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一欠片の勇気から始まるうさ耳少女の冒険〜今世こそ勇気を振り絞って友達を作ってみせます!!〜  作者: 氷河の一輪
第0章 受け継がれる一欠片の勇気

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第8話 出会って早々地雷を踏みました

 妖花女王(アルラウネ)との家族宣言をした後、私は妖花女王(アルラウネ)に連れられ、どこかに向かっている。


「そーいえば、君の名前はなぁに?」

 妖花女王(アルラウネ)は急に振り向き、そんなことを聞く。なんか今更って感じ。

「パープです」

「私はカレンデュラよ。カレンお母様って呼んでもいいのよ♡」

「……」

 もしかして、カレンお母様って呼ばなきゃ殺される系なの?


「そうだ、君に愛称をつけようかしらぁ? パーちゃん、パーたん、パープちゃん、パプたん、プーちゃん、プーたん、メイラのどれがいい?」

 まともなのが少ない……!! そしてメイラって誰? なぜ全く関係ないのが出てきたの!?

「じゃ、じゃあパープちゃんで……」

「これからよろしくね、パープちゃん♡」

「よろしくお願いします、えっと、カレンお母さん……?」


 カレンお母さんは満足そうに微笑むと、また前を向いて歩きだす。

 さすがにカレンお母様は恥ずかしいからカレンお母さんにした。


♢♢♢


「着いたわ。ようこそ、わが家へ‼」


 おお……まともだぁ。

 カレンお母さんは妖花女王(アルラウネ)だから、てっきり野宿とか、洞窟で過ごすものだと思ってた。でも、これはまともな家だ。

 現代の家とまではいかないけど、木造建築の二階建ての家だ。見た目も綺麗でしっかり掃除が行き届いているのがパッと見ただけで分かる。庭には、うーん何だろこれ……野菜らしきものが植えてある。


「お部屋の紹介はなし。徐々に慣れてもらうわぁ♡」

 植物の良いにおいがする。やっぱりなんか落ち着くな……。

 一瞬、カレンお母さんの【魅了】スキルの影響かと思い、鑑定したけど違かった。どうやら【魅了】スキルは【好感】スキルの上位互換で、本人の意思で発動できるらしい。そして相手を惚れさせる確率(?)威力(?)が飛躍的に上がる。

 一番大事なことだけど……私は魅了されていませんでした! ここまで鑑定できちゃうんだから、【鑑定】スキルに万歳だね。


「さて、そろそろお昼時なのでご飯にしましょうか‼」

 カレンお母さんがパンと手を叩きながらそう言う。もうそんな時間か。たしかにお腹が空いてきたから丁度いいかな。ただ、私はすっごく不安なことがある……それは魔物の食事が私と同じものなのかについてだ。

 魔物と人間種の私は常識から根本的に違うはず。なら妖花女王(アルラウネ)のカレンお母さんは当然のように魔物の常識を押し付けてくる可能性がある。

 どうする? もし、得体のしれない紫色のドロドロしたスープ出されたら? 心配だ!


「とびきり美味しいものを作ってくるから待っててね♡」

 ……待っている間、自分のステータスを見るか。


(――【鑑定】――)




【名前】パープ(・ステラ) ♀

【種族】兎獣人

【年齢】6

【魔力値】160/160

【体力値】100/100

【スキル】

鑑定Lv2◁1up 火魔法Lv1 水魔法Lv1 風魔法Lv2 地魔法Lv2 光魔法Lv2 闇魔法Lv1 無属性魔法Lv1 体術Lv1 暗視Lv1

【ユニークスキル】

なし

【称号】

??? 転生者 王族 捨て子 神童 狼スレイヤー

【総合戦闘力】420

【ランク】C?

――???のため、ステータスが???




 やっぱり【鑑定】スキルが上がってる。今までたくさん鑑定してもレベルが上がらなかったのに……今更なんで上がったんだろう?

 考えられるのは2つ。

 1つ、熟練度が溜まって上がった。この仮説が正しいならレベル3にするには少なくとも数百回は鑑定しなくちゃいけない。だって、レベル2に上げるのだって数百回は鑑定したはずだからね。今までより鑑定しないといけないなんて……考えただけで無理!

 2つ、死ぬ気でレベルを上げようとして鑑定したから。私は今回、失敗したら死ぬって思いながら鑑定した。そしたら丁度レベルが上がった。だから、スキルレベルっていうのは本人のやる気? 本気度? なんだろ……気持ちによって上がったりするのかと仮説を立てた。

 できれば2つ目が当たっているといいな。その方がレベル上げ楽そうだし。

 いや、でも気持ちでスキルレベルが上がるのなら、レベル5とかうじゃうじゃ居そうだし、ありえない仮説なのかなぁ?



「パープちゃん、おまたせ!」


 ステータスを見ていたら、いつの間にか食事の用意が終わっていた。

 おそるおそる木製のテーブルに目を向けると……そこには豪華な食事が零れ落ちるほど大量に並べてあった。もちろん、良い匂いもすっごくする! なんでここに並べられるまで気づかなかったんだとびっくりするぐらい! それほど集中してステータス見てたのかな……。

 私の心配は杞憂だったかのように、そこには人間種用の食事がある。シチューに白パンに、サラダにお肉まで!

 なんの肉かは聞かないでおこう……どんな魔物肉が使われているか分からないしね。世の中には知らなくても良いことがあるんだよ……。だけど……見えてしまった。見たくなかったのに見えてしまった。キッチンからはみ出て少し見えている魔物の足を……。わー、あれはなんだろー(現実逃避) なんかゴツゴツしていてケバケバしてるー。


「あはは、つい張り切っちゃった♡ なんて言ったって、家族初めての食事だものね!」

 これ、二人で食べきれるのかな?

「ほら、座って座って! では、命に感謝して……」

 カレンお母さんは目を瞑り、手を合わせて祈るようなポーズをする。すかさず私もそれを真似をする。


「ボナペティ」

「ぼ、ぼなぺてぃ」


 そう言うと、カレンお母さんは白パンに手を伸ばす。

 あ、この「ボナペティ」が食事の前の挨拶だったのね。私も白パンから食べようと思い、手を伸ばすと――


 カレンお母さんの手のひらに口が現れ、白パン一つを一口で食べてしまった。



「え?」



「ん、そんなに見つめてどうしたの?」

「い、今、手に口が…………」

「あぁ、そうか……。……()には怖かったかな?」


 カレンお母さんが若干目を細めながら冷たく言う。空気が一瞬で凍り付いたのが分かる。え、何かまずいこと言ったかな? もしかして……早々に地雷を踏んでしまいました?


「怖いだなんて全然! どうやったの⁉」


 いいなぁ、手に口があるってことはさ、3つの口から同時にご飯食べられるんでしょ!?

 感覚ってどうなっているんだろう? 別々の口で食べても、味が混ざったりするのかなぁ? ちょっと後で聞いてみようかな?


「ほ、本当にそう思うの?」

「うん!」

 私がそう言うと、カレンお母さんは驚いたように目を見開く。


「じゃ、じゃあこれでも?」


 カレンお母さんは席を立ち、目を瞑る。すると姿が少しだけ変化した。

 髪の毛からは黄色やオレンジ色の鮮やかな花が咲き、おでこにはもう一つの目が、両方の手のひらには口が現れる。顔にある口は耳の近くまで裂け、大きな牙があらわになる。

 ……それだけ?


「本当に? 本当に怖くないの?」

 カレンお母さんは私の考えを察したのか、信じられないと言いたげに目を見開きながら詰め寄り、肩を揺さぶる。

「見える? 3つも目があるのよ!?」

 いや、指さして説明しなくても見えてるし分かってるって。

 目が3つあるから何? 手にも口があるから何? 口が裂けているからって何? 恐ろしい? 怖い? そんなわけない。()()()()()()()()()()――人の悪意よ。


「…………そう。()()()()()にも怯えないなんて、()()()()()()は不思議な子だね」


 カレンお母さんは顔を背けながら言う。その声は震えていた。

 ……私にはカレンお母さんに何があって、何に怯えているのか分からない。だけど…………その震えている背中を見ていると、昔の私の姿に重なって見えた。何かに異様に怯え、縮こまっていた私……。そんな姿を見ていたら、何もしないなんて出来なかった。


「カレンお母さんはきれいだよ」

「――――っ‼」

「このお花、本当にきれい。カレンお母さんの赤い瞳によく合ってる」

「――っ、――……パープちゃん、ありがとう…………」


 この言葉は本当に本心だ。

 私に罵声を浴びせたり、理由もなく殴ったりする人たちなんかより、心も外見も断然美しい。比べるのも失礼か。少し言動が怖いけど、温かいご飯をくれる。カレンお母さんが本当のお母さんだったら良かったのにな……。


 なんてね。

 知らぬ間に親の愛を求めてしまうパープ。

 カレンデュラと出会ったのは吉と出るか凶と出るか。果たしてどうなのでしょうか?


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