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騎士と姫君  作者: 曲尾 仁庵
姫君
84/95

妖精 -2-

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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 妖精は喜びに涙するお姫様の様子を、じっと見つめていました。お姫様は怪物が生きていることを喜び、涙を流し、心から安堵して、椅子に座り、怪物を待っています。焦がれるように、ずっと、怪物を待っています。

 妖精は、皮肉な笑顔も、生意気な自信家の顔もない、真剣な表情をして、お姫様に言いました。


 あなたは、何もしないの?

 あなたはここで、あの怪物が来るのを、ただ、待っているだけなのかい?


 思いもよらぬことを言われたように、お姫様は目を丸くして、妖精を見つめました。


 だって、私に何ができるっていうの?


 妖精は、怪物が哀れでなりませんでした。怪物が命を賭して守ろうとしているこのお姫様は、ただただ無垢に、助けてもらうことを待っているのです。あまりに無邪気に、怪物が来てくれると信じているのです。不死身でも、魔法が使えるわけでもない、あの怪物のことを。

 妖精は目を伏せ、やりきれない思いのまま、それでもお姫様に伝える言葉を探しました。このままではあまりにも怪物が、あの美しい決意が、報われないと思ったのです。


 あなたに何ができるかなんて、僕に分かるはずもない。

 でも、よく考えてお姫さま。

 あなたを救うあなたの騎士は、決して歩みを止めないということ。

 あなたを想う哀れな騎士は、ここまで辿り着くことはないかもしれないということ。

 決して歩みを止めない騎士が、ここまで辿り着かなかった時、

 それが何を意味するのかということを。


 妖精の言葉を、お姫様はポカンとした顔をして聞いていました。きっと伝わることはないだろう。妖精は絶望的な思いを抱えて、うなだれるしかありませんでした。


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