第18話 同期+弟オフコラボ配信①
「さてと、朝食も食べ終わったことだし、そろそろ配信しよっか」
全員が朝食を食べ終えたことを確認した千冬さんはそう言った。
そう言えばそうだった。
今日はこの4人でコラボ配信をするんだった。
だけど、配信では何をするんだろう。
「聞いてなかったんですけど、今日の配信って何するんですか?」
そう問いかけると、3人はニヤリと笑みを浮かべた。
(え、俺だけが知らない感じ?)
「トイッタ―で質問募集したからそれに配信で答えていこうと思ってるよ。まあ、兎野レオに対しての質問多めでお願いしますって書いたけど」
「なるほどそういう…………え?」
4人に対しての質問だけでいいじゃん!
なんで俺に対しての質問多めなの!
ただでさえ、配信初心者だからちゃんと答えられるか不安なのに。
「視聴者のみんなも聞きたいこと多いと思うんだよね。デビューしてまだ日が浅いから」
「まあ、それはそうですけど」
「とりあえず楽しめばいいよ。何かあったら私たち3人が助けるからさ!」
「そういうことなら……わかりました……」
何を言っても配信内容は変わらないんだ。
そう思った俺は、渋々了承した。
******
『みんな~、こんウサ~』
兎野ウサのチャンネルで配信が始まった。
【チャット欄】
:始まったぁ!!!
:レオ君の話聞きたい!
:神回確定すぎる
:俺の送った質問が採用されますように
:早くみんな呼んでー
配信タイトルが『同期+弟と質問に答える!』だったので、チャット欄では楽しみにしていた人が多いようだ。嬉しいけど恥ずかしい……。
『さあ、みんな来て~』
千冬さん――兎野ウサが他の3人を手招きして呼ぶ。
『こんもも~! 桃色花で~す!』
『こんミケ~、猫井ミケだよ~』
2人は俺より先に挨拶を済ませる。
最後が俺でいいのか。
俺は少し声を震わせながら視聴者のみんなに挨拶をする。
『こんレオ、兎野レオでしゅ…………』
噛んだ。
最悪だ。もう終わりだ。
穴があったら入りたい。
『緊張しないで大丈夫だよ。リラックスリラックス~』
ウサ姉は笑わずに俺の緊張をほぐそうとしてくれる。
他の2人も「大丈夫だよ」と優しく声を掛けてくれた。
そのお陰で少しだけ落ち着くことが出来た。まだ、心臓はめっちゃうるさいけど。
『まだ緊張するけど、頑張りますっ!』
【チャット欄】
:がんばれ~
:そりゃ緊張するわな
:レオくん可愛いな
:深呼吸~
視聴者のみんなも応援してくれていた。
『それじゃあ、始めるね!』
『うん!』
ウサ姉がトイッタ―で募集した質問に目を通す。
何個か目を通し、良いのを見つけたようで、「よし、これだ」と小さく呟いていた。
俺は不安でしかない。
『まず最初の質問! レオくんはシスコンですか? だってさ!』
『何その質問! なんでそれ採用したのウサ姉!』
『いいじゃんいいじゃん♪ それで、どうなの? 私のこと好きなの~?』
ウサ姉はノリノリで俺の肩をちょんちょんとつついてくる。
なんかめっちゃ楽しそうなんだけど、マジでなんでこの質問選んだんだ。
それに、雪さん――ミケさんと、六花――花の2人はジト目で俺のことを見つめてるし、なにこれ怖い!
ここは慎重に答えなければ。
一度深呼吸をして、答える。
『好き寄り……かな』
顔が熱くなるのを感じる。
なんかウサ姉まで顔が赤くなってる気がする。自分で選んだ質問だろ。
それとは対照的にミケさんと花は2人揃ってぷくーっと頬を膨らませている。
怒っているんだろうけど、可愛い。
【チャット欄】
:シスコンきたぁぁぁああああああああああ
:ブラコン&シスコン姉弟じゃねえか!
:羨ましい関係
:ウサちゃん、私にレオくんをください
:↑じゃあ、僕にはウサちゃんをください
視聴者のみんなもどうやら盛り上がってくれているようだ。
とりあえず、この答え方で正解だったかな。
ふぅ、顔があっつい。
『ウサちゃんだけズルいぞ!』
『そうだそうだ!』
ミケさんと花が抗議をし始めた。
『自分だけが得する質問を選ぶなー!』
『そうだそうだ!』
花は同意してるだけじゃねえか。
『もう、仕方ないなぁ。じゃあ、次の質問はちゃんとしたの選ぶよ』
そう言いながら、不満そうにウサ姉は次の質問を選び始めた。
『それじゃあ次の質問ね。レオくん以外の3人はレオくんと今後やりたい配信を教えてくださいだって~』
お、今回はまともな質問を選んでくれたようだ。助かった。
これは、個人的にも気になる質問だな。人気配信者なら俺とどういう配信をしようとするのかかなり気になるところだ。勉強にもなりそうだ。
そんなことを考えながら、俺は3人が答え始めるのを固唾を呑んで待つ。




