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トワイライト・ラブ(陽炎)  作者: 流理
2日目:マドリード観光
8/16

メールのやり取り

それからまた別の日の、メールのやり取りの中でふと、

「旅行中、お互いに惹かれ始めたのはいつ頃だったのでしょうね?」と聞いてみた。美紀からはすぐに返信があり、

「私の最初は、二日目のソフィア王妃センターからで、英一さんの隣に近寄って話しかけた時かなって思います。」と書かれていた。

英一はその返事を見て、あのとき絵を眺めていたら、突然声をかけられた場面を思い出した。(ああ、あの時だったのか…)と心の中でつぶやき、少し嬉しさが込み上げた。

「やっぱり、あの時が始まりでしたか。」と、返事をした。

「英一さんの事が、最初から気になっていた。」

「そしたら、一緒にいた友達から言われたので、勇気を出して英一さんに声をかけたの」と、言った。

お互いの記憶が重なり、距離がさらに縮まっていくのを感じた。



数日後、美紀からメールが来て、今度東京に行くことになったとの事だった。

実はスペインの旅行仲間がラインで繋がっていて、4月の半ばに食事会をすることになったとの事。

英一さんも参加しますかとの事だったが、英一は大勢で集まるのは気が進まなかった。

「楽しそうだけど、僕は大勢の集まりはちょっと苦手で…。今回は遠慮しておきますね」と素直に返信した。

美紀からは

「やっぱりそうですよね(笑)英一さんはそういうタイプかなって思っていました」と軽い返事が来た。次に、

「私は、東京に行った翌日午後から時間をとりますから会えませんか」


英一はメールを見た瞬間、胸が高鳴った。思わずスマホを握りしめ、

「もちろん、是非お会いしましょう!」とすぐに返信した。予定が決まったわけではなかったが、美紀が自分のために時間を作ろうとしてくれていることが何よりも嬉しかった。英一は、どこで会うのがいいか、何を話そうかと、久しぶりに心がワクワクして落ち着かなくなった。



再会に向けて

英一には、仕事をリタイアしてから幾つか気がかりな事があった。

今回、暇に任せてそろそろ行かなければならないと思っていた場所があった。

まずは順番としては、英一は若い頃、幾つか仲人をしたので、その親の墓参りだった。それから、高齢の岐阜の叔父さんの近況伺いもしなければと思っていた。

関西方面は口実で、用事が終わったら何処かで美紀に逢えたらいいと思っていた。(逢える場所は、大阪か京都あたりが都合いいかな…)などと、スマホを見ながら計画を練る自分に、少し可笑しさを感じていた。


英一は、次に美紀にその話をどう切り出そうかと、頭の中で言葉を探し始めた。

数日考えてから、美紀に

「岐阜の親戚に行くので何処かで会いたい」

それから、

「車で行くので京都辺りに来られますか」と、メールした。


美紀からすぐに

「ぜひ行きます!」という返事が来て、英一は思わず笑顔になった。美紀との特別な時間に変わる――そんな予感がしていた。

京都なら奈良からも便利なので、美紀も来やすいかなと思いながら、再会の日程や場所を考えるのが楽しくて仕方なかった。

英一は

「じゃあまた近くなったら、詳しい時間と場所を連絡しますね」と、返事を送ると、すでに胸が高鳴っていた。



藤沢の家を出てから約3時間で中央高速自動車道の諏訪インターで降りて、岡谷の元の部下の家についた。挨拶をして不義理を詫びながら墓参りなどをした。

墓参りをすると何故かスッキリするのだ。元部下は、喜んで歓迎してく、積もる話もあったので、美紀へのはやる気持ちを抑えて、一泊することにした。美紀には、この様な事を想定して、会う日時は事前に伝えてあった。


翌日、早々に挨拶をして諏訪インターから高速に乗り、岐阜の大垣に向かった。

2時間半で、大垣の叔父さんの家に着いて、色々な近況の様子を聞いた。高齢なので、あまり具合が良くないけど、とりあえず大丈夫そうだった。

叔父さんの所は、小一時間でお暇した。叔父さんの所に、泊らなくて良かったと思った。

それから、大垣インターから高速に乗って、美紀との再会の京都に向かった。


英一はサービスエリアに車を停め、温かいコーヒーを買って車内に戻った。少し休憩して気持ちを落ち着けた。

「もうすぐ美紀に会えると…」と、ゆっくりコーヒーを飲んだ。

みぞれが降って、少し天候も荒れたが何とかここまで来たと、思った。


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