港区-16
「くかぁ~」
長四郎は大きな口を開けて寝ていた。
スマホが鳴る。劇場版パトレイバーⅠのオープニングテーマ「ヘヴィーアーマー」が流れる。
長四郎は飛び起き、電話に出る。
「はい。こちら、空挺部隊第七師団!」
「何、寝ぼけてんのよ」
「ラモちゃんか・・・・・・・」
「今から、警視庁に来なさい」
「え~」
時計に目を向けると午前七時を指していた。
「え~ じゃなくて」
「今、警視庁に居るの?」
「うん」
こいつ、家に帰らなかったな。長四郎はそう思ったが口にはせず、話を続ける。
「わぁった。行けば良いんでしょ。行けば」
「今日は素直じゃない」
「拒否したら、殴り込みに来られるから」
「その通り!」
あまりにもムカついたので長四郎は電話を切った。
長四郎は警視庁へと向かった。
集合場所である命捜班第二班の部屋へと入ると、目の下に隈を作った三人が待ち構えていた。
「おはよう」
「おはようございます」刑事二人が挨拶する。
「おはよう。で、あんたにお願いがあるんだけど」
燐は長四郎が腰掛ける前に本題を切り出した。
「何?」
「これを見て」
燐は画面がバキバキに割れたスマホを見せる。
動画流れ始め、画角がブレブレな映像が映される。
「はぁ、はぁ。聞いてた話と違うぞ。はぁ、はぁ」
「待てぇ!」燐の声が聞こえる。
「何、ラモちゃん。逃走中してたの?」
そう言うと同時に、燐のエルボーが長四郎の脇腹に入る。
「ガッ! デム!!」
長四郎はその場にへたり込む。
その間も動画は流れ続ける。
「ク、クソッ!!!」
カメラマンの男は手にあるスマホを自撮り棒付きで燐目掛けて投げる。
ゴンっ!!
鈍い音と共に、燐の「痛ぁ~」という声が入る。
「で、逃げられちゃったの」
「痛たたた。逃げられちゃったの。じゃない。詳しく説明しろ」
「よぉ~く耳をかっぽじって聞きなさい」
燐は昨晩、タトゥー男に襲われた流れを長四郎に話した。
「ふ~ん。それで、そのタトゥー男は?」
「今、取調室で待たせてます」明野巡査が答える。
「黙秘なの?」
「はい」遊原巡査が次に答えた。
「そんで、君らはどうしたいの?」
「吐かせてほしいの」
「なんで?」
「今の動画見て分からない? 明らかに私たちを狙うように仕組まれているでしょ?」
「ラモちゃん。少しは成長したじゃない。その成長を無駄にしないために自力で頑張りなさい」
長四郎はそう言って、部屋を出ようとする。が、そうは問屋が卸さない。
「つべこべ言わず、手伝え!!」
それから、数分後。
「どうも、初めまして。私立探偵の熱海です・・・・・」
目の前のタトゥー男に挨拶する長四郎であった。




