第78話 おかえり!
三聖武道祭から半年が経った。
シーちゃんと腹を割って話した後、さっさとステラ王国を出た。もうやる事なんて無いし、あんな嫌な人達がいる国なんか1秒たりとも居たくないからね!
それからはバナリテの街に帰って何ヶ月か過ごした。だけど大三賢者となって仕事をこなさなきゃいけない関係で、帝都に居たほうが都合がいいからシーちゃんの家でシェアハウスすることになった。
シーちゃんの家……というか別邸は帝都にあるし、城かと思うくらいでかいから、住人が一人くらい増えたところで問題ないのだ。
シーちゃんの家は本当に居心地が良かった。
ベットが本当にふかふかで寝心地最高だし、シーちゃんが作ってくれるご飯は最高に美味しいっ!! 本当に美味しいから、何を思ったのか【鑑定】してみたんだけど……品質がSだった。しかも特殊効果の体力強化とか魔力強化とかがあった。
まさか伝説級の食事が毎日食べられるとはね……あはは。
一応家事分担しているんだけど、私は家事全般が苦手で……作れる料理も素朴で普通のものだから本当に申し訳ないけど、シーちゃんは美味しそうに食べてくれる。天使かよ!
こんなに広いのに、なんと使用人が一人も居ない。どうやって掃除とかしてるんだ……?
そして段々とエトワール学園への入学が迫ってきた。
私たちはSランクだから特待生として試験を受けずに入学となるけど、入学した後は普通に試験があるし成績が悪いと退学……。
特待生の大体は貴族で、小さい頃から高度な教育が施されてきた人達だから退学などまずあり得ない。
だけど……私は生まれてから勉強したことないっ!!
生まれは確かに一国の王女ではあるけども!! すぐに捨てられたし、そこからは命懸けのサバイバルよ!? ただただ強くなることだけを追求してきた……そのツケがまわってきたわけだ。
「休憩終わりよパープちゃん! ほら次は歴史のお勉強よ!」
「うへぇぇ」
算術は出来るんだよ。ここは前世の知識チート使えるから!!
でも歴史とか地理とかはもう無理!! ただ暗記するだけならまだいいけど、この世界の歴史と地理の問題は高難易度すぎるんだわ!! 平気で応用の応用問題を出してくる!!
勉強が出来ない私を思ってシーちゃんが懇切丁寧に教えてくれているわけだけど……逃げたいよ。
分かりやすいんだけど、情報量が多すぎてパンクしそうだよ……。
「――!」
「ど、どうしたの?」
シーちゃんの身体が一瞬硬直する。何事かと心配して声をかけると、シーちゃんの表情は一気に明るくなっていく。
「帰ってくる!!」
「え!? もしかしてウィンが!?」
「ええ、もうすぐそこまで来てるわ!!」
な、なんで分かるんだよ……。怖いわ。
♢♢♢
「みんなーーー〜〜!! たっだいまぁぁ〜〜!!」
「「おかえり!!」」
一年ぶりに会うウィンはかなり成長していた。
背も高くなったし、なにより……美人になったなぁ。アホっぽい表情は未だ健在だけど、キリッとした顔をすれば絶世の美女と言っても過言ではない!!
さてさて、どれほど強くなったのでしょうか!?
(――【真実の鑑定】――)
【名前】ウィン ♀
【種族】雪の精霊・狐獣人
【年齢】12
【魔力値】40/40◁20up
【体力値】400/400◁275up
【スキル】
精霊魔法『雪』Lv3◁2up 水魔法Lv1◁NEW 無属性魔法Lv3 体術Lv5◁2up 戦鎚術Lv3◁NEW 殺気Lv2
【ユニークスキル】
(『永劫不変』Lv--)
【称号】
創造神に愛されし者 雪の女王 (裏切られた被害者) (海の精霊の主人)
【総合戦闘力】800◁645up
【ランク】A?
ウィンったら凄い強くなってるじゃん!!
ま、魔法は……まだ苦手そうだね。水魔法を新しく習得はしてるけど……魔力量が壊滅的に低すぎるのが難点だね……。
でもでも体術が凄いし、これならそこらに居る人に負けることなんてないだろうね。エトワール学園の入学だって楽勝だろう。
「修行の成果はバッチリみたいね!!」
「えっへん!! これも全てリバーのお陰だよ!」
「リバー!!?」
り、リバーってあの!? 超可愛い顔して超怖いあの!? ま、まあリバーは雪の精獣だし、雪の精霊のウィンと会うのは至極真当ではあるのか……?
「三聖武道祭に出場してたでしょ? どう? すっごくかっこよかった?」
「えぇーっと……特徴的な仮面を被ってて印象的だった……かな?」
「そう仮面!! あれね、私が作ったんだ!!」
「ええっ!?」
禍々しいオーラをドロドロに放ってた般若の仮面……ウィンが作ってたんかい……。
よくあんな恐ろしい物を作ったな。
「リバーはね、極度の人見知りなんだ。あんまり教えてくれなかったけど、昔人間に酷いことをされたんだって」
酷いこと……。
シーちゃんの表情が一瞬にして曇る。……深くは聞いちゃいけないね。予想はなんとなく出来るし。……きっと、前世のことなんだろうな。
「どうしても人前に出ることってあるから、その時にリバーが少しでも緊張しないようにって想いながら作ったんだ」
な、なんていい子なのっ!! めっちゃくちゃ優しい子!!
「どうして般若の仮面にしたの……?」
そうそれな!! 別に緊張をほぐすなら狐のお面とか、もっとかっこいいデザインでも良くない?
「うーん、よく分かんないんだよね。ただ想いを込めてて……気づいたら完成してたの!!」
シーちゃんと目を合わせる。
うん、多分これは……ウィンリー様の自我が一時的に表に出てきたのかも。
一時的とはいえ、1回でも表に出てきたのなら、何かの拍子に全てを思い出すかも……。
慎重に発言しないと、それをきっかけに暴走が起こっちゃうかも。気をつけねば。。




