第65話 規格外に強いイケメン君
シーちゃんとの修行を終えてから、私は早速光魔法の修行をすべく冒険者ギルドへ向かった。不審がられながらもなんとかギルドの許可を貰い、臨時治療所を開いた。
なんとお値段は破格の無料‼ 光魔法の使い手は貴重で、大体は教会に引き抜かれていくから、冒険者は怪我をしても放っておくだけで治療はしない。なぜなら……治療費がバカ高いから‼
そんな中無料で治療できるなんて……きっと人が大勢やってくるはず‼
そしたら光魔法の修行にもなるし、私のイメージも良くなって”金色の悪魔”って呼ばれなくなるかも‼
そう思っていた時期もありました……。
かれこれ数時間経っておりますが、誰一人寄ってこない。通常、ギルド内は人がひしめき合ってるはずなのに、なぜか私の周りだけは誰も居ない‼
なんでぇ……? 私なんかしたかな?
「おい、あれ金色の悪魔じゃねーか?」
「あの⁉」
「あぁ、罪もない冒険者を再起不能にしたとか」
「俺はゴブリンの集落を一人で壊滅させたって聞いたぜ」
「血濡れの戦鬼とも言われているらしいわ」
「タダで治療とか……絶対何か企んでる」
「今回は何をしでかすんだ?」
……光魔法の修行をしたいだけで何も企んでないですぅ。
何でも鮮明に聞こえてくるこの耳が恨めしい。こいつのせいでいっつも私への悪口が嫌でも聞こえてしまうんだ、兎獣人でさえなければ……。
少しでも気を紛らわすために目に入った人たちを片っ端から【真実の鑑定】していく。こうしてればレベルが早く上がるはず。
それに、冒険者のステータスの基準を知っておけば何かと役に立つかもしれないしね!
「あの~、無料で治療してくれるって本当ですか?」
「え?」
声のした方を見ると、私と同じくらいの齢の少年が立っていた。腕は何かの魔物にやられたようで、深々と傷付き血が流れている。
嘘、気配が全くしなかった。それにこの雰囲気……見た目はただの人族だけど、気配からして種族が違う。なんか怪しいぞ?
「無料ですよ、怪我した部位は腕だけですか?」
「えっと、足も少し……」
少年が視線を下に向けた隙に【真実の鑑定】でステータスを視る。
【名前】ナイト ♂
【種族】闇の???
【年齢】12?
【魔力値】380/500
【体力値】540/700
【スキル】
深淵魔法Lv5 水魔法Lv4 地魔法Lv4 無属性魔法Lv5 体術Lv8 刀術Lv5 暗視Lv5 隠密Lv5 毒耐性Lv5 殺気Lv5
【ユニークスキル】
『宵闇の帳』Lv?
【称号】
魔界の希望 穢れなき良心の塊 運命に抗う者
【総合戦闘力】3500
【ランク】SSS+++
【深淵魔法】
――闇魔法の上位派生形スキルの一つ。【暗黒魔法】とは違い、瘴気は発生しない。全てを飲み込む漆黒の闇を操ることが出来る。
「――ッ⁉」
「……? どうかしましたか?」
「あ……いや、怪我が酷いものだったのでびっくりしちゃいました。あは、はは……」
ば、バケモンだ……。正真正銘の強者だ。
びっくりしすぎて思わず声にもならない悲鳴が出ちゃった。苦しい言い訳だったかな……?
間違えてリアルで悲鳴上げないよう、一旦心の中で悲鳴上げとこうかな?
はぁぁぁぁぁあああああ⁉ やべえってぇぇぇぇぇえええええ‼
ふぅ、少し落ち着いた。
ユニークスキルの【宵闇の帳】は多分、隠蔽スキルだろう。【真実の鑑定】でも完全には見れないからね。レベルが分からないけど、多分私と同レベルだと思う。そのおかげでユニークスキル同士が相殺され、ほとんどステータスが視れるようになっている。
称号に”魔界の希望”ってあるから魔族なのかな? 悪い人かもしれない、と思ったが、”穢れなき良心の塊”ってあるし……。でも今、世界は魔族と戦争中だから一応警戒はしよう。
にしても本当に規格外なステータスだな……。ランクSSS+++なんて見たことがない。今まで会った中で一番強かった相手は暗黒騎士だけど、それでもランクはSSS+だ。
この少年があのおっそろしいほど強かった暗黒騎士よりも強いの……?
水色のさらさらの髪、シーちゃんと似た色の深い青色の瞳、幼さが残るが既に完成されつつある超美形のキラキラ顔面。こりゃー成長したらさぞ大勢の女性を虜にするでしょうねぇ。
いままで会ってきた美少年たちは全員可愛い寄りだったけど、今回はカッコいい寄りの美少年だねぇ。うん、紛れもないイケメンだ。
どう考えても暗黒騎士より強くは見えない。
これで体力値が暗黒騎士より高いって冗談でしょ? 筋肉は程よく付いてはいるけどムキムキではないし……おかしいって絶対‼
「あの、治せますか?」
「えっ⁉ あ、あぁ、治せますよ!」
戦ったら絶対勝てない相手、緊張していたからか声が裏返ってしまう。
落ち着けぇ私‼ 私がステータスを視ちゃったことは絶対にバレちゃだめだ。バレたら口封じに殺されるかもしれない!
「――【高回復】――」
意外と傷が深いから丁寧に回復魔法をかける。
ったく、こんな強い人相手に誰が手傷を負わせたんだか。こんなのがゴロゴロいたら本当に笑えないって。
「……………?」
あれ、中々治らない……? いつもより倍以上治るのに時間がかかる。
もしかして、【深淵魔法】と何か関係ある? 【深淵魔法】は【闇魔法】の上位派生形スキル。闇と光は対に位置する力だし、相性が悪い。
相手の体内が闇属性の魔力で満たされているから、光の魔力が阻害されて回復が遅いのかな?
いつもより念入りに魔力を込めて魔法をかける。
「――ふぅ、終わりましたよ」
「え、もうですか⁉」
「? はい」
イケメン君はなぜか驚いたように傷があった場所を何度も見る。
なんか回復が早かったことに対して驚いてる? どっちかって言ったら遅かったと思うんだけどなぁ?
「ありがとうございます‼」
「いえいえ~」
こっちこそお礼を言いたいよ。だって……
【名前】パープ(・ステラ) ♀
【種族】兎獣人
【年齢】12
【魔力値】410/410◁30up
【体力値】350/350◁30up
【スキル】
鑑定Lv2 火魔法Lv4 水魔法Lv2 風魔法Lv3 地魔法Lv3 光魔法Lv4◁1up 闇魔法Lv1 無属性魔法Lv3 体術Lv4◁1up 爪術Lv4 暗視Lv1 毒耐性Lv2 殺気Lv2
【ユニークスキル】
『天から照らす太陽の光』Lv3◁1up
『真実の鑑定』Lv2
【称号】
創造神の最後の望み PARP 転生者 王族 自縛者 捨て子 神童 狼スレイヤー アムールの主 金色の悪魔 血濡れの戦鬼
【総合戦闘力】1300◁109up
【ランク】SS?
おかげさまで光魔法のレベルが上がったしね♪
イケメン君が何度もお礼を言いながらギルドを出た後、周りの冷たい視線がチクチクと突き刺さる。『お前、あの少年に何かしたんじゃないだろうな?』とでも言いたげな目だ。
何もしてないって‼ 決めつけは良くないぞ⁉
さてと、視線が痛いし目的も達成したし、さっさと治療所をたたみますか。
闇とか深淵とか暗黒とか、厨二心くすぐられる~




