢うために薫も匂宮も何度も何度も通ったんですね。雪の降る中や雨風が強いときも。出かける機会に恵まれたら宇治までの道のりも楽しんでみたいですよね。
【京都案内】ファンなら一度は訪れたい。源氏物語ゆかりの名所7選
https://www.mag2.com/p/news/190378
花橘亭~源氏物語を楽しむ~
http://kakitutei.web.fc2.com/sub11.html
大長編『源氏物語』の【超訳】と【別冊】エッセイにお付き合いくださりありがとうございました。
不朽の名作を少しでも親しみやすく感じていただけたらなと思っております。
ここまでの読了心から感謝いたします。
ありがとうございました。
桜井今日子
令和2年元旦




